7月8日 首都圏ネットワーク
だいだい合っているだろうと選んだ靴が
ぴったり合っていないため
体に変調をきたすことがある。
東京新宿に予約は2か月待ちという靴店がある。
実はここは靴を売るのではなく
靴が合っているかどうかを診断する“靴のコンサルタント”。
この日やって来た女性は
足に痛みを感じているという。
「足の皮がむけたり
赤いものができたりした。
1歳になる子どもがいるが抱っこするのに怖い。」
ふだんよく履いている9足の靴を見てもらうことにした。
店主の西村泰治さん。
靴のサイズが合っているかどうか細かくチェックする。
パンプスの前の部分のわずかなゆるみを指摘した。
さらにかかとの部分も幅が広いため
足が固定されず浮いてしまっていた。
サイズが合っていると思っていたスニーカーも
中敷きを取り出して調べると
足よりも靴の幅が広いことがわかった。
持ってきた9足すべて「幅が広い」と言われた女性。
実は店を訪れる客の多くが
適正なサイズより幅の広いものを履いていると西村さんは言う。
(来店した女性)
「きつくすると足がむくむイメージがあって
ゆるい方が履きやすい感覚があった。」
(靴コンサルタント 西村泰治さん)
「幅の広い靴は足にやさしいと思われている。
もっと思い切り幅を狭くしなければならない。」
幅の広い靴を履き続けるとどのような影響があるのか。
30年以上足を専門に治療してきた整形外科医 内田俊彦さん。
幅の広い靴の中では足が動いてしまい
余分な筋肉を使う。
それが体のバランスを悪くすると指摘している。
その結果
膝が外側を向きO脚になったり
骨盤がずれ体の軸が歪んでしまったケースもあるという。
(整形外科医 内田俊彦さん)
「影響は5年10年20年と長丁場でだんだん出てくる。
しわ寄せが足に来れば足が痛くなる。
ひざにくれば膝が悪くなる。」
内田さんは
靴の中にできた余分な隙間を無くすことで症状が改善できる
という。
重視しているのはそれぞれの患者に応じた中敷きを作ること。
細かく素材を張って
靴の中の隙間を埋める。
こうすることで正しい姿勢で歩けるようにし
体のゆがみを強制する。
(患者)
「こんなに変わるものなの?
これならずっと歩ける。」
消費者に正しいサイズの靴を履いてもらおうという新たな取り組みも始まっている。
去年国の支援を受けて靴の業界団体が設立した研究施設 パンプスメソッド研究所。
ここでは誰でも自分にぴったり合う靴のサイズを無料で測ってもらうことが出来る。
使うのは最新の3Dスキャナー。
足の長さや幅
それに甲の高さを10分の1ミリ単位で計測する。
このデータをもとに最も合う靴を探す。
用意されている靴のサイズは約300種類。
長さは19,5cm~27cm。
幅や高さも数ミリ刻みで対応している。
こうして選ばれた靴を履いてみると
「全然楽です。
歩きやすいです。」
この施設では
自分に適した靴のサイズを知ってもらうことで
足や体の健康を保ってほしいと考えている。
(パンプスメソッド研究所 元田真悟さん)
「“ぴったり”とはこういうこと
“ゆるい”とはこういうことだと知ってほしい。
健康のためだけでなく
美しさのためにもサイズが合うものを履きましょう。」