今週の一本

　三婆旅行から戻って以来ずっとマンションの総会に関わって、何だか心がささくれだってしまった気がする。正直、人と対立するのは得意とはいえん。繋がるのは好きやけどね。疲れちゃった。

　そんな私に天使の囁き。「試写会に連れてっちゃるたい」うふふさん、ありがとう。

　

　「イエロー・ハンカチーフ」　2008年　米国　★★★
　監督　ウダヤン・ブラサット
　主演　ウイリアム・ハート

　ご存知、あの「幸福の黄色いハンカチ」のリメイクハリウッド版である。場所をアメリカ南部に移し、刑務所から出てきたばかりのブレッド（ウイリアム・ハート）と変わり者青年ゴーデイ、心に傷をもつ娘マーティーンの三人がニューオーリンズの地に向かう。

　いい映画よ。しかしどうしても本家と比べてしまうので、その良さは霞んでしまうわな。健さんのあの寂しげな寡黙さを、ちょっとメタボ気味なブレッドには見つけられず、耐えて耐えて健さんに尽くそうとする賠償千恵子の健気さはブレッド妻には見当たらず。

　ついでに言うなら、桃井かおりの奔放な振る舞いはマーティーンの自分を悲しがる姿とは異なり、武田鉄也はとことんもてない青年として存在したけど、こちらのゴーデイは変人というあり方で存在する。

　そして、やはり黄色いハンカチはためくのは北海道であってこそ、その黄色い色が際立つのじゃなかろうか。厳しい寒さを抱く炭鉱の町に映える色。カラリと晴れた地にはためく黄色いハンカチはちょっと違うような。その土地の持つ色が作品に出てくるような気がしてしまう。

　いや、いい作品よ。でも33年前の感動をそのままは無理。ああ、このシーンはあのシーンなのねと思い出し比べしつつゆっくり楽しんでどうぞ。ささくれだった気持ちは穏やかになるけん。桃井かおりが出ているのがご愛嬌。福岡では来月末から中州大洋で。