時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

ドイツの政界がよくわかっていない伊藤隆氏

2015-08-08 23:23:35 | マスコミ批判
新しい歴史教科書をつくる会の元理事であり、
育鵬社の歴史教科書(笑)の編集会議座長を務める伊藤隆東大名誉教授。


右翼の歴史学者といえば、秦郁彦氏が連想されるが、
秦氏が頻繁に左翼から攻撃される一方で、伊藤氏は特に名指しで批判されない。


というより、あんまり目立っていない(汗



これは、秦氏が一応、研究書(笑)で学問的に論争を仕掛けている一方で、
伊藤氏の場合、右翼雑誌でギャーギャー騒ぐだけだからなのかもしれない。


この方は、気に入らないヤツを何でもかんでも共産主義者にすることが特徴で、
例えば「ドイツと中国が仲が良いのはメルケルが首相だからに違いない、
メルケルは東ドイツ出身だから共産主義者なんだろう」といったことを
今月の『歴史通』で語っているのだが、メルケルはドイツキリスト教民主同盟の党首である。


同政党は西ドイツの政党であり、
6人いた西ドイツ首相のうち、4人はこの政党から輩出されている。

要するに日本で言うところの自民党だ。


反原発に転向したせいでメルケル=左翼と思われがちだが、
彼女は思いっきり保守派の政治家なのである(ギリシャやロシアに対する態度を見よ)


しかも、東ドイツにいたころは共産党の党員ではなかった。
これは、ちょっと調べればすぐにわかることだ。


思うに、あまり言いたくはないが、
メルケル→東ドイツ出身→共産主義者と連想したのではないか?
あるいは東ドイツ国民=共産主義者と安直に捉えたのではないか?


いずれにせよ、とんだ言いがかりである。




ちなみに、つくる会が勝手に仲間割れして勝手に分裂した後に
彼は相棒だったはずの藤岡信勝氏(元東大教授。専門は教育学)を

「藤岡氏というのは、ついこの間までは共産党の人でしたから、
 手法が全く共産党的で、彼にとっては、「新しい歴史教科書」
 の推進運動は闘争の場なのです。」と知ったような口で非難している。


つい最近まで戦友だった人をここまでこき下ろすような人間性を持つ人物に
日本人の誇りとやらを教わってもあんまりピンとこないのは私だけだろうか?




この人のおかしなところは、
南京事件の存在が当時から上層部に知られていたことを証明する日記を発掘した
にも関わらず、南京事件などないと言い張っていたり、史料が大事、事実が大事と
言っておきながら、思いっきり史料によって実証された日本の戦争犯罪を否定したりすることだ。



伊藤氏の理屈では、左翼の歴史学者は理屈重視で史実を無視・軽視するらしいのだが、
近代史に関して言えば、同氏のほうがよっぽど現実を見ていない。



東大には、高橋哲哉氏や小森陽一氏のような左の学者も多くいる一方で、
右の学者も存在していて、それはよく言えばバランスが良いということだが、
比ゆ的に表現すればロマネコンティとヒ素入りワインを売っているようなものだ



仮に酒屋や料理店で、このような真似をすれば即刻営業停止になるが、
大学という教育機関の場合、そのようなお咎めは一切発生しない。


それどころか、伊藤氏は弟子の加藤陽子氏(現東大教授)に
最大限、好意的に自分の功績を評価されていたりと、大目に見てもらっているのだ。


こういうのを見る限り、終戦前後に生まれた左派系学者は、大体、
学生運動を肯定的に評価しているわけだが、私はどうも違うと思えてならない。


その時、学生と対立していた当時の助教授が後の時代でも順調に出世し、
極右のプロパガンダの陣頭に立つことを思えば、とてもじゃないが成功したとは言えないだろう。

感想「櫻井翔くん&池上彰さんの教科書で学べない戦争」

2015-08-04 23:31:36 | マスコミ批判
池上彰氏にしては、よく出来た番組だったと思う。
嵐の櫻井くんが出演してくれたおかげか?


とおどけても何なので真面目に感想を述べると、
今のテレビ局で出来る最大限の反戦番組といった印象を受けた。


前半は、軍歌や映画などの戦時のプロパガンダを取り上げ、
後半はラパウル海戦などの南太平洋での海戦を中心に戦争を振り返っていた。


その際、大日本帝国の核開発計画に触れるなど、かなり意欲的な企画も盛り込んでいた。
恐らく、本番組を担当した斉山嘉伸プロデューサーの貢献によるものだと思われる。



この番組を見ても、特に右翼的見解になることはないだろうし、
むしろ、旧日本軍上層部の無謀……というより無能な一面を強調したVTRを見て、
もうあんな戦争は起こさせんぞ!集団的自衛権なんてまっぴらじゃ!と思う人が増えたはず。


櫻井君が出演していることもあり、視聴率はかなりあったのではないだろうか?
総じて、右翼が泣いて悔しがるクォリティだった。斉山Pに感謝。





さて、ここからは文句を書くが、上記のように評価される点もあった一方で、
全体的には、永遠の0・池上バージョンと言う出来だった。


映画『永遠の0』のどのあたりが問題なのかは、リテラが詳しく説明している。
何度でも言おう 『永遠の0』は反戦作品じゃない、平和ボケの戦争賛美ファンタジーだ!


簡単に説明すると、この映画の致命的な弱点は日本兵だけがクローズアップされ、
彼らに占領され、抵抗したために惨殺されたアジア人の姿が全く映っていない点にある。


さすがに今日の番組は『永遠の0』よりはマシだったが、
それでも、インドネシアに取材に行ったわりには、現地で実施された
強制労働(「ロームシャ」という言葉がインドネシア語になっている)や
慰安婦(東南アジアの住民にも慰安婦にされた人間が多々存在する)については完全無視だ。


他にも、戦争末期では、旧日本軍の退却と平行して、
現地のスパイ&ゲリラ狩りが実行されたのだが、これは文字通りの皆殺しだった。

フィリピンを例にすれば、ロスバニオスなどにおいて、
現地住民を教会に連行し、閉じ込め、焼き殺しているのだが、この時の加害兵には
本日の番組でも若干ふれたガダルカナル島の戦いで生き残った人間もいたりする。


こういう兵士が行った惨殺には全く触れないまま、
無能な上官に消耗品として利用されたゼロ戦パイロットを悼んでいたわけである。



もちろん、動員された兵士を悼むことも大事なことなのだが、
池上の他の番組の説明(東京裁判や慰安婦、靖国等の解説)とあわせてこの番組を見ると、
兵士を被害者として悲劇的に演出することで、
彼らの加害者としての側面を描かせまいとする池上史観
が現れてくる。


軍人=被害者だから、戦後に開かれたA級・BC級裁判は勝者の裁きになり、
靖国神社は兵士を追悼する神聖なる神社になり、
日本の意図を「理解」してもらうのが日本外交の課題になるのである。




あくまで被害者は日本人だけ……という意識がそこに存在する。
当然、東南アジアにも日本の戦争犯罪の被害者たちを追悼する施設があるのだが、
そこにいって黙祷を捧げたシーンは残念ながらコンマ1秒すらなかった。


とはいえ、日本人の遺骨問題も解決されるべき問題で、
わざわざニューギニアまで飛んで暑い中、穴を掘って骨を探した櫻井君の姿には
感動したし、彼の誠意までギャーギャーけちをつけてはいけないだろう。


そもそも、櫻井くんに番組内容に干渉する権利はないはずだし。
斉山Pも視聴者がキレないギリギリのレベルでこの番組を作ったのだと思う。

海外取材を行った製作スタッフにも労いの言葉をかけたい。


問題は、ある番組では左翼的な発言をしてプロデューサーにすりより、
また別の番組では思いっきり右翼的な解説をさも中立意見のように語る某人だけだ。



こういう輩を巷では佐藤優現象と呼ぶらしいのだが、
私は今日から、これをイケガミズムと呼ぶことにしたい。



なお、某人の右翼的番組に対するツッコミは、ここで少しだけ読める。

なぜ? リベラルの星・池上彰が韓国特番でネトウヨ、嫌韓本そのままのヘイトデマ解説

そうだったのかぁ?東京裁判 (池上氏の説明への素朴な疑問)

2015-07-25 23:53:44 | マスコミ批判
思いっきり右翼的な見解を示しているのに、
なぜだかリベラルの星ということになっている池上彰氏。

池上タブーでもあるのか?


だいたい、『ビートたけしのTVタックル』の後継番組が
彼のニュース解説番組である時点で、お察しだろうが

と思うのだが・・・

まぁ、それはともかく、今日の彼の番組は、なかなか面白かった。

前半の村山談話の解説では村山氏本人のメッセージを流したり、
テレビならではの工夫された演出がされていた。

他方、後半では東京裁判を否定的に評価し、
その後、ドイツの戦後教育を肯定的に評価するという矛盾に満ちた構成になっており、
小林よしのり流の「ナチスは悪!でも日本は正義!」という歴史観に則ったものになっていた。


公正中立をモットーとする池上氏だが、
弁護人と被告の言い分のみを強調して審議内容について触れなかったのは興味深かった。


例えば、池上氏(&VTR)は、侵略という言葉は曖昧に定義されており、
東條英機の自衛戦争論を取り上げることで、暗に侵略戦争ではないと主張している。


この点については、同裁判における
東郷外相とキーナン検察官との答弁を引用するだけで十分だろう。



東郷「日本としては米国に対して戦を開くほか行き途がなかったというふうに
   見受けられる。これは日本の存在のみならず、日本の名誉にも
   かかわる問題であったので、……自衛戦争としていたしかたない
   ということを……全員一致して決めた」


キーナン「自衛のための戦争という表現を使って、
     あなたはいわゆる『日華事変』(日中戦争のこと)、
     あるいはハッキリ言うと『対中戦争』を考えているのか?」

東郷「当時私が知っていた事実からは、どんな場合でもというわけでは
   ないにしろ、『日華事変』には自衛の要素があったと結論できる」

キーナン「戦闘は中国の中心部で行われたとすれば、
     どんな自衛だと言えるのか


東郷「……その問題に関して言えば、そのような行動はあまりに行き過ぎたものだと思った」



当時の日本は日中戦争の最中であり、中国各地やインドシナを占領していた。
いわゆる南進というものだ。その撤退を要求し、結果的に開戦になったのだが、
実は、開戦直前の12月6日にローズベルトは昭和天皇あてに親電を送っている。


この親電では、アメリカは日本に対して、インドシナ、タイ、オランダ領東インド、
マレーの中立化だけを要求しており、両国の上にたれこめている暗雲を共に吹き払い、
死と破壊を予防しようではないかと問いかけている
。どう見ても脅迫文ではない。

これはハル・ノートの後に送られたものだ)



つまり、直前までアメリカは対話と妥協を模索しているのだが、
これを池上氏は完全に無視し、東條ら戦犯の言い分だけを絶対視している。



そもそも、日本の対米戦争は数年前から計画されているものであり、
そのルーツを辿ると、最終的に張作霖謀殺事件に行き着く。


東京裁判では、A級戦犯、すなわち侵略戦争を計画・実行した者を裁くものだった。
当然、アジア・太平洋を占領しようとする計画がいつ練られたのかを検討することは重要になる。


この点で採用されたのが田中メモと俗に呼ばれる対外膨張政策の綱領で、
そこでは、当時、首相であった田中義一大将が昭和天皇にむけて、
満蒙(満州)、中国、東南アジア、インド、南洋の順番に、
段階的に占領地を広めていくという方針が語られている。


つまり、日本のアジア侵略は、張作霖の謀殺から始まる
満州・中国の領土奪取から進んでいったものとみなしているのだが、
池上は、はるか昔の戦争にまで遡らなければ、
A級戦犯(平和に対する罪=謀議の罪)を立証することが不可能だったと説明する。

これは、裁判の内容を知るだけでも、完全なウソだとわかる。


例えば、検察官たちが入手していた1937年に陸軍省が作成した基本要綱では、
太平洋周辺地域での戦争に備えるという内容が記されている。


1940年9月の枢密院会議の秘密議事録では、対米戦争は不可避のものとして決定された。


このように、日本がずっと前からアメリカやフランス、イギリス等の植民地を
狙っていたことは、裁判のために入手した各資料から明らかにされたのだが、
この辺の説明を池上氏は全くしなかった。


つまり、侵略戦争なのか自衛戦争なのかは、
日本が実際に行った内容を検証することで裁判中、明らかにされた
のだが、
池上氏は徹頭徹尾、具体的な審議の動向には触れず、
被告や弁護人の見解を強調し、裁判を否定している。




そういうわけだから、VTRでは終始、
A級戦犯は善玉、判事側は悪玉として描かれている。



しかも、具体的な答弁を語ると都合が悪いので、判事たちは黙してにらんでいるか、
あるいは「被告(弁護)の言い分は却下された」との結論だけ示して、
さも不当な判決が下されたかのように印象付けている



本業はどうした?と思いたくなる北村弁護士にいたっては、
原爆投下の罪を問いただした弁護人の発言を取り上げ、
東京裁判の良いところはここだけだといきまいていた。



しかし、東京裁判の最大の意義は日本の戦争犯罪を、
豊富な資料によって明らかにしたことであった。


もちろん、731部隊の細菌兵器の使用や人体実験など、
アメリカにとって都合の悪い(有罪にしてしまうと、後の戦争で、
自国が細菌兵器を使用できなくなる恐れがある)事件は無視されたし、

皇族や財閥など、思いっきり戦争に加担している人間は、政治的配慮から免罪された。


ニュルンベルク裁判と比べても、東京裁判は甘い裁きに終わっている。


このように問題は多々あったし、池上や北村が述べるように
戦勝国の戦争犯罪は特に問われることが無かったという欠点もあった。


だが、それを根拠に裁判全体を否定的に評価するのはおかしい。


結局、「東京裁判は勝者の裁き、復讐だ」という右翼の言い分を
そのまま繰り返すだけの内容で、戦後70年を迎えて池上氏が
どのような歴史観をもっているかを確認するには、うってつけの番組
だった。



それにしても、北村弁護士の熱弁には驚かされた。

この番組のゲストは終始、池上氏の言い分を黙って聞き、時おり
「そうだそうだ!」と言うだけのチョロい仕事を任されているのだが、

他の芸能人と比べて、北村弁護士は随分と積極的に池上氏を援護している。


芸能人は生活もかかっている&業界の体制に慣れきっているから、
空気を読むのはわからなくもないが、弁護士として自活していける彼が、
なぜあそこまで池上の肩を持つのかはちょっと意味不明。


本人は「ええ仕事したで~」と思っているのだろうか?
池上氏よりも北村弁護士のスネ夫っぷりに驚かされた二時間だった。


・追記

ちなみに、番組で「降伏か、さもなくば死を」という内容として紹介された
ポツダム宣言だが、原文はここから読むことができる。

http://www.ndl.go.jp/constitution/etc/j06.html
(国立国会図書館のホームページより)


番組では、戦勝国が敗戦国を裁く口実として利用されたかのごとく説明されたが、
その肝心の部分、すなわち、次の箇所


吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ
 又ハ国民トシテ滅亡セシメントスルノ意図ヲ有スルモノニ非サルモ

 吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰加ヘラルヘシ

 日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ
 復活強化ニ対スル一切ノ障礙ヲ除去スヘシ
 言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルヘシ


青色の部分が省かれている


また、ポツダム宣言の次の箇所が紹介されていない。


「合衆国、英帝国及中華民国ノ巨大ナル陸、海、空軍ハ西方ヨリ
 自国ノ陸軍及空軍ニ依ル数倍ノ増強ヲ受ケ

 日本国ニ対シ最後的打撃ヲ加フルノ態勢ヲ整ヘタリ

 右軍事力ハ日本国カ抵抗ヲ終止スルニ至ル迄
 同国ニ対シ戦争ヲ遂行スルノ一切ノ連合国ノ決意ニ依リ
 支持セラレ且鼓舞セラレ居ルモノナリ」


つまり、日本を攻撃する態勢を整えました、
日本が抵抗をやめるまで戦いますという内容なのだが、
これを池上氏は「降伏か、破壊か」の二択を迫ったものだと説明している。


これは明らかな曲解だろう。

戦後70年、池上彰氏からのメッセージ

2015-07-25 21:37:31 | マスコミ批判
白々しいやっちゃなぁ~
というのが正直な感想。

池上氏が言うには、日本は戦後一切戦争を行ったことがなかった。

戦争をしていない。その意味をこめて「戦後」70年という言葉がある。
今後も、戦後80年、戦後90年、戦後100年と続いていけばいいですね。


大体、こんな言葉だったが、
憲法前文に驚き記述 創られた反日建国神話とか
中国人に欠けているのはモラルとか
思いっきり、他国への憎悪を煽っているのはどこの誰だったのだろうか?

極め付けに、
集団的自衛権にもメリットがある(!)として
安倍政権の言い分をそっくりそのままコピー&ペーストして説明した
のは
どこのどいつだったろうか?私の記憶が正しければ池上氏だったような気がする。




池上氏は集団的自衛権のメリットとして、
日本が資源を確保するために重要な地点である
ホルムズ海峡の機雷掃海が出来るようになると説明した。

実は、この説明は安倍の言い分をそっくりそのまま述べたもので、
すでに論破されているものだったりする。


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安倍政権が集団的自衛権行使で唯一念頭に置いている
実例としてあげているホルムズ海峡の機雷掃海に関して、
外務省は
機雷敷設による海峡封鎖自体、“現実性が乏しい”とみていたことが
10日の衆院安保法制特別委員会で初めてわかりました。



日本共産党の穀田恵二議員が、
「取扱厳重注意」とされた外務省の内部資料から明らかにしたものです。


穀田氏が暴露した外務省資料は、2012年に
日本が米軍主催のペルシャ湾での国際掃海訓練に参加するにあたり、外務省がまとめたもの。


同資料には、
「イラン原油輸出はホルムズ海峡経由で行われており、
海峡『封鎖』はイラン自らの経済活動を封殺するものであり、
ホルムズ海峡『封鎖』はイランにとっても重大な決断を要するもの」
と明記されています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-12/2015071202_03_1.html
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外務省が否定している妄想を前提にして、
「集団的自衛権が認められればこんなことができるよ!」と説明する池上彰&安倍。


彼らのやり方を真似れば、
集団的自衛権がなければ、地球を侵略する宇宙人に応戦できないじゃないか!
なんてアホみたいな理屈も通用してしまうだろう。



この他にもアメリカに向かう弾道ミサイルを迎撃できると説明していたが、
これは技術上無理だということがすでにハッキリしている。



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集団的自衛権の行使を合理化するための事例の一つに、
米領グアムや米本土に向かう弾道ミサイルを日本が撃ち落とさなくていいのか
という議論があります。



首相は、
「ミサイル防衛において、日本に飛んでくるものは(撃ち)落とすけれども、
グアムに飛んでいくものは(撃ち)落とすことができてもパスをしてしまう。
これでもう相当たくさんの死者が出る。日米同盟はその段階において
大変な危機を、終わるかもしれないという危機を迎える」
(2013年2月27日、参院予算委員会)と述べていました。


ところが、グアムに向かう弾道ミサイルは高高度を高速で飛ぶため、
日本のミサイル防衛システムで撃ち落とすことが技術的に不可能
なのは、
政府自身も以前から認めていたことです。



もともと無理なことを集団的自衛権行使容認の口実にするのはおかしいとの批判を受け、
首相は、「もし将来、技術的にそれが可能となった場合、
グアムあるいはハワイに向かっていくミサイルについて
撃ち落とす能力があるのに撃ち落とすことはできないのか」
(今年2月10日、衆院予算委)と答弁を修正し、日本に迎撃能力がないことを認めました。

集団的自衛権の行使容認ありきで、都合のいい事例を考え出したものの、破たんしたのが実態です。


グアムに飛んでいく弾道ミサイルを撃ち落とす例を挙げられなくなったためか、
最近、首相がよく持ち出すのは、“公海上で日本に対する弾道ミサイル攻撃の
警戒に当たっている米国のイージス艦が攻撃を受けた際、
近くにいる日本のイージス艦がこれを防がなくていいのか”という議論です。


これも、専門家は、日米のイージス艦が近くで
一体的に活動していれば日本側への攻撃とみなして反撃できる
と指摘しています。

首相は、両艦が水平線を越えてお互い見えないほど
離れていることがあると反論していますが、それほど離れている場合には、
逆に、米艦への攻撃を防ぐのは技術的に不可能
だといわれています。


首相は、“朝鮮半島有事で米軍を攻撃している北朝鮮に
武器弾薬を運んでいる船舶が日本の目の前を通過しているのに
これを阻止しなくていいのか”という例もしきりに挙げます。


これも、朝鮮半島が戦闘状態になれば
日本海は船舶が武器を運べるような状況ではないと、非現実性が指摘されています。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-14/2014031401_05_1.html
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要するに、
「宇宙人が責めてきた時に、今のままじゃダメだろうが!」
同レベルの詭弁を池上氏は集団的自衛権の説明に採用している。




池上氏がどういうつもりで、安倍の説明を無批判に取り上げたのかは謎だが、
彼の説明は集団的自衛権の容認にも良い所があると印象付けるものになっている。


というより、安倍の説明が正しいことを前提にしている
ここには、政府の見解は間違っているのではないかという批判精神がない。


まぁ、彼のスタンスは中立らしいので、それほど強く非難するものでもないが、
実に不可解なのが、自分がさも平和主義者であるかのように演技をすること。



冒頭の言葉にしたって、東京裁判を否定的に評価した後の言葉であり、
要するに日本の戦争が侵略戦争と呼べるかどうかは微妙なんだというスタンスの上での発言だ。



そういう表面的な平和論者は、簡単に権力に媚を売って軍拡を支持してしまうし、
現に池上は集団的自衛権に関しては全力で安倍をサポートする説明を行っている。


また、戦争をしなければそれでいいというわけでもなく、
アジア人に対する差別意識の払拭も今後、我々に求められるものだと思うが、
この点に関しても、池上は払拭どころか助長させるコメントをしているわけで、
本当に彼がアジアの人々と争いを望んでいないのか、かなり怪しい。


どうも、安倍と同じく国力による力ずくの平和を望んでいるように見えるのだが……

池上彰氏のギリシャ債務危機の説明について

2015-07-04 22:50:36 | マスコミ批判
「究極の責任逃れ」
またもや、名言が生まれてしまった(汗
池上氏は、毎回一言は名言を言わなくては気がすまないのだろうか……


久々に日本を代表する名ジャーナリスト、戦うリベラリスト池上彰氏の番組を見た。
4つのテーマを扱っていたが、特に面白かったのが最後のギリシャ債務危機の開設。

少年Aの話も中々だが、とりあえず、今回は債務危機のことにだけ言及しようと思う。



まず、今回の債務危機に関して確認しなければならないのは、
明日行われる国民投票は、債務を返すかどうかではなく、
融資の条件として提示された更なる緊縮策の可否についてのものであるということだ。


おあつらえの記事があるので、紹介しよう。
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ギリシャでは明日5日、国民投票が実施され、人々は、
国の社会・経済政策を引き締めると約束すれば財政援助を与える
とする債権団の要求に
「イエス」と答えるか、それとも「ノー」と答えるか、決めなければならない。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/europe/20150704/535183.html#ixzz3evXCwS9o
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現在、ギリシャでは緊縮策が行われた結果、次のような現象が起きている。



・大増税⇒消費減退⇒約100万の失業者が発生(失業率が9%⇒25%に)

・医療予算の削減⇒大量の無保険者が発生⇒医療費を払えない人間の路上死が社会問題になる


つまり、大量の失業者と無保険者が発生したのだが、
この上、さらに緊縮を求め、EUは「主に」次の要求を行ってきた。


●年金需給年齢の67歳まで引き上げること

●低所得である年金生活者への追加支払いを削減すること

●ギリシャの島々のための消費税に関する優遇措置を撤廃すること

●ビジネスに対する税金を引き上げること

消費税を23%に引き上げること


これら要求を受け入れるかどうかの国民投票なのだが、
どうも池上氏の話では、ギリシャが金を借りておきながら
「借金を踏み倒そうとしている」と視聴者に受け止められるのではないか
と番組を見て感じた。(「金をよこせ」と言う言葉を多用してもいた)



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ギリシャの債務総額は3500億ドルに上る。
うち2700億ドルが欧州中央銀行、IMF、ユーロ圏各国に対する債務である。

この三者が交渉におけるギリシャの相手型である。
三者は、税率引き上げや予算削減などの緊縮策をギリシャ政府に求めている。


こうした緊縮策が導入されれば、長年にわたり
経済危機に苦しめられてきたギリシャ国民の生活が、さらに圧迫されることになる。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/business/20150703/532882.html#ixzz3evamjOlg

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池上氏の解説では、
緊縮策=節約となっているが、実際には増税だ。



増税を巡って、それでも融資を受けるか受けないかの話なのだが、
なぜだか「返すか返さないか」の話にされていたので、一応補足しておいた。



では、この国民投票に関して、現首相のツィプラス氏はどうコメントしているか?
結論を述べると、「要求を呑むな」と語りかけている。




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ツィプラス首相は、国民に対し
投票では、国際債権団の提案を退けるよう訴えた。


彼の意見によれば、
もし有権者の大多数が緊縮財政措置に反対すれば、
それはアテネ政府がEUやIMFそして欧州中央銀行との交渉で、
相手側の歩み寄りを期待できる
との事だ。




一方欧州委員会のユンケル委員長は国民投票を前にコメントし、
ギリシャ市民に対し「自殺行為はせず」ギリシャ支援継続に関する
債権団の条件に賛成するよう求めた。



緊迫するギリシャ情勢を、現地の民間ジャーナナリスト
ヴァッソ・ポリフロノプロ(Vasso Polychronopoulou)氏に聞いた―



「我々は、債権団三者の条件に賛成することはできない、
我々の欧州のパートナー達は、我々に消費税を23%に引き上げるよう求めている。
我々の競争相手の税率は10%なのにである。


債権団三者は、我々が経済的に自滅するのを欲している。
おまけに今は、観光シーズン真っ盛りなのだ。


観光業は、百万もの失業者を抱えたギリシャ国民にとって
仕事にありつける唯一の分野なのだ。これは、政治ゲームである。


彼らが我々の政府を好きではないことは良く分かる。
彼らは、どこか他の国の政府であれば、こんな風には行動しなかったろう。


しかし多くのギリシャ人は、
こんな政府であっても国民の利益を強く主唱していると捉えている。

前の政府でさえ、それを試みなかった。
我々は、EUから抜けたくはない、しかし平等でない欧州も欲してはいない。

もし最も強力なパートナー達が、
弱い国々の意見より大きな発言力を持つのであれば、それはもう連合体ではない。」

続きを読む http://jp.sputniknews.com/business/20150630/518144.html#ixzz3evd1W826

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これ以上の増税は嫌だ、でも要求を呑まなかったら融資は受けられない。

一体どうしたらいいのだろうと右往左往しているのが今のギリシャだ。




池上氏はギリシャ人が「借金を返済しない」理由として
「ヨーロッパ文明が始まった土地はギリシャだというプライドがある」
「冷戦時代アメリカが援助してくれたので、また今回も助けてくれると思っている」
「EUを脱退し、中国やロシアの側へ向かってもいいのかと脅しをかけている」

とコメントしていたが、確かにそういう声が絶対に無いとは言い切れないが、
それは少数意見であって、更なる増税・福祉費削減がメインの反対理由である。



私が見た限りでは池上氏は
「返すのが常識なのに愛国心をむき出しにして返そうとしない」
と主張しているのだが、それは曲解なのだろうか……?



まぁ、確かにギリシャの反対派の民衆は、
一貫して緊縮策受け入れの拒否を唱えてきたわけだが、
「緊縮策は受け入れないぞ。金だけよこせ」と主張していると
解説するのはどうだろう?明らかに悪いイメージを与えているように見えるのだが……



古事記か何かだと勘違いしているような気がするのだが、それは邪推だろうか?



一番気になるのが、ツィプラス首相が6月の中旬に
緊縮財政の拡大が強調されれば、ギリシャはユーロ圏脱退を検討すると警告した
ことを無視して「責任逃れで国民投票をするのだ」と語ってしまったことだ。



「究極の責任逃れ」(開き直りだったかも?いずれにせよ同じことだが)をして
自分の立場を鮮明にせず、国民に決定を委ねたということを述べていたが、それは違う。


逆に彼は緊縮策の拡大に反対しろと自分の意見を述べているわけだが、
番組では「本来は政治家が決めるべきもの」と真逆の事実が語られている


要するに、いつもの池上彰だった。
(中立を装いながら、保守派の意見を代弁する、いつも通りの解説だった)


私は、なぜ彼が未だにメディアに登場できるのか不思議で仕方が無い。
そろそろメディア研究者や政治学者らが苦言を呈してもいいのではないだろうか?



しかも、彼の場合、明らかにギリシャ国民に悪印象を与える話をしているわけで、
(中国や少年Aに対してもそうだが)、一種のヘイトスピーチじゃないかとさえ思う。



「節約しろ」と「増税しろ」では反対者に対する印象が大分違う。
意図的に単語をチョイスしているとするならば、かなり問題がある気がするが……どうだろう?





・追記

もしかして池上氏は
「究極の責任逃れ」ではなくて、「究極の開き直り」と言っていたかもしれない。
 どちらにしても、ツィプラス首相を非難する言葉である。

 更なる緊縮策を受け入れないギリシャは悪だということだ。


・追記2

 文明の発祥地であるギリシャがEUの要求など呑めるかという
 自惚れた考えをギリシャ人がしているという言説は池上の創作だと思う。

 あるいは保守派の創作をどこかで耳に挟んだとか?
 少なくとも私は、そのような話は効いたことがない。

最近のプロパガンダについて

2015-07-02 00:12:48 | マスコミ批判
最近、池上彰がニセの吹き替え字幕を表示させ、
日本に好意的な韓国人の言葉を真逆の内容に偽った事件がちょっとした話題になっている。

これは、もちろんテレビでは報道されていない。

今に始まった話ではないが、日本のメディアでは
毒を毒と言わずに、そのまま垂れ流す悪質な行為がはびこっている。



今年の2月に掲載された松尾某のインタビュー記事でも
データを見る限り、雇用情勢に量的緩和は大した影響を与えていないのに
「雇用は増えた」と大雑把な事実だけを提示し、真逆の印象を与えている。



しかも、雇用は増えたといっても、非正規雇用の増加であり、
壮年期の正規社員⇒非正規社員へのキャリアダウン現象を主とした
労働条件の低下を意味するものであるのだが、松尾は別の場所で、
無職よりはマシと語っている。ワーキング・プアという言葉を知らないらしい。


基本的に、彼らは話を振られると「ちゃんと考えてますよ」と言いたげに
日韓の友好平和が大事だ、本来なら正規雇用が増えるべきだ等々の
申し訳程度の一般論を述べるが、実際には政府にとって都合の良い見解を示している。


池上は慰安婦問題が解決されないのは韓国の市民団体の責任だと語っているし、
松尾は来年、好況になるかもしれないからアベノミクスを批判するなと言っている。


(正確には「安易なアベノミクス失敗論」への自粛を主張しているが、
 安易かどうかの基準は松尾にしかわからない。要は批判するなということである)


両者に共通するのが、実際はモロに保守的……というより極右な意見
(『中国人に足りないのはモラル』、『無職よりはマシ』等々)をしているのに、
自分たちは保守派ではないと主張し、メディアもまたそのように宣伝している点にある。


こういうメディアによる逆さまの報道・情報というのは、よく見られる現象で、
例えば、映画『アメリカン・スナイパー』は日本では大作として宣伝されたが、
実際は、この映画はプロパガンダの色が非常に濃く、多方面から批判を受けている。



-----------------------------------------------------
映画「アメリカン・スナイパー」は、
2014年にクリント・イーストウッド監督により制作され、
今年の1月6日から大々的に公開されています。



原作は、イラク戦争に4度従軍したクリス・カイルの自叙伝
『ネイビー・シールズ最強の狙撃手』であり、
この映画は第87回アカデミー賞の6つの部門にノミネートされています。


(中略)

クリス・カイルは、回想録の中で自らの信条や見解を述べており、
これを読むことで彼の本当の人物像をある程度知ることができます。


クリス・カイルは、回想録の中で次のように述べています。

野蛮人、忌まわしい悪魔。それは、私たちがイラクで戦ってきた人々のことだ」 


クリス・カイルは、射殺される1年前にあるインタビューで次のように述べています。


私が殺めた人間は皆、悪人だったと確信している。

 もし、自分がしたことのために神に返答しなければならない時が来れば、
 私が返答を求められる事例が沢山あるのは明らかだ。
 だが、これらの人々を殺めたのは、そのどれ1つとして罪ではない。
 彼らは、アメリカの野蛮な敵なのだ。
 私の責務は、敵を殺すことであり、これについて私に罪悪感は全くない。
 私は、戦争に多くの不快な記憶があるが、良心の呵責に悩まされることはない」


(中略)

映画「アメリカン・スナイパー」は、
クリス・カイルが残した残忍な人物像を、責任感溢れる兵士に変化させています。



この映画の中ほどには、子どもがアメリカ軍兵士に向かって銃撃しようと決意する時に、
クリス・カイルがストレスにさいなまれ、その子どもに向かって銃を捨てて
自分の生活を続けるようにと求める場面が出てきます。


この場面は、アメリカの世論を満足させた可能性はありますが、
アメリカ政府がイラクで引き起こした大惨事とは完全に矛盾しており、
この映画はその矛盾した内容を宣伝しているのです。

http://japanese.irib.ir/component/k2/item/52680
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-----------------------------------------------------

積極的平和主義しかり、今回の反日報道しかり、真逆のイメージが刷り込まれている。


ある意味、橋下徹や石原慎太郎の述べることはストレートな表現であるぶん、
逆に、その怪しさを看破しやすいが、この種の中立や革新を装った意見は見破りにくい。


まぁ、それでも本文を読めば、その怪しさを見抜くのにそれほど苦労はしないのだが、
ほとんどの人間は、彼らの意見に直接触れないので、
何となく「池上=リベラル⇒信頼できる」というイメージが出来上がっていて、
意見自体は極右に近いのに、あれよあれよと正しい意見として拡散・受容されていく。


こういう巧妙なプロパガンダは信者を産みやすいので、
批判者を弾圧する際にも被害者を装うだけで、勝手に他人が空気を読んで始末してくれる。


池上と朝日新聞社との間のコラム掲載事件などは、その典型だろう。

この時、周囲のメディアが池上の英雄化を助長させたが、
それは、何も池上が頼み込んだわけではない。完全にメディアの責任である。

こういう御仁がメディアに持て囃されるのは世の常だが、
冷静に考えれば、鳩山政権時、執拗に県外・国外移設を強要していたメディアが
今の安倍政権では逆の立場から報道しているわけで、何だかんだで同類項なのかもしれない。

補足

2015-06-27 00:10:00 | マスコミ批判
ある記事の間違いを指摘されたので、問題の箇所を移動、
加筆・修正し再アップロードしたが、やはり自粛すべきだと考え、削除した。


執拗な攻撃を受けたため、止むをえずの処置である。
まさしく・・・言論テロ

池上彰は本当にリベラルの星なのか?

2015-06-13 23:08:50 | マスコミ批判


さすがに度が過ぎたのか、池上彰の番組が非難されているようだ。
http://lite-ra.com/2015/06/post-1181.html


先に批判記事をリテラに書かれてしまった。残念。
上の記事では池上はリベラルの星と表現されている。


しかし、池上が左翼はおろか、リベラルに立ったことなどない。


靖国問題に関しては、参拝の意義を理解してもらうよう訴えることが大事と言い、
慰安婦問題に関しては、解決されないのは韓国の市民団体のせいだと言い、
竹島に関しては、「日本としては、それ(韓国の領土化)を阻止するため、
韓国の実効支配を認めないというアピールをしておかなければなりません。」
と言っている。


どこらへんがリベラルなのか、さっぱりわからん。


池上の主張は右翼の言説をそのままなぞったものだ。
リテラは池上が極右ブログを参考に韓国を批判したと非難するが、
それはいつものことである。



そもそも、右翼の言葉と左翼の言葉を並べて、
最終的に保守よりの意見を述べるのが、池上のスタンス
ではないか?


例えば、池上は靖国神社にしても、実はこの神社は天皇の神社であり、
西郷隆盛など、賊軍として働いた人間は、同じ日本人でも祭られない、
つまり、日本人ではなく天皇の兵士を称える神社であることを知っている。


ところが、最終的に彼は
「日本のために死んだ兵士を悼む気持ちを理解してもらおう」という
安倍の言い分をそのまま繰り返している。

何のための知識なのやら、わけがわからなくなる。


そういうわけだから、今回の反日解説番組にしても、
いつも通りの通常運転だったのだが、なぜか今回だけ批判されてしまった。


これは実に不思議なことだ。



リテラをはじめ、岩波書店、その他の左派系メディアも
池上彰を正義の使者であるかのように褒め称える。



正直、私はヘイト・スピーチよりも池上のほうが性質が悪いと思う。

桜井誠の言い分は、誰がどう聞いたっておかしいとわかる。
だが、池上の場合、ウソを含め肝心の事実を知らせず「わかりやすく」解説する。
そのため、予備知識の無い一般市民は彼の言説を疑わず信じるだろう。

つまり、合法詐欺師の腕前としては桜井より池上のほうが遥かに上だ。
明らかに後者のほうが受け手の思考力を鈍らせている。


テレビの効果もあいまって、池上の言説を聞き、
嫌韓や嫌中に目覚めた国士は結構いるような気がする。


その点を黙認して、池上無双だの、リベラルの星だのといって
同氏を宣伝している左翼系メディアの無責任な言動は批判されてしかるべきだろう。


リテラは、インターネット週刊誌の色が濃いのでまだ理解できるが、
岩波まで池上に記事を書かせるのは一体全体、何なのだろうか?


『世界』の編集部や岩波新書の編集者は、
池上の言説が保守派のそれだと気づかないのだろうか?



これは何度も言っていることだが、
今の日本の右傾化は正確に言えば、左翼の右傾化だ。


市民の中には依然、左翼と呼べるであろう人間は潜在的に多くいると思う。
実際、震災などの大きな困難に遭遇して、多くの市民団体が生まれたのは記憶に新しい。


とするならば、近年、左翼系の図書が売れない原因は、読者ではなく、
彼らを満足させられない中途半端な情報しか発信しない出版社にあるだろう。

古市憲寿は学者ではない。

2015-05-10 00:06:58 | マスコミ批判
私は前々から古市氏の言い分と振る舞いがおかしいことを指摘していたが、
とうとう、あのリテラから古市氏の批判記事が登場した。

「ブサイクは怠惰の象徴」古市憲寿のブス差別がヒドい! 容姿差別は合法だと開き直り


------------------------------------------------
格差社会に伴う若年層の不幸な状況が問題視されるなかで
あえて「若者は幸福」と語り、とりわけ2010年代、ニュースや討論番組に頻繁に出演するようになった。

しかし、その言動をつぶさに見て行くと首をかしげたくなることも多い。

事の発端は昨年10月13日、古市くんがTwitterで
「テレビで中学生くらいの子たちが合唱してるんだけど、
 顔の造形がありありとわかって辛いから、子どもたちももっとみんなメイクしたり、
 髪型や髪の色をばらばらにしたほうがよいと思う」とツイートしたことだった。

~中略~

「日本には、人を容姿で差別することを禁じる法律はない。」

~中略~

彼は「人は結局、見た目を含めて選ばれるのだ。
それならば、『見た目』を良くする努力がもっと認められてもよさそうだ」と完全に開き直る。

そのための代表的な手法がメイクや美容整形だ。
科学による身体加工という発想の浸透する現代社会で
「美容整形に対する風当たりが消えるのも時間の問題」と続ける。


「整形が一般的になってしまった場合、『ブス』や『ブサイク』は怠惰の象徴として、
 今以上に差別を受けるようになるかもしれない。よく『ブスだからモテない』
 という悩みがあるが、実は自己責任でどうしようもない何かのせいにできるというのは、
 とても幸せなことである」

 オイオイ、ちょっと待て。ここまで来ると釈明の域を越え、
 容姿に悩む人々へのセカンドレイプと言っていいレベルの暴言ではないか。

 古市くんの議論にすっぽり抜け落ちているもの。それは、同じく
 社会学の一分野として大きな存在感を持つフェミニズムの、今日に至るまでの格闘の軌跡だ。
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詳しい内容は本文を読んで頂きたいが、気になる点としては、
古市氏が自説を正当化させるために、差別主義者と同じ理屈を用いていることだ。



人種差別にせよ性差別にせよ、差別主義者は
「差別する俺が悪いのではない。差別させるような相手が悪い」と述べる。


典型的なのが、在日コリアンは差別されたくなければ、親日になれ、帰化しろというものだ。
(ここでの親日とは「日本の戦争は正しかった」「日本が韓国を救った」という
 アホなデタラメを受け入れ、自分たち差別主義者に対して尻尾を振れという意味である)


強姦事件の被害者に対して「お前が不注意だったのが悪いのだ」と語るアレと同じものだ。


自分たちは悪くない、差別されないよう努力しないお前たちが悪いという勝手な理屈。
そのくせ、いざ自分たちの意見が批判されると、批判されるような真似をした自分たちが悪い
とは言わずに、「は、反日だぁああ!!!」と馬鹿騒ぎする救いようがない連中がいる。


古市の意見はそれと全く同じものだ。

「ブス」や「ブサイク」と言うほうが駄目だというのではなく、
「ブス」や「ブサイク」と言われない努力をしないほうが悪いのだと語る。

典型的な差別主義者の発言である。




こういう弟子のあんまりな言動を見て、指導教授?の小熊英二が最近、苦言を呈しているらしい。


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そんな古市くんと小熊の誌上座談会が、最近になって再度行われた。
その名もズバリ「古市くん、社会学を学び直しなさい!!
自称社会学徒が日本を代表する社会学者をたずねる」(「小説宝石」2015年4月号/光文社)。

冒頭、小熊は今日の日本で社会学者は「評論家」として流通していると語る。

本来、社会学はインタビューやフィールドワーク、ないし
データの統計的分析などに支えられた「実証的学問」である。


しかしマスコミが便利屋を必要とする結果、
「社会学という学問とは切り離されて『評論=社会学』
 というイメージが定着していった」のではないかと小熊は指摘する。

……これ、まんま弟子のことを指しているとしか思えない。
古市くんはつまるところ「社会学者」ではなく「薄口社会評論家」なのだ。

そう考えればその言動の浅さにも納得がいく。

こういう「薄口評論」が曲がりなりにも「論考」として
流通してしまう今の言論界って、本当に大丈夫なんだろうか。
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そもそも、古市が学者として何か貢献しているという話を私は聞いたことが無い。



古市は週刊誌や新書には顔を出すが、きちんとした学会で発表を行っていたり、
学術雑誌に論文が掲載されているかといえば、そんなことはない
(少なくとも老舗の学会においては)。


いわゆる右翼の論客と共著することはあっても、
同じ社会学者と一緒に、本格的な論文集を著述したことも無い。



純粋にやってることだけを見れば、彼は現時点で学者というよりは評論家である。
現役大学院生(もう卒業したのか?)の評論家()であり、それ以上でもそれ以下でもない。



古市の研究が学問的に評価を得たものといえば、右翼的な賞を頂くことになった
たった1本の論文ぐらいのもので、受賞した理由も、恐らくは若者論を語る際に、対象である
若者の主体性に着目し、社会の変化にしたたかに適応する姿を描いたからだと思われる。


ただ、右翼的な賞を頂いた点からお分かりのように、
彼の新自由主義的な現状認識(格差でも人間は幸せになれる。なれない奴は努力不足)は、
当初から存在し、この辺が審査員たちの印象を良くしたような気がしなくも無い。


一応、古市の名誉のために書かせていただくと、
イギリスの著名な社会学者であるアンソニー・ギデンズがブレア政権のブレーンとなり、
資本主義でも社会主義でもない第3の道を示すといきまいた所、実際には侵略主義的な
ろくでもない外交や内政が展開されたという苦い思い出が社会学者にはある。


彼が唱えた第3の道というものが名前を変えた侵略主義、新自由主義だったことは
さまざまな人間から指摘され、批判されている。


つまり、古市だけでなく社会学そのものが、権力側に追従した言説が闊歩し、
御用学者が大学だけでなく業界内で一定の権威を持つことを許しているわけで、
古市個人の問題というよりは、社会学全体の問題として受け止めるべきだと思う。


実際、彼を表面的には批判した小熊氏もまた、その発言内容が
一部のマイノリティ民族に批判されていたりするわけで、それほど偉いわけでもない。


一応、左翼であるはずの小熊氏の弟子が右翼というのもまた、
日本の右傾化は左翼の右傾化を想起させずにはいられないものだが、
社会学もまた、政治学や経済学と同様、目的論を排したために、
逆に目的論(政府や企業に都合の良い学説が採用されてしまう)的なものになっている
のではないだろうか。古市がでしゃばった背景には社会学の問題点にも繋がっている。



少々、難しい話をしてしまったが、古市自身はもう30歳になったし、
今後は自称若者を名乗りづらくなるのではないかと思う。



まぁ、右翼雑誌の手にかかれば、
この曽野綾子が「美人評論家」になってしまうので、
もしかして40歳を超えても若者を名乗り続けるかもしれないが、
少なくとも彼のセールスポイントであり、マスコミが認める利用価値は、
社会の被害者である若者の口から右翼的言説を語らせることにあるわけで、
おっさんになったら、他の論客のようにガツガツと精力的に活動しないと、
浅田彰や宮台某のように、誰だあいつ状態になるのではないだろうか?

徳光和夫氏が池上彰を批判

2015-04-18 00:16:13 | マスコミ批判
池上彰氏はジャーナリストを気取っているが、彼の主張自体は右翼と大差ない。


「靖国神社参拝の意義を他国の人間に理解してもらうことが重要だ」
「中国人に足りないのはモラル」
「北朝鮮は日本から金をふんだくる食い逃げ常習犯」



ガザ地区にまでわざわざ行って、
「役所の張り紙に日本に感謝する言葉が書かれていました!」と報告した時点で、
ジャーナリズムも何もあったもんじゃないと思うが、こういうのが絶賛されるのが日本の論壇だ。



池上氏の何が凄いかと言うと、反対意見に対して
そういう意見もありますね」で済ませてしまうところだろう。


彼が「中国の住宅バブルがはじける」と主張し、
現地の状況をよく知る人間から反対意見を発言された時にも
そういう意見もあります」と軽くスルーしていた。


前述の靖国神社の参拝問題も同様の姿勢で、
靖国神社は神である天皇のために聖戦で殉死した人間を弔う神社であり、
正義の戦争のために戦い散った戦士を称えるという解釈が前提にある建造物である
ことを
知りながら、その辺を瑣末なことと軽視し、右翼の言説を真似ながら参拝を正当化させている。



私の知る限り、池上氏を真っ向から批判しているメディアは無い。
視聴率が取れ、売れる本を書ける彼にメディアは頭が上がらないんじゃないかと思っている。



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16日放送の「ケンミンSHOW ダウンタウンDX 春の豪華リレーSP」(日本テレビ系)で、
フリーアナウンサーの徳光和夫が、池上彰氏を批判する一幕があった。

番組では、「ウワサの芸能人!衝撃告白SP」と題し、
ニュースキャスターの辛坊治郎氏が自身の知られざる活動について明かした。


辛坊氏は2013年、ヨットで太平洋横断中に遭難し、
海上自衛隊に救助されたことで世間を大きく騒がせた。

しかし一方で、世界70ヵ国以上を取材している凄腕のフリージャーナリストの顔を持ち、
直近では、2014年5月のタイ軍事クーデター、10月の香港民主化デモなどを現地まで追いかけている。


辛抱氏は自分が取材してきた写真を紹介し、「なかなか取材許可が下りない」という、
沖縄・嘉手納基地にある戦闘機「F-15」の撮影にも成功したことを報告。
数々の貴重な写真に、スタジオの出演者たちは驚きの声をあげた。

辛坊氏と徳光は、1979年開始の情報番組「ズームイン!!朝!」
(日本テレビ系)で共演して以来の付き合いだという。徳光は、
辛坊氏が自費で各地を取材して回っていることを明かし、その取材姿勢を称賛した。


その流れで、徳光は「一方、池上さんはNHKのカネで行ってたわけですよ!」と、
辛抱氏と比較する形で池上氏を批判したのだ。


司会を務めるダウンタウン浜田雅功は徳光の肩に手を回して、
それ以上発言しないよう止めに入り、相方の松本人志も
「なかなかいないですよ。池上さんディスる人!」と驚いていた。


なお、辛坊氏は池上氏を「いい人」と評し、
テレビ局で会った際にツーショット写真を撮ってもらったと語っている。

http://news.livedoor.com/article/detail/10017927/
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別にテレビ局の予算で取材した記事が自費で取材したそれより内容が劣るわけではない。



そういう意味では、徳光氏の主張は珍文漢文(ちんぷんかんぷん)なのだが、
問題は、浜田氏や松本氏が徳光氏の発言を遮ろうとしたことだ。




池上は前にも、コラム記事の掲載をめぐって朝日新聞社と対決し、勝利したことがある。
実は内容自体は、そこまで大した内容ではなく、むしろ産経と大差ないレベルなのだが、
この事件を池上は最大限に利用して、権力と戦うジャーナリストという虚像を演出した。


実際に、あの事件は相当な脅しになったと思う。
「池上に逆らえば、こうなるのだぞ」と編集部に強く訴えることが出来た。


その昔、ジョセフ・マッカーシーという人物がアメリカ全土の知識人を弾圧したことがある。
マッカーシズムあるいは赤狩りと呼ばれるものだ。これはマッカーシーという無名の政治家が
巻き起こした現代の魔女狩りで、共産主義らしい人間は次々と解雇され、その発言が封じられた。


実際は、マッカーシーを利用した保守派が大暴れしたわけだが、
池上もまた、第二のマッカーシーになるのではないかと私は危惧している。


つまり、池上が押したスイッチによって、日本の右傾化が進むのではないかと。

実際、そうなっている部分はある。例えば、竹島問題だ。
竹島は戦後、マッカーサーラインと呼ばれる境界線によって、韓国領の島になっていた。
これが同ライン消滅後、李承晩によって新たに李承晩ラインの内側の島にされて今に至る。


つまり、戦後から一貫して、竹島は韓国領になっているのだが、
池上の『そうだったのか!日本現代史』では、あたかもマッカーサーラインが有効だった時は
竹島が日本領であったかのような書かれ方がされている。これは明らかな詐欺だ。



本などろくに読まずに、まとめサイトだけを読み勉強している人間は正直怖くない。
危険なのは「問題のある啓蒙書を読み、保守的な言説が常識だと誤認している良心派」だ。


こういう連中は、自分が右翼と対決する立場にあると勘違いしている分、人の話を利かない。
今、「竹島は歴史的には韓国領だが、このタイミングで韓国領と認めては
   激しい混乱が生じるだろう。政治的にはお互いが権利を放棄し未開発地域にすべきだ」
という意見を聞いて、耳を傾ける人間がどれだけいるか、大いに疑問である。




自分が左翼だと思っている右翼ほど恐ろしい敵はいない。
重ねて主張するが、今の日本は左翼が右傾化しているのであり、
左翼が右翼と簡単につるんで、権力者の支持者あるいは共犯者となっている。


この状況に、池上氏のプロパガンダ的言説が一役買っているのは言うまでもない。
中立を装った保守的発言ほど危険なものは無いのだ。