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どんな獣が潜んでいるか知れない都会の密林

2016-04-01 08:00:00 | 編集手帳

3月29日 編集手帳

 

 名探偵、明智小五郎の初登場は関東大震災の翌々年、
江戸川乱歩『D坂の殺人事件』である。
探偵業の成り立ちは古き東京の町並みが灰になったことと関係が あると、
評論家の川本三郎さんは言う。

〈東京が都市社会化し、
 隣りに誰が住んでいるか分からないという匿名性が生まれてからだろう〉
 (平凡社『ミステリと 東京』)。
住まいの防音効果が格段に上がった昨今、
隣人の匿名性は大正時代の比ではあるまい。

外見も物腰も「ごく普通」とあれば、
なおさらである。
名探偵の明察をもってしても犯罪に気づくのは容易でなかろう。
女子中学生を2年間もアパートの自室に監禁していた男(23)である。

思い出す五行歌がある。
〈「どごさ行(い)ぐの?」「銀行…」
 「ふ~ ん、積むの? 下ろすの?」
 下町の
 大きなお世話の中で
 暮らす〉。
いまや夢物語の世界とは承知しつつ、
虐待やいじめも含めて隣近所の異変に口出しする “大きなお世話”の世話役でありたいと念じている。

きのうの朝、
駅に向かう道でふと何度か立ち止まった。
すぐそばにどんな獣が潜んでいるか知れない都会の密林に、
人は生きている。

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ミャンマー最新報告 ③女性企業家の挑戦

2016-04-01 07:30:00 | 報道/ニュース

3月18日 キャッチ!


ミャンマーで多くの人々が巻き付けている巻きスカート。
伝統的な民族衣装ロンジーである。
男性も女性も様々な上着に合わせて着用している。
このロンジーにいま変化が起きている。
去年1月 ヤンゴンにオープンしたロンジーの専門店。
伝統的なデザインを現代風にアレンジし
若い世代を中心に人気を集めている。
金色の糸をふんだんに使ったきらびやかなものなど
種類は1,000を超える。
ロンジーは通常布の端を結んで着るが
着崩れしやすく
きれいに着ることは容易ではない。
このためひもで結んで簡単に着られるタイプも販売している。
ロンジー専門店を経営する サン・ピュー・ピューさん。
ロンジーの将来性に目をつけ
オリジナルのデザインで売り上げを伸ばそうとビジネスを起ち上げた。
(ロンジー専門店 経営者 サン・ピュー・ピューさん)
「ミャンマー人は冠婚葬祭を大切にしていてロンジーは欠かせません。
 そしてアウン・サン・スー・チーさんがロンジーの人気を高めています。」
2011年に軟禁状態から解放されて以降
多くのメディアで取り上げられるようになったスー・チーさん。
どこへ行くときもロンジーをまとっている。
そのデザインや色などへのこだわりが女性たちに注目されるようになったのである。
サン・ピュー・ピューさんは新しいデザインを素早く取り入れるため
店で扱うロンジーの一部を自分の工場で生産している。
商品の品質を高めようと
性能の良い機械の購入に3千万円を投資した。
サン・ピュー・ピューさんはインターネットなどで海外の様々なデザインを参考にしながら
伝統と調和した新しいデザインを常に考えている。
(ロンジー専門店 経営者 サン・ピュー・ピューさん)
「さまざまなスタイルを探さなければなりません。
 どう組み合わせたらうまくいくか
 先駆けにならないと成功しません。」
民主化の進展に伴い
ミャンマーでは外国人観光客が急増している。
そのニーズに目をつけて土産物店を開いた女性もいる。
店頭に並べられているのは
イギリス植民地時代だった19世紀のミャンマーの人々などをモチーフにした商品。
昔の写真や絵画などを組み合わせたり色を付けたりして作られている。
雑誌やネットで取り上げられ
外国人観光客の人気を集めている。
(アメリカ人 客)
「とても面白いアートだわ。
 色もきれいだし
 これまで見たことがないわ。」
(カナダ人 客)
「いいデザインで目を引くね。
 古きビルマの風景がとてもいいよ。」
店を経営する27歳のティン・ティンさん。
フランス人や韓国人の友人とともに去年5月に土産物のブランドを起ち上げた。
ある番目にしたミャンマーの古い写真が商品を作るきっかけだったという。
(ヤンゴングッズ 共同経営者 ティン・ティンさん)
「外国人に古きミャンマーの姿を伝えようとアイデアが出たんです。
 それでこの仕事をやることに決めました。」
好調な売れ行きを背景に
ティン・ティンさんたちはいま新しい商品の開発を進めている。
コースターやバッグのタッグなど商品の種類を増やすとともに
男性向けの商品も手掛けたいと考えている。
3月にオープンした国際空港の新ターミナルへの出店や
海外への輸出も目指している。
(ヤンゴングッズ 共同経営者 ティン・ティンさん)
「外国人は強い関心を示しています。
 国外でも私たちの商品を売り出したいと思っています。」



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