時事解説「ディストピア」

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ミサイルは領空を通過したのか?

2017-10-21 21:55:09 | 北朝鮮
ミサイル発射。ミサイル発射。
北朝鮮からミサイルが発射された模様です。頑丈な建物や地下に避難して下さい。


黒塗りの画面に白文字で大きく連呼される「ミサイル」の文字。
今年8月末に発信されたJアラートのメッセージである。


内容があるように見えて、その実、何一つ明確な情報が告知されていない。
これは安倍政権ならず日本のマスメディアの病巣を象徴したものだと思われる。


そこで本記事では、ミサイルは実際に領空を通過したのかを考察してみたいと思う。


北朝鮮ミサイル通過、その時何が起きたのか
(http://fingfx.thomsonreuters.com/gfx/rngs
 /NORTHKOREA-MISSILES-LJA/010050LF1DV/index.html)



まず、北朝鮮の弾道ミサイルは宇宙空間を通過していることを指摘したい。


ミサイルが日本「上空」を通過した際の高度は約500kmだった。


旅客機が飛行する際の高度が10km、
国際宇宙ステーションの軌道高度が408kmであることを踏まえれば
想像がつくだろうが、これは日本の領空外域である。


この点は英語だと更に明確に表現され、
発射直後には「through Japan’s airspace」と表現されたが、
後に「over Japanese territory」と訂正された。

(https://www.rt.com/news/403380-north-korea-pyongyang-missile/
 https://www.theguardian.com/world/2017/aug/29/whats-the-mood
 -like-in-japan-after-north-korea-missile-launch)



つまり、弾道ミサイルは日本列島を立体的に迂回して飛翔したのだが、
発射地点と落下地点を直線で結ぶと襟裳岬と交差するので、
あたかも日本の空をミサイルが通り過ぎて行ったかのようなイメージが拡散された。


そもそも、放物線を描きながら宇宙空間を通過し目標を破壊するのが弾道ミサイルである。
通常のミサイルと混同した説明をする人間が多いが、
それは基本的な軍事知識がない人間が国家の一大事を賢しらに語っていることを証左する。



日本の反応は例えるならば、
自宅前の道を行く歩行者に悲鳴を上げているようなもので、
傍から見れば「理解不能」「異常」「狂気」じみている。


と思ったかどうかは知らないが、このヒステリックな反応には
米ニューヨークタイムスも、きちんと言及している。

(https://www.nytimes.com/2017/09/14/world/asia/north-korea-missile.html?mcubz=1)



重要なことは、日本には北朝鮮のミサイルを防ぐ手段がないということである。


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「米国のパトリオット」は東京を守ることができるか?


~中略~

軍事専門家のウラジーミル・エフセエフ氏は、
「パトリオット」(PAC3)配備による日本の措置について、
北朝鮮のミサイル脅威から東京を守るには全く不十分だとの見方を示している。


同氏は、それは最も単純な理由によるものだと指摘し、
米国のパトリオットはこの目的のためにつくられたものではないからと述べ、次のように語っている-


「迎撃ミサイルシステム『パトリオット』は対空システムであり、ミサイル防衛システムではない。
 その弾道ミサイルの迎撃能力の有効性はかなり低い。なぜなら射程高度が20キロ未満だからだ。

 仮にミサイルの危険性のある方向に『パトリオット』(PAC3)が配備されたとしても、
 例えば政府庁舎が多く集まる地区など、ごく限られたエリアしか守ることができないだろう。

 『パトリオット』(PAC3)は、日本のあらゆる地点に到達可能な
  北朝鮮の『ノドン』あるいは『ムスダン』などの弾道ミサイルから東京全体を守ることはできない」。


ではなぜパトリオットは東京に配備されたのだろうか?エフセエフ氏は、次のように語っている-


「このようなシステムは、9.11テロ後にホワイトハウス周辺に配備された。

 だが私は、これが実際に非常に必要なことであるとは、それほど確信できない。
 ミサイル防衛に最も効果的なのは、
 ミサイル発射から数千キロの距離で標的を迎撃できる米国のTHAADやイージスシステムだ。


 しかし弾頭の迎撃という面では、もし標的が軽量の偽の標的で覆われている場合、
 これらのシステムの能力も限られる。迎撃は、大気の厚い層でのみ可能となる。
 なぜなら、より上の層では実際の標的と偽の標的を区別するのが不可能だからだ」。

https://jp.sputniknews.com/opinion/201709074061689/
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北朝鮮ミサイル厳戒 PAC3、緊張の迎撃シナリオ
(https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H6P_U7A810C1EA1000/)

PAC3の迎撃能力は以上のようなものだが、
安倍政権はミサイル発射に向けてよりによって、このPAC3を配備していた。



私が危惧しているのは、扇動目的のフリではなく、
どうも安倍政権が本気で竹やりをもってミサイルを迎え討とうとしているらしい
という点なのである。


北朝鮮は頻繁にアメリカの敵視政策を非難し、
ミサイルはアメリカを標的にしており、いつでも発射可能と警告している。


ところが、これを日本は何故か自国を狙ったものだと解釈し、
無用の兵器を配備し、改憲を望んでいる。






あくまでギャロップ社の世論調査にすぎないが、
他国の民衆の多くが外交による解決を望んでいるのに対して、
日本人だけは半数が軍事的解決を切望しているという凄まじい様相を呈している。



これもまた例えれば、ある人間がニューヨーク・ヤンキースを嘲笑したところ、
なぜか隣にいた人間が「反日め!」と絶叫したようなもので、全く意味がわからない。


ヤンキースの場合、日本人選手がいるのでまだ理解可能だが、
アメリカを標的にしたミサイルが日本を狙っているという解釈がなぜ通るのだろうか。


思い当たるとすれば、本記事で述べたこと、
すなわち、立体的に日本領を迂回している弾道ミサイルを
あたかも日本領を通過したかのように報じ、騒ぎ立てたマスメディアの働きが背景にあるのだろう。



メディアが伝えるべきは
日本にはミサイルを防ぐ手立てがない、北朝鮮が現時点では日本を狙ってはいない、
ただし日本が改憲し、本格的に参戦してきた場合は容赦なく標的にされる、
にも拘わらず与党が「この国を守り抜く」と語り改憲を狙っていることだろう。


闘牛の前で赤旗をヒラヒラふり回すことが日本を守ることになるのだろうか?
この点を追及し、彼らのペテンを暴くことではなかったのではないだろうか?


事前情報では明日の選挙は与党の大勝になるらしい。
素人が赤旗を闘牛の前でヒラヒラすることを支持する大衆。


日本はイラク戦争の際と同じ道を歩むのだろうか。


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