日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

感染症と闘った偉人① 最強天然痘に勝利

2020-07-04 07:00:00 | 報道/ニュース

6月8日 テレビ朝日「グッド!モーニング」 池上彰のニュース検定


天然痘は人類を長い間苦しめた最強の感染症だった。
もっとも古い死亡例は
紀元前1157年の古代エジプト
ラムセス5世にまでさかのぼると言われている。
ミイラに残った痕跡から
天然痘にかかっていたとみられている。
日本でも奈良時代(737年)に天然痘が猛威を振るったという記録が残っている。
その終息への願いはのちに大仏造立の一因となった。
中国大陸や朝鮮半島との貿易を通じて日本に広がったとみられている。
その後も天然痘はたびたび猛威を振るう。
人類は押されっぱなしだったが
18世紀後半
反撃に転じる。
イギリス人の医師エドワード・ジェンナー(1749-1823)が
歴史を変える画期的な薬を開発したのである。
きっかけは牛の乳しぼりの女性たちの会話だった。
“牛痘という病気に一度かかれば天然痘に感染しない”と話していたのである。
牛痘は当時乳しぼりの女性たちの間で流行っていた。
天然痘と似ているものの
それほど深刻な病気ではない。
この会話をヒントにジェンナーは
1796年に実験をする。
牛痘のもとを使用人の8歳の少年に接種した後
数回にわたって天然痘を接種したのである。
子どもに接種するのは極めて危険である。
いまの世界では考えられない実験だが
少年は天然痘にかからずに済んだ。
ジェンナーの仮設が正しかったのである。
その後イギリスで予防薬として絶大な効果を発揮して
世界中に広まった。
予防接種が導入され
天然痘の感染者は大幅に減っていったのである。
その後も天然痘との闘いは続いたが
1977年にソマリアで発見された患者を最後に
天然痘は根絶された。
人類の医学が最強の感染症に勝利したのである。
この薬はのちに“ワクチン”と呼ばれるようになる。


コメント