ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

自治体のクマ対策 基本のキホンと現状

2010-11-30 11:01:28 | 獣害問題
 さて、クマが人里に出没した場合の対策を自治体はどのように行っているのでしょう。
大きく分けて予防と事後の対応の2つにわかれます。ここでは、クマが出没してからの事後対策を先に紹介します。
クマが人里に出没してしまうと、追い払われるか捕殺されることが多いです。この際には猟友会の協力を借りることが多いです。
麻酔を打てという意見もありますが、麻酔に主に使用されるケタミンは麻薬として法的に取り締まっています。ですので、所持には都道府県知事による許可を必要とします。さらに、市街地の場合、法により簡単に麻酔銃が撃てません。麻酔銃を撃てる人材もそう多くはないし、地域によってはすぐに使える麻酔銃がその場にないということも・・・(参考クマが出たぞー1~6。特にを参照)。
 一部の自治体では学習放獣というものを行っています。捕獲したクマを山まで運び、トウガラシスプレーなどクマの嫌がるもので人の怖さをクマに学習させて放つというものです。兵庫県などを見る限りある程度(約7割)は効果があるようですが、2度ないし複数回捕獲されたクマは人と事故を起こす可能性が高いということで殺処分されます。
多くの自治体ではクマを人里に近づけさせないため、誘因物の除去、わかりやすく言えば餌となるものの除去を行っています。具体的には人が収穫しないカキの木の除去や規格外として処分される農作物を放置しておかないなどですね。猿害対策だとお供え物の花やお菓子すらお参りが終わったら即座に片付けるように推奨されています。また、人里の餌に依存する前のクマには電気柵で農作物などを囲むのが有効であるようです。
ここにいくつかの都道府県などのクマ対策を紹介しておきます。

クマ類出没対応マニュアル -クマが山から下りてくる 要約版

兵庫県環境審議会答申(ツキノワグマ保護管理計画)案(概要)

農作物獣害防止対策事業について

いくつかご覧になられましたか?どれにも餌となるものの除去があげられていること、隠れ場となる藪の除去、山に入るときはクマ避け対策をするのがあがっているのがおわかりいただけると思います。その中でも、誘因物となる食べ物の除去というのはクマと人との事故を防ぐうえで重要な位置にあります。クマが出てくる理由って餌ですからね。そして、熊森が何をしているか考えてみましょう。そう、ドングリ運びはクマを人里に近づける誘因物になりえますよね。基本的に予防が重要なのにそこを疎かどころか逆行しているのが熊森です。ここまででクマ問題の基礎は終わって、来週から熊森批判に移ります。ここまでに書いたことを踏まえていくので資料には目を通しておいてくださいね。

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2 コメント

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Unknown (chokudo)
2010-11-30 16:12:37
僕もドングリをまくのには反対です。「そういう問題?」って思います。しかし僕みたいな素人の考えはもう商売にならない杉やヒノキを切ってしまって広葉樹(ドングリなど)に植え替えるのではダメなのか?とも思います。今僕は大学1回生で、これから獣害について学ぼうと思っているのでぜひあなたの意見を聞かせてください。
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chokudoさん (梨(管理人))
2010-11-30 17:10:31
大学1回生ですか。ではこれから色々と伸びしろがありますね。
獣害そのものではないですが、保全に関わる人間の一人として説教(笑)を言うと、何の目的で、どういった方法で関わるのかというところを他人に説明できるくらい明確にしておくべきです。これができない人は結構多いので、どんな生物の保全に関わろうとも、それができるだけで他人と違ってきます。あとは月並みですが、色々な本を読むことですね。僕の場合モンハンみたいなゲームからも何か生態学を上手く説明できるツールにならないかと思ってますし。
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