And Li Po also died drunk

勝手に好きな音楽、映画、本を書き連ねる。

夜の静けさの中で

2015-12-12 00:56:33 | 日記
チャーリー・パーカーが演奏する「イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト」のリハーサルテイクを聴くと、この曲はオーケストラ、コーラスそしてパーカーを含むカルテットが一緒のスタジオに入って、せえので演奏したことがわかる。今では信じられないスリル。今はデュエットなどどいうと絶対一緒に歌ってない、ライブといっても音をかぶせたり、テイクを切り貼りしたりなんて常識で聴いているものだから、たとえジャズといっても即興性が希薄になっている。だからジャズは廃れてしまったのだ。クラシックでもミスタッチの入ったライブなどどんどん出せばいいと思うのだけれど。クラシックこそ完璧な演奏を録音で作れてしまう。それでパーカーの時代はよかったでは話が終わってしまうが、自分を含むジャズファンがパーカーから70年代のマイルスまでをよく聴くのは「せえの」が聴けるからだろう。とはいってもマイルスだと60年代からいろいろ加工して4ビートで枯葉演奏する時代からは変わってきたが、それでも音楽として生きていた。ジャズは死んだなどという安っぽい言葉で片付けてほしくない。アメリカでは人気あるらしいが日本では面白くないの一言で片付けられたウィントン・マルサリス。フリージャズは好きだったのだが、セシル・テイラー、オーネット・コールマンはどうもエセのような気がして好きになれなかった。でももう少し聴けば好きになるかと思い、両方とも手に入る物は全部くらい揃えたがやはり面白くない。オスカー・ピーターソンもそう。バカにしていたけど偏見を取り去ってと思いそこそこ買ってはみたがやはり面白くない。ウィントン・マルサリスも同じ。どれか聴いたら好きになるのではとずっと思っていたが何十年経っても好きになることはなかった。ウィントン・マルサリスの音楽はすべてが正方形。クラシックでいえばポリーニ、アルバンベルク四重奏団と一緒。ポリーニはグラムフォンでデビューしたときは新鮮だったけど、歳をとるにつれテープで作られた音楽だとわかるようになった。同じテープで編集でもグールドは面白いのに。ウィントン・マルサリスのトランペットはうまい。うまければ面白いというのが音楽ではない。ロックの好きな人間があのグループはテクがないからだめみたいなこという奴がいる。うまければいいと思っているのだろうか。確かにモンキーズのようにレコードでは影武者が演奏していて、コンサートするのに急遽練習したが、ひどくて聴けたものではなかったという例もある。マイルスよりうまいトランペッターはいくらでもいたのにマイルスが抜き出たのがいい例だ。ヴァイオリン協奏曲とかで指の衰えが感じられるとかいう評論家がいるけど、お前そこまで聴き取れるのかと思うと同時に今の演奏はというか今の録音はそういうのは一切ないと思う。ポリーニも80,90歳になっても完璧な演奏のCDが出てくることだろう。と思うとパーカー、ビリー・ホリディ、バド・パウエル、レスター・ヤングなど晩年のぼろぼろの演奏は今まで聴く必要ないと思っていたが、あえて聴く楽しみがあるということか。