時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

震災5年を経て ~元の木阿弥に戻る文化人たち~

2016-03-11 23:53:03 | マスコミ批判
震災から5年が経ったが、リテラの記事を読む限り、この国のマスコミや知識人は
あれだけ甚大な被害を受けながらも、その保守的な姿勢は一切崩さず今に至るようだ。


フクシマの戦犯・班目春樹元原子力安全委員長が「原発事故は天罰」発言!
現体制にも引き継がれる御用学者の無責任体質


復活した電力会社の原発広告に文化人や芸能人がまたぞろ登場して原発をPR!
500万円の高額ギャラも


リテラも百点満点のメディアではないけれども、
その辺の古臭い大手情報企業(A新聞やM新聞など)と比べればはるかに優れた記事を載せている。

恐らく、リテラのライターはフリーかそれに準じる地位、
仮に正社員であったとしても、その労働条件たるや大手新聞社と比べ遥かに劣ると思われるが、
学歴も経験も遥かに上であろうマスメディアの記者やディレクターより意味のある文章を書く。


私は前々から、日本人の活字離れや政治に対する無関心・右傾化は
本来、彼らを惹きつけなければならないはずの主流左翼の減退が原因だと思っている。



---------------------------------------------------------
そして、第16回(15年7月30日号)のラジオDJなどで活躍するモーリー・ロバートソン、
第17回に前出の勝間ときて、16年に入ると、第18回(16年3月3日号)で評論家の佐藤優が登場する。

佐藤は、専門である外交分野、とりわけ中東情勢を語りつつ、
“天然ガスの大半を中東に依存している日本でエネルギー問題は深刻”
“エネルギーミックスは我が国のとるべき唯一の戦略”などと強引に原発推進へ話を持っていく。

さらに、青森県六ヶ所村の核燃料サイクルを視察して
「強く感じたのは働く人たちの道徳心と士気の高さです」なる“根性論”を理由に
“六ヶ所村施設の存在そのものが、日本が国際社会から信頼を得ている証明”などと語っている。

ちなみに、佐藤に関しては、つい先日も
青森県の地方紙・東奥日報3月2日付の電事連全面広告に出演しており、
やはり“核燃料サイクルは日本に不可欠”と力説している。

http://lite-ra.com/2016/03/post-2054_3.html
---------------------------------------------------------

佐藤優は、創価学会の傘下にある出版社から公明党や池田大作をベタ誉めする本を出している。

『「池田大作 大学講演」を読み解く 世界宗教の条件 』

『 地球時代の哲学 』


「本書の狙いは、二十一世紀にわれわれが生き残っていくための生きた、
 ほんものの思想を創価学会名誉会長で、創価学会インタナショナル会長の
 池田大作氏のテキストから虚心坦懐に学ぶことである。」(本文より)


・・・らしい。


いくら大金を頂いているからといって、
自民党の腰ぎんちゃくに成り下がっている公明党やカルト宗教団体の創価学会を
ここまで持ち上げられるのは、そう出来たものではない。ある意味、拍手に値する。


私が抱く佐藤優の印象は、鈴木宗男とつるんでロシア絡みの利権を貪って逮捕されたところ、
これをうまく利用して権力者に弾圧された無実の男という虚構を演出し、
以降、反権力の志士として主流左翼らに崇められるようになったといったもので、
パートナーの池上彰に負けず劣らずの合法詐欺師だと思っている。


原発に限らず、佐藤は池田大作や亀山郁夫にゴマを擦って、
宗教やドストエフスキーに対する誤った知識を拡散している。

極めつけは次の本ではないだろうか?

猛毒国家に囲まれた日本―ロシア・中国・北朝鮮


佐藤は外務省にいた頃、ロシアで向こうの役人と一緒に仕事をしていたはずなのだが、
昔、自分が世話になった国を猛毒国家と呼ぶあたり、さすがだと思う。これは佐藤にしか出来まい。

共著者の宮崎正弘は
『日本に惨敗し ついに終わる中国と韓国』とか
『世界が仰天する中国人の野蛮』とか『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』とか、
まぁ、典型的な極右のアジテーターなのだが、彼と一緒に仲良く本を書いてしまうあたり、
どういう人物なのかは、彼を知らない人間にも大体想像がつくのではないだろうか?


こういう人物が岩波書店や週刊金曜日をはじめとする左派系雑誌で引っ張りだこになり、
今でも定期的に論説を載せている。日本の左派系論壇は壊滅的だと私は思う。



この国の主流左翼は、北朝鮮や中国、ロシア、シリアなどの
アメリカの敵国に対する姿勢が震災の前後で全く変わらなかった。


北朝鮮や中国、ロシアは相変わらず憎むべき国であり、
これを包囲するための軍備拡張の動きに対して、Noと言いながらGoサインを送っている。


-------------------------------------------------------------
中国外務省の洪磊(ホン・レイ)報道官は7日、
中国は米韓合同軍事演習に重大な懸念を持っていると発表した。


報道官は、次のように述べた-

北朝鮮は演習に激しく反応した。
 中国も(米国と韓国の)軍事演習に重大な懸念を持っている。
 中国は朝鮮半島と地理的に非常に近い。


報道官はまた、中国の国境付近に問題を生じさせるいかなる行動も認めないと述べた。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20160307/1739935.html#ixzz42brEqNyh

-------------------------------------------------------------

中国やロシアは朝鮮半島の緊張状態に対して、
元凶はアメリカと韓国にあるというスタンスを取っている。


その上で六ヶ国協議に戻るよう進言し、北朝鮮にも過激な反応を自粛するように求めている。
日本のメディアは後半の部分だけを強調し、「ロシアや中国も批判している!」と説明するが、
朝鮮半島において北朝鮮、ロシア、中国を封じ込めようとするアメリカの動きは、
沖縄の基地化や被害者不在の慰安婦問題の妥結の動きと直結していることには触れようとはしない。


問題は、ほとんどの左翼も似たり寄ったりだということだ。
『猛毒国家に囲まれた日本―ロシア・中国・北朝鮮』などというヘイト本を書く人間が
持てはやされるのは、つまるところ、右翼も左翼も偏見を抱いているからではないだろうか?


ロシアは悪だ、中国は悪だ、北朝鮮は悪だ。
こういう認識を前提に右は軍拡を、左は民主化を主張する。

プロセスが違うだけで目指すゴールは同じ地点にあると私は思う。

嘘だと思うなら、米韓合同軍事演習に対する左翼の反応を見てみるといい。
米韓軍事合同演習は10年以上前から、その性質は北朝鮮の先制攻撃を狙った脅迫的なものであり、
これが如何に北朝鮮を刺激し、核開発へと急がせてきたかは言うまでもないのだが、
この5年で、主流左翼が一度でもアメリカに向けて大々的に、
「合同軍事演習をやめて北朝鮮と平和条約を結べ」と
 声明を送っただろうか?


私の知る限り、
「北朝鮮は核開発やミサイル実験などの挑発行為をやめろ」と言った趣旨の声明はあったが、
その逆はなかったように記憶している。そこには挑発しているのはアメリカの方だという認識がない。

これは中国やロシアのそれと比べて決定的な違いだと思う。
ロシアや中国にもアメリカ寄りの意見をする学者もいるが、日本ほど一色に染まってはいない。


一見、日本は言論の自由があるように見えるが、その実、
意見の多様性を思えば、ロシアや中国のほうがあるとさえ思えてくる。

そう思わせるほど、日本の主流左翼の姿勢は右翼と大差ない。


このような左翼の右傾化こそが現在の日本において、
左翼が右翼の闊歩を許す最大の構造的かつ致命的な弱点だと思うのだが、
去年は戦後70年にちなんで多くの本が売られたにも関わらず、この点の言及はされなかった。


今のところ、原発推進の支持者の多くは極右思想の持ち主だが、
同じく推進者である池上彰や佐藤優を重用する左派系論壇の現状を思うと、
あと10年もしないうちに、ほとんどの左翼が少しずつ立ち位置を修正するか、
あるいは原発恐怖症に堕するかのどちらかになるのではないかと私は考えている。

つまり、原発や核に手をつける国を軒並み罵倒し、否定し、
その背景にある国際事情や国内のエネルギー問題を全く無視し、
結果的にアメリカをはじめとする侵略国に都合のよい行動を取るのではないかと思う。

現に、北朝鮮やイランに限って言えば、核を持つか持たないかだけが異常に気にされる一方で、
両国がアメリカや属国から受けている被害については、一切考慮されていない。

こういうアメリカの敵国の悪魔化は結局のところ、
現在の侵略者に対するささやかなエールとなるだろう。


日本の制裁は正しい。アメリカの反応は正しい。
イランや中国、北朝鮮が間違っているのだ。でも戦争は駄目です。

こういう平和主義が、一体、何の役に立つというのだろう?
国際政治の緊張に伴ってズルズルと後退し、やがて消えていくのは目に見えている。


私が震災の報道についても、あまり素直に喜べないのも「日本人の物語」になっていて、
あまり本質的な問題について語っていないように感じるからだ(一番マシだったのがリテラの記事)


一国中心主義から脱却して世界中心主義へと転換すること。
「日本人」ではなく、「人間」として物事を考えていくこと。

震災を日本人の物語ではなく、世界の悲劇として伝えていくこと。
これが今後の左翼に必要とされるアクションだと思われる。

最新の画像もっと見る