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ベトナム フィリピン 何が明暗を分けた?

2020-07-02 07:00:00 | 報道/ニュース

6月4日 NHKBS1「国際報道2020」


懸念されている新型コロナウィルス感染の第2波 第3波に備えて対策を考える上で
実はWHO(世界保健機関)が注目している国々がある。
対策が思うように効果を上げていないフィリピンと
感染拡大の抑え込みに成功しているベトナムである。
両国の明暗を分けたものは何だったのか。
対策の違いが見えてきた。

(3月16日 フィリピン ドゥテルテ大統領)
「ルソン島全域を封鎖する。」
世界に先駆けて大規模な行動制限を行なってきたフィリピン。
しかし感染の抑え込みに成功していない。
原則として市民の外出を禁止。
首都マニラなど主な都市で一時ほとんどの企業活動が禁止された。
さらに
3,000か所の隔離施設を作り
海外帰国者・出稼ぎ労働者など少しでも感染を広げる可能性がある人たち全員を隔離してきた。
感染者の多い首都マニラにあるケソン市でも各地区が独自に行動制限を行なっている。
ある地区では感染拡大防止のため道路を封鎖して
さらに自治会のメンバーが外から人が入り込まないよう監視している。
この地区には郵便局員や食事の配達員も入れないため
住民がゲートまで荷物を受け取り来る。
(地区の住民)
「ルールだから守らないとね。」
また
外出許可証を作り
外出は1世帯1人に制限した。
こうした様々な行動制限にもかかわらず
フィリピンでは5月29日に1日の感染者数がこれまでで最多の1,046人となるなど
感染拡大のペースが加速している。
フィリピンでは感染症の専門家が少ないことなどから
感染経路の追跡や特定などにほとんど乗り出していない。
そのため感染を広げる恐れがある一部の人に外出許可が認められるケースがあったとみられている。
制限を課していた地区でも
5月末相次いで5人の住民が感染した。
外出許可をもらって地区の外に出た子どもが感染し
地区内の住民に感染が広がった可能性が指摘されているものの
詳細は今も分からないままである。
対策を進めてきた地区の行政のトップは
やみくもな行動制限だけでは効果が限られると考えている。
(地区の行政トップ)
「保健省から誰も来てくれないので
 感染症の知識のないスタッフが対応にあたっている。
 この新型コロナ対策はとても大変だ。」

一方
感染拡大の抑え込みで成果を上げているベトナム。
6月4日現在の感染者数は合わせて328人
死者は1人も出ていない。
感染を抑え込むカギとなったのは感染経路の追跡である。
感染者を隔離するだけではなく
聞き取り調査などで感染者との接触者を割り出し
国が用意した施設で隔離。
さらに
その接触者と接触した人にも自主隔離を要請。
政府は位置情報を把握し
対象者が隔離場所から30m離れた場合アプリで警告する仕組みである。
集団感染が発生した場合は地区全体を封鎖。
これまでに隔離された人は延べ100万人近くにのぼるとされ
徹底した封じ込めを行なってきた。
(市民)
「感染率が低く政府の政策に満足している。
 ベトナムでの生活は安心だ。」
感染経路の追跡を通じて
隔離や封鎖などの厳しい行動制限へとつなげるこの仕組みを支えているのは
検査体制の充実である。
PCR検査可能な病院や施設などは全国60か所以上にのぼると指摘されている。
検査体制を整えられた背景には過去の感染症の経験がある。
ベトナムでは
2003年のSARS
2004年に発生した鳥インフルエンザなど
たびたび感染症に見舞われ
当時ベトナムでは検査体制は十分整っていなかった。
ベトナム人の医療関係者らが派遣された海外の専門家を通して検査の技術・知識を学び
施設の拡充も進めたことで
今では国際水準の検査体制を整えている。
その結果
ベトナムでは1か月以上
海外からの渡航者を除いて感染者は見つかっておらず
日常の景色が戻りつつある。
(ベトナム フック首相)
「我々は国民の健康と命を最優先にしている。
 感染を拡大させないために厳格な対策をとることが重要だ。」

 

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