ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

武田邦彦の生物多様性のウソを読む3

2011-07-13 00:08:01 | 武田邦彦
 大分、間が空きましたが、批判3回目です。正直なところ、この人の言う論理的とは一般的な定義とは別次元の定義なのでしょう。それくらい辻褄が合いません。

P38
「多様な生きものによって支えられている生態系」という表現は、「生態系は多様な生きものによって形作られている」という言い方もできます。
 しかし、もともと「生態系」というものが地球上にあったわけではなく、生物、特に多細胞生物が地球上に誕生して反映したので、生態系ができたということになります。
だから、生態系が「多様な生きものによって支えられている」のかどうかは不明で、もしかすると1000種ぐらいの生物がいれば生態系は形作られるのかもしれません。固有種がたった110という「ガラパゴス諸島」でさえ生態系は維持されているわけで、後で述べますが、「多様さ」をもたらすはずの外来種が島に入り込まないように厳重に管理されています。ということは、生態系を維持するにはさほどの「多様さ」は必要ないと考えられます。

本当に真正の(ry
仮に1000種で形作られる生態系があったとして、そこで“人間は生きていけるのか?”は個別に考えないといけないことですけどね。
ガラパゴスと武田氏については、過去に「知性のガラパゴスと武田邦彦」にて突っ込んでいますので、そちらを参照ください。読むのが面倒という人のために簡単に説明しますと、外来生物の侵入を防ぐのは、外来生物により、もともといた在来種やその地域にだけ生息する種(固有種)が減少ないし絶滅することが多々あるからです。絶滅したら、多様性は減りますよね。
もう一つ、言っておきますと、外来生物(外来種)は“人間が持ち込んだ”その地域にいない生物のことですので(個体群云々は長くなるので省く)、自然分散を外来生物とは言いません。武田氏は外来生物問題の基本を押さえていないので、この後も外来生物についておかしな見解を晒します。

P39
500万種に減るまで500年余りということになりますが、その間に生態系は新しいバランスに移るでしょう。仮に「臨界点」というのがあるとしても、それが500年後であるなら、まだ研究が不十分なときに急いで対策をとる必要はないとも考えられます。

ん?それじゃぁ年間100ミリシーベルト以下での放射線への対策であなた何て言ってましたっけ?武田氏に言わせれば、100ミリシーベルト以下の低線量被ばくの影響はよくわかっていないことが多いので、武田氏なら急いで対策をとる必要はないと言うはずですけどね。
参考:原発 緊急情報(48) なぜ、1ミリシーベルトが妥当か?