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将棋界の天才少年の一手

2020-07-23 07:00:57 | 報道/ニュース

6月30日 読売新聞「編集手帳」


 手元の将棋の指南書に、
金と銀の使い方が格言風に書いてある。
<攻めは銀、
 受けは金>
<金は引く手に好手あり>
などなど。

要するに金はゴールキーパーのように王のそばを離れずに守り、
攻めに用いるのは素人将棋の典型であるらしい。
ところが藤井聡太七段(17)は盤のほぼ中央に金を打ち込み、
勝機を呼び込んだ。
現役最強といわれる渡辺明三冠を下した棋聖戦第2局で、
将棋界の歴史を変える一手が誕生したと騒がれている。

師匠の杉本昌隆八段の感想がユーモアの中に衝撃をにじませる。
金が暴走したかに見えたとき「師匠の顔がみたい」と思ったとか。

形勢を随時判定するAIも疑問を示していたという。
人工知能が人間を押しのけて活躍する時代に、
それを超えてみせたことが痛快でもある。
五番勝負で2勝し、
史上最年少の八大タイトル獲得に手をかけたのもつかの間、
あすは王位戦に向かう。
史上最年長で初タイトルを得た苦労人、
木村一基王位(47)が相手となる。

木村王位は粘り強く守る棋風で知られ、
「受け師」の異名をとる。
攻めの天才少年と中年の星。
どんな人間くさい勝負になるだろう。

 

 

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