「時事ドットコム」の「修習生貸与制、来月から施行へ=自民、給費維持応ぜず」( 2010/10/22-12:53 )
(民主党は給費制廃止に賛成していたものの、なぜか継続へと方針を転換していたのですが) 自民党が「貸与制への移行時期の延期に応じない方針を決めた」ことで、貸与制が来月から「予定通り施行されることが確実になった」、と報じられています。
これに対する、日本弁護士連合会の反応を見てみると、
「日本経済新聞」の「司法修習生、貸与制実施が確定的に 自民が反対決定」( 2010/10/22 13:05更新 )
日弁連は「国会議員のなかで理解は確実に広がっている。施行後でも裁判所法の改正は可能で、引き続き給費制の維持を求め全力を尽くす」とコメントを出した、と報じられています。
日弁連 (日本弁護士連合会) の主張は、法律家 (司法修習生) の「既得権(?)」の維持を要求するものにほかならないとみられることは、すでに「日弁連の「司法修習生に対する給費制維持」論について」に書いています。
日弁連の「わがまま」が続いている (今後も「わがまま」を「続ける」と日弁連は主張している) ものですが、本当、
「いいかげんにしてほしい」
と思います。
国会で決まれば、それ (法律) に従うのは当然です。「法を社会に適用する」ことを職業としている者 (=弁護士) の集団である日弁連が、「たとえ国会が日弁連の主張に反対であっても (=裁判所法の再改正が否決され、法が施行されても) 、あくまでも給費制の維持を求め全力を尽くす」というのでは、
(法を守ることが使命の) 弁護士として、態度が「おかしい」
と思います。これでは、日弁連の「独り善がり」であり「わがまま」である、と言ってよいでしょう。
日弁連は、そんな主張をする「ヒマ」があるのなら、弁護士懲戒制度を改善するなど、もっと重要な、やるべきことがあるはずです。どうして日弁連は、弁護士にとって都合が悪くなる (けれども社会正義を実現するうえで重要な) 改革を行おうとせず、「利益をくれ!」といわんばかりの主張を続けるのでしょうか (「弁護士懲戒制度は不公平である」「弁護士懲戒委員会のメンバー構成には問題がある」参照 ) 。
そもそも、自民党は「修習生が経済的に困窮した場合の返済免除の方法や、法曹人口のあり方などを検討する場を党内につくる」と言っているのであり、日弁連はこれに対して、何の不満があるというのでしょうか。「返済免除」(=事実上の給費制) どころか、「増員見直し」も検討するというのであり、日弁連は「要求以上の成果を手にした」といってよいでしょう。
日弁連のキャッチフレーズ「金持ちしか法律家になれなくなる」は表向きで、本音は「金持ちの法律家にも、法律家である以上特別待遇をしろ!」だったのでしょうか?
ところで、弁護士の小倉先生は次の記事をアップし、給費制維持を主張されています。
「la_causette」の「東京新聞にとっては、新人弁護士に多額の借財を負わせることが司法改革の柱」
意外と給費制維持を支持してくださる納税者が多い。給費制の廃止は「法律家の処遇の悪化」である。給費制を維持しないと、「他の職業をも選択しうる才覚の持ち主」は法律家になろうとしなくなる「可能性が高い」、と書かれています。
給費制維持を支持しない納税者が多いからこそ、国会は廃止の方向で動いているのではないでしょうか。「意外と」多いのが実情である、といわれましても、おそらくは、
過半数には及ばないが、思ったよりも「意外と」多い
ということではないかと思われます。小倉先生の上記主張は、説得力がありそうに見えて、じつは説得力がありません。
小倉先生は「法律家の処遇の悪化」とも書いておられます。たしかに、「いままでの恵まれすぎていた」状態を前提とすれば、「処遇の悪化」であると言えないこともありませんが、
「無利子、五年据え置き、十年返済」というのは、
「他の資格に比べて、破格の好条件」
です。これに何の不満があるというのでしょうか。
小倉先生の「給費制存続論と合格者数制限論…(中略)…に強い関連性がない」という主張には同意しますし、私は司法修習生のアルバイトを認めるべきだとも思いますが、
司法修習生には「破格の好条件」で貸与がなされるのであり、給費制廃止が不当であると主張するには、根拠として説得力に欠ける面があることは否めません。
さらに、給費制を維持しないと「他の職業をも選択しうる才覚の持ち主」は法律家になろうとしなくなる「可能性が高い」という主張については、
現に「法律で」給費制廃止が決まっているにもかかわらず、法律家になろうとする人は多いという現実を、どうお考えなのかと思ってしまいます。まさか彼ら・彼女らは、裁判所法が変わり、給費制が廃止になることが「決まっている」ことを知らずに、法科大学院に進んでいるとでもいうのでしょうか。常識的に考えれば、彼ら・彼女らは、
給費制が廃止になっても、司法修習生 (になって法律家) になりたい
と考えて法科大学院に進んだ、とみるのが適切ではないかと思います。したがって、小倉先生の「可能性が高い」という主張にも、説得力に欠ける面があることは否めないと思います。
それにもかかわらず、なぜ、小倉先生の記事へのトラックバックに
「ろーやーずくらぶ」の「情緒的な反・反貧困キャンペーンを展開し給費制維持に反対する東京新聞」
といった主張や、
「非国民通信」の「何もかも自己負担」
といった主張がみられるのか、理解に苦しむところです。
なお、「非国民通信」さんの主張の後半部分、「司法試験は絶対評価で一定以上の点を取れば合格するのであって、今年の合格者は○○人まで、などと決められているのではない」という部分は、あきらかに「非国民通信」さんの「誤解」です。司法試験は人数で切られるのであって、○○点以上なら全員合格、という試験ではありません (平成○○年には○○人合格をメドとする、といった閣議決定がなされています) 。
人数で切られる試験だからこそ、「弁護士増員の 「受け皿」 はあるらしい」および「弁護士増員論の再検討」で引用した坂野弁護士の主張、すなわち、「今年は、受験者の成績がよくなかったので、司法試験の合格者が少なかったとされている。しかし、本当は 「受け皿」 に配慮して合格者を減らしたのではないか」などといった推測が出てくるのです。
自民党は22日の法務部会で、司法修習生に国が給与を支払う「給費制」が11月1日から「貸与制」に切り替わる問題への対応を協議し、民主党などが求めている貸与制への移行時期の延期に応じない方針を決めた。これにより貸与制が同月から予定通り施行されることが確実になった。
修習生には現在、月額約20万円などが支給されているが、返済義務のある貸与制への移行が2004年の裁判所法改正で決まった。しかし、民主党は「金持ちしか法曹になれなくなる」との日弁連の主張を受け、9月の法務部門会議で延期方針を決定。自民党などの協力を得て、関連法案を委員長提案で月内に成立させることを目指している。
(民主党は給費制廃止に賛成していたものの、なぜか継続へと方針を転換していたのですが) 自民党が「貸与制への移行時期の延期に応じない方針を決めた」ことで、貸与制が来月から「予定通り施行されることが確実になった」、と報じられています。
これに対する、日本弁護士連合会の反応を見てみると、
「日本経済新聞」の「司法修習生、貸与制実施が確定的に 自民が反対決定」( 2010/10/22 13:05更新 )
司法修習生に国が給与を支払う「給費制」の「貸与制」移行を前に、民主党などが検討していた給費制を継続する議員立法について、自民党法務部会は22日、反対する方針を決めた。民主もまとまっておらず、改正裁判所法が予定通り施行され、11月から貸与制が実施されるのは確定的だ。
自民法務部会の平沢勝栄部会長は同日、「与党がまとまらないのに議員立法が通るはずがない」と指摘。今後、修習生が経済的に困窮した場合の返済免除の方法や、法曹人口のあり方などを検討する場を党内につくる考えを示した。
給費制存続を求める日本弁護士連合会は「国会議員のなかで理解は確実に広がっている。施行後でも裁判所法の改正は可能で、引き続き給費制の維持を求め全力を尽くす」とコメントを出した。
日弁連は「国会議員のなかで理解は確実に広がっている。施行後でも裁判所法の改正は可能で、引き続き給費制の維持を求め全力を尽くす」とコメントを出した、と報じられています。
日弁連 (日本弁護士連合会) の主張は、法律家 (司法修習生) の「既得権(?)」の維持を要求するものにほかならないとみられることは、すでに「日弁連の「司法修習生に対する給費制維持」論について」に書いています。
日弁連の「わがまま」が続いている (今後も「わがまま」を「続ける」と日弁連は主張している) ものですが、本当、
「いいかげんにしてほしい」
と思います。
国会で決まれば、それ (法律) に従うのは当然です。「法を社会に適用する」ことを職業としている者 (=弁護士) の集団である日弁連が、「たとえ国会が日弁連の主張に反対であっても (=裁判所法の再改正が否決され、法が施行されても) 、あくまでも給費制の維持を求め全力を尽くす」というのでは、
(法を守ることが使命の) 弁護士として、態度が「おかしい」
と思います。これでは、日弁連の「独り善がり」であり「わがまま」である、と言ってよいでしょう。
日弁連は、そんな主張をする「ヒマ」があるのなら、弁護士懲戒制度を改善するなど、もっと重要な、やるべきことがあるはずです。どうして日弁連は、弁護士にとって都合が悪くなる (けれども社会正義を実現するうえで重要な) 改革を行おうとせず、「利益をくれ!」といわんばかりの主張を続けるのでしょうか (「弁護士懲戒制度は不公平である」「弁護士懲戒委員会のメンバー構成には問題がある」参照 ) 。
そもそも、自民党は「修習生が経済的に困窮した場合の返済免除の方法や、法曹人口のあり方などを検討する場を党内につくる」と言っているのであり、日弁連はこれに対して、何の不満があるというのでしょうか。「返済免除」(=事実上の給費制) どころか、「増員見直し」も検討するというのであり、日弁連は「要求以上の成果を手にした」といってよいでしょう。
日弁連のキャッチフレーズ「金持ちしか法律家になれなくなる」は表向きで、本音は「金持ちの法律家にも、法律家である以上特別待遇をしろ!」だったのでしょうか?
ところで、弁護士の小倉先生は次の記事をアップし、給費制維持を主張されています。
「la_causette」の「東京新聞にとっては、新人弁護士に多額の借財を負わせることが司法改革の柱」
(給費制維持に)納得してくださらない納税者が皆無とは言わないものの、意外と納得してくださる納税者が多いのが実情です。
(中略)
続いて、論説委員は、法律家の特別扱い存続では司法改革の歯車が逆転しかねない。とあります。マスコミにとっては、「司法改革」の本質は、「法律家の処遇の悪化」にあったので、こういう言い方になったのだろうと思われます。
(中略)
さらに、東京新聞の論説委員は、そのかわり希望者には「無利子、五年据え置き、十年返済」の好条件でこれまでと同額が貸し出される。とします。
(中略)
なぜ法律家だけが特にに研修期間中の給費制を必要とするのかといえば、単純に、必要とする研修期間が長期間にわたり、かつ、その従前の生活拠点と離れた場所に転居させることが余儀なくされるからです。ドイツの司法修習生は、アルバイトが容認されており、かつ、アルバイトをしても死なない程度のカリキュラムが組まれていますが、アルバイトをせずとも死なない程度の給費制が組まれています。
(中略)
獲得した資格が生かせない例は多いのに、弁護士だけはなぜその資格で生活できるよう人口制限が許されるのか。これも合理的説明がない。として、東京新聞は給費制存続論と合格者数制限論を絡めて批判するという禁じ手も打ってきています。しかし、この両者に強い関連性がないことは、合格者数を制限していないドイツにおいて給費制が維持されていることからも明らかです。
なお、上記質問に答えるとすれば、「職業人として十分な能力を身につけるのに相当の時間とコストが掛かる職業において、それだけの時間とコストを費やしても生活できるようにならない蓋然性が高まると、他の職業をも選択しうる才覚の持ち主は、その職業を選択しなくなる可能性が高い」からということになるでしょう。例えば、医師資格取得者の半分しか医師として働くことができなくなったら、誰が医学部なんぞ受けるか、と考えてみてください。
意外と給費制維持を支持してくださる納税者が多い。給費制の廃止は「法律家の処遇の悪化」である。給費制を維持しないと、「他の職業をも選択しうる才覚の持ち主」は法律家になろうとしなくなる「可能性が高い」、と書かれています。
給費制維持を支持しない納税者が多いからこそ、国会は廃止の方向で動いているのではないでしょうか。「意外と」多いのが実情である、といわれましても、おそらくは、
過半数には及ばないが、思ったよりも「意外と」多い
ということではないかと思われます。小倉先生の上記主張は、説得力がありそうに見えて、じつは説得力がありません。
小倉先生は「法律家の処遇の悪化」とも書いておられます。たしかに、「いままでの恵まれすぎていた」状態を前提とすれば、「処遇の悪化」であると言えないこともありませんが、
「無利子、五年据え置き、十年返済」というのは、
「他の資格に比べて、破格の好条件」
です。これに何の不満があるというのでしょうか。
小倉先生の「給費制存続論と合格者数制限論…(中略)…に強い関連性がない」という主張には同意しますし、私は司法修習生のアルバイトを認めるべきだとも思いますが、
司法修習生には「破格の好条件」で貸与がなされるのであり、給費制廃止が不当であると主張するには、根拠として説得力に欠ける面があることは否めません。
さらに、給費制を維持しないと「他の職業をも選択しうる才覚の持ち主」は法律家になろうとしなくなる「可能性が高い」という主張については、
現に「法律で」給費制廃止が決まっているにもかかわらず、法律家になろうとする人は多いという現実を、どうお考えなのかと思ってしまいます。まさか彼ら・彼女らは、裁判所法が変わり、給費制が廃止になることが「決まっている」ことを知らずに、法科大学院に進んでいるとでもいうのでしょうか。常識的に考えれば、彼ら・彼女らは、
給費制が廃止になっても、司法修習生 (になって法律家) になりたい
と考えて法科大学院に進んだ、とみるのが適切ではないかと思います。したがって、小倉先生の「可能性が高い」という主張にも、説得力に欠ける面があることは否めないと思います。
それにもかかわらず、なぜ、小倉先生の記事へのトラックバックに
「ろーやーずくらぶ」の「情緒的な反・反貧困キャンペーンを展開し給費制維持に反対する東京新聞」
東京新聞は、20日付社説で、給費制維持の動きが納得できないと述べています。しかし、事前規制緩和・事後救済という誤った「司法改革」=自己責任論がしみついた東京新聞社説子には、納得できないのはやむを得ないのでしょう。だからといって、自らの独自の見解を垂れ流し、挙げ句に「貧しい人については、将来の公益活動を条件に貸与金の返済を免除する制度を設ければいい」などと述べて、「情緒的な反・反貧困キャンペーン」を展開するのはいただけません。
といった主張や、
「非国民通信」の「何もかも自己負担」
現行の制度では法曹資格を得るためには司法試験合格後、ここで言及されている「司法修習生」として1年間の実習を受ける必要があります。この期間、アルバイトなどの副業は禁止されており、従来の制度では代わりに月額20万円ほどの給与が国から支給されていました。しかるに制度改正によって11月からは支給ではなく「貸与」となることが決まっています。司法試験に受かるまでが結構な長い道のりになるのが一般的と思われる中、そこからさらに1年間、強制的に無給の期間が設けられてしまうわけで、元から裕福な人でもなければ法曹資格を得る頃には借金漬けになってしまうことが予想されます。それだけに日弁連は前々から給費制の維持を訴えてきたのですが、それに対する反応はどうでしょうか。
(中略)
さらに早稲田大総長に就任するという鎌田薫氏は「給費制を維持すれば予算の制約上、合格者を減らすことになるのではないか」などと言っています。この人、司法試験の合否がどういう基準で判断されているかご存じないのでしょうか? そりゃ早稲田大学の入学試験なら定員という形で合格者数にも制約があらかじめ設けられるのでしょうけれど、司法試験は違うわけです。絶対評価で一定以上の点を取れば合格できるものであって、「今年の合格者は○○人まで」みたいに決められているものではありません。合格者が増えるか減るかは受験者次第なのですが、そんなこともわかっていないようです。
といった主張がみられるのか、理解に苦しむところです。
なお、「非国民通信」さんの主張の後半部分、「司法試験は絶対評価で一定以上の点を取れば合格するのであって、今年の合格者は○○人まで、などと決められているのではない」という部分は、あきらかに「非国民通信」さんの「誤解」です。司法試験は人数で切られるのであって、○○点以上なら全員合格、という試験ではありません (平成○○年には○○人合格をメドとする、といった閣議決定がなされています) 。
人数で切られる試験だからこそ、「弁護士増員の 「受け皿」 はあるらしい」および「弁護士増員論の再検討」で引用した坂野弁護士の主張、すなわち、「今年は、受験者の成績がよくなかったので、司法試験の合格者が少なかったとされている。しかし、本当は 「受け皿」 に配慮して合格者を減らしたのではないか」などといった推測が出てくるのです。
(法を守ることが使命の) 弁護士として、態度が「おかしい」
日弁連も、弁護士もこの問題については何ら法律に違反していないし、法律に従わないともいっていませんよ(そもそも、修習生に対する貸与制について日弁連や弁護士がどうやったら法律に従わないということができるのですか)。
法律を前提としつつ、その法律の改正を求めることは民主制国家において当然の権利です。それを非難することはあなたが民主制や法治主義についての基本的な理解を欠いていることを明らかにしているのではないですか。
私の主張は、「今国会で、いったん法案(=日弁連の主張に沿った法改正)が否決されたならば、それに従うのが当然である」です。ここで私のいう「従う」とは、不服であっても国会の議決(=多数意思)を「受け容れる」という意味です。
「一度国会で否決された要求(法案)」を再び要求するのであれば、しばらく (たとえば一年) 経過した後で、要求すべきではないでしょうか。
このことは、国会で制定された法律が、改正まで有効であることと何も矛盾しません。
あなたの主張に従えば、一旦法律が制定されれば、一定期間はその法律の改正を求める運動をすること自体が批判されることになりますが、このような主張が、民主制の基本原則にも、憲法21条にも反したものであることは明らかです。
さらにいえば、あなたは今回問題になっている裁判所法が何時改正されたのかきちんと理解していますか?今回は民主党が議員立法により改正を目指したのに対して、自民党が反対したというに過ぎず、いかなる意味でも国会の議決は存在しないのですから、仮にあなたの主張を前提としても日弁連や弁護士が、貸与制に反対することは問題ないはずです。
このようにあなたの主張は二重に間違っています。
それでもなお、改正を目指す議員さん達は国会に法案を提出するのではありませんか? そして(おそらく)否決されるのではありませんか? そして日弁連は、「施行されても全力を尽くす」というのですから、今国会中に、再び「同じ(趣旨の)法案を国会に提出する」ことを要求する、ということではありませんか?
あなたは、「一度否決された法案を再び、同じ国会に提出してよい」とお考えですか?
> あなたは今回問題になっている裁判所法が何時改正されたのかきちんと理解していますか?
「きちんと」とはどういう意味ですか?
次に、一旦否決された法案を同じ会期中に提出することは一議不再議原則に反します。この原則は憲法にも国会法にも規定はありませんが、憲法が会期制を取ることからこの原則を採用していると考えられています。しかし、現在開かれている第176回臨時国会の会期は12月3日までです。仮にこの臨時国会で否決されたとしても、来年の通常国会で提出することは何ら一事不再議原則に反しません。
さらにいえば、日弁連が同一会期中に同じ改正案の提出を要求するというのは、あなたの勝手な推測に過ぎません。日弁連が前述の一事不再理の原則を看過してそのような要求をすることは考えられません。改正を求める運動を始めてから実際の改正までには時間がかかりますから、(今国会で否決されたとしても)次回以降の会期における改正のために全力を尽くすことは、何もおかしいことではありません。一事不再議の原則はあくまで議決だけに及び、改正を求める運動とは無関係です。
最後に私が「きちんと」理解しているのかを尋ねたのは、貸与制を決めた裁判所法改正は平成16年に行われたものなので、これを理解しているのであれば、あなたの主張を前提としても、日弁連の活動を非難する理由はないからです。
あなたの主張を見ていると、根拠のない推論を前提としすぎています。
そうですか。失礼しました。修習生を「救う」ためには一刻も早い改正が必要ですから、(事の性質上) 日弁連はそのような要求をする、ということだと思っていました (「救う」というのは日弁連の主張では、という意味です) 。そこで私は、「異常である」と批判したのです。
裁判所法改正時期については、下記記事において、すでに言及しています。それを読まれたうえで、「きちんと」理解しているかと尋ねられたのかもしれないと思い、「きちんと」の意味をお尋ねしました。
「司法修習生の給費制廃止」
http://blog.goo.ne.jp/memo26/e/7ecb364c03322e3e6ef59f711661c558
上記記事では、どちらかというと、私は給費制維持に賛成の立場をとっています。しかし、次第に私の意見が変わり、給費制反対へと立場を変えました。私が意見を変えた理由(意見を変える過程)は、リンクを辿っていただければ理解していただけるのではないかと思います。
給費制及び定数増員についてのあなたの主張も拝見してますが、今回の記事と同様に、事実誤認や無理な推論が多々見受けられます。
1.現在弁護士及び弁護士会はどのような公益的活動をしているのか理解しているのか。
2.法科大学院を目指す人がここ数年で激減しているのを理解しているか。受験者の減少と、合格者の増員によって、弁護の質がどうなるのか検討しているのか?
3.各単位弁護士会がここ数年の新人の就職のためにどのような努力をしているか理解しているか。
4.現在の司法修習生の就職状況・事務所への採用条件を理解しているか?
と、一例を挙げるだけでもこれだけの疑問が出てきます。
「これまでの」日弁連の給費制維持運動について、私は、上記観点によって批判したことはありません。しかし、だからといって、ただちに日弁連の活動が正しいと主張しなければ (私の意見は) 矛盾する、ということにはなりません。
> まさか、まだなされてもおらず、その可能性も少ない将来の否決を前提に議論されているとは想像できませんでした
給費制の維持を求める立場からすれば、期限前に法案を提出し、法案を通さなければならないのですから、日弁連の主張に同意している国会議員が法案を提出し、おそらく否決されるだろう、と考えることに、問題はないと思います。このような状況下で、「施行されても全力を尽くす」というコメントが出されれば、私がその意味を既述のように解釈し、かかる前提で意見を述べることに、とくに問題があるとはいえないと思います。
> 一例を挙げるだけでもこれだけの疑問が出てきます。
これについては、「~~の観点については~~であるから~~である」などと述べてくださらなければ、私としては、ご返事しづらいものがあります。あなたは給費制維持に賛成で、かつ、法曹増員には反対なのですか?
私の考えかたをまとめました (↓) 。よろしくお願いいたします。
「意見を述べる際の私の考えかた」
http://blog.goo.ne.jp/memo26/e/dfc58e02fcdc7fb8261db371de7c5e3a
問題大ありです。
今回民主党の取った手続を見れば、そのような結論にならないことは既に書きました。
通常の委員会審議を経ていては、期限前に法案を成立させることができないから、委員会審議を省略するために全会一致を目指したのです。したがって、この全会一致の手続を経ることなく、民主党の議員が期限内に法案を国会に提出し否決されることはあり得ません。また、仮にこのような前提を一旦捨象して本会議での議決となった場合、現在の各党の給費制維持の賛否の状況については記述しています。
これまでの議論を見ると、あなたの主張は、前提が間違っており、推論過程も粗雑すぎます。これは意見の述べ方以前の問題であり、これが理解できないのであればそれ以降の議論をしても無意味でしょう。