And Li Po also died drunk

勝手に好きな音楽、映画、本を書き連ねる。

コルチャック先生、あなたは自由だ

2014-05-31 15:54:54 | 日記
紀伊國屋書店からDVDでワイダのボックスが出て、有名な「灰とダイヤモンド」より「世代」「地下水道」のほうが面白く
それからワイダのDVDが出ると必ず買っている。やはり政治に絡む話に興味があって、「カティンの森」とか好きだが
今回はやっと「コルチャック先生」。観たことなかったが、ストーリー読むだけで泣いてしまいそうになる。
前に死んだ人間を出すのは反則だと書いたが、自分の中では子どもを出すのも反則だ。さあ号泣しなさいと観る前から指示されているようで。
典型は「禁じられた遊び」何十回観ても泣く。若いときも泣いたが、自分に子どもができたらもっと泣く。
両親が目の前で亡くなっても涙を流さず、最後の最後にミッシェルという呼びかけがママ、ママと変わって
泣きながら群衆に紛れていくと書くだけで泣けてしまう。デシーカの「自転車泥棒」「靴みがき」ジェルミの「鉄道員」
ルイ・マルの「さよなら子供たち」古くはチャップリンの「キッド」「ソフィーの選択」のような作りすぎだろうというのはごめんだが。
でも「コルチャック先生」のような史実にそった話は切実。
さてドアを閉めて泣く準備をして観るか。


風と共に去りぬ

2014-05-22 01:07:19 | 日記
リヒテルで有名な演奏、60年カーネギーホール。
その中でベートーヴェンの「熱情」3楽章、最後ものすごいスピードでフィニッシュに突入していって
思い切り音を外すが、何度聴いても引きつけられる。全盛期のポリーニ聴きに行って思い切り音外して
こいつ日本なめてるんだろうと思ったのとは全く違う。
CBSで録音して1度だけレコードになったが、そのあとリヒテルが止めてしまって聴くことができなくなったが、
今はCDでその10月のコンサートを聴くことができる。そういう演奏はジャンルに関係なく滅多に聴くことができない。
ケーゲルのライブでショスタコーヴィチの交響曲7番第1楽章クレッシェンドで盛り上がっていくところ、オーケストラが走って
パーカッションが明らかにずれてしまったとか、ジョージ・アダムスードン・ピューレンカルテットのライブ盤で
ドラムが走ってしまって、ソロをとっていたドン・ピューレンがあおられるのがわかるとか思い出すのはいくつか。
チャーリー・パーカーのラバーマン・セッション。コルトーのショパン、外すところが味出てるなんて人もいるが、
そうそうあるものではない。大抵は編集するか全く出さないかだから。




虐げられし人々の発狂

2014-05-19 09:31:30 | 日記
H・G・ウエルズの「タイムマシン」久々DVDで観た。
タイムトラベルものといえば後のSF小説、「タイムトンネル」「バックトゥザフューチャー」などの映像もののような
夢のある冒険もののイメージだが、ウエルズの「タイムマシン」はオーウェルの「1984年」のように楽しくない未来の暗示でしかない。
知能の発達していない人間たちが地下の怪物に食われていくという資本家と労働者のたとえそのもの。昔「透明人間」を映画で観たときも楽しい映画を想像したら、後味悪い結末に驚いたことがあった。要するにH・G・ウエルズは子ども向け小説を書いてたわけではないのだ。
学生の頃からSFはジャンルでいうと小説でなくて漫画だろうくらいにしか思っていなかったが、H・G・ウエルズで見直したわけどもなく。
と書くとこれで終わってしまうが、映画でいくと何だろう。
ジャック・フィニィの「盗まれた街」の映画化。ボディ・スナッチャーズという小説の原題で知ってるだけで4度映画化。
番外編で「侵略」というこれも「盗まれた街」なのだけれどアダルト版?とにかく映画にして面白い小説。
特に一番最初の白黒の映画が一番怖かった。DVDではそのカラー化したのが一度出たきり。LDでは元の白黒で出てた。
「アルジャーノンの花束を」は「まごころを君に」という甘い邦題で名前通り甘い映画に。
映画館で観たのがタルコフスキーの「惑星ソラリス」何度途中で観るのやめて帰ろうと思ったことか。「火星年代記」のテレビ映画化は意外と面白かった。
「アンドロメダ病原体」は普通に映画化すれば面白いに決まってるし、その通り面白かった。
「ブレードランナー」「2001年宇宙の旅」はそれについて書くのすら面倒。ファンがたくさんいるだろうから。



西脇順三郎は待てよ

2014-05-15 12:31:56 | 日記
ジャズや現代音楽の評論を書いていた鍵谷幸信という大学の先生がその中でよく引用した自分の専門、
詩人なんて全く興味なかったのに知ったのが西脇順三郎。マイナーな詩人なんだろうと思っていたら、
大学の図書館に全集があり、あとで知ったことはノーベル文学賞の候補にもなっていたと。
興味を持ち始めた時にはもちろん全集は絶版。「詩と詩論」という選集がかろうじて手に入った。
詩を何篇か読むくらいなら文庫でも手に入ったのだが、音楽でも文学でもとりあえず全部並べてみたくなる。
そして並べると安心するので読まない、聴かないは今もよくあること。
最後の詩集「人類」もサイン入りの限定のほうを買ったり。
亡くなって2度目の全集と全詩集が出て、平成に入って3度目の全集が出た。
すべて部屋のインテリアになっているけど、で何がいいか。
”(覆された宝石)のやうな朝”のようなフレーズははっとさせられるのだけど飽きる。
たとえば「秋」という詩の1節「タイフーンの吹いている朝」こういうのが頻繁に出てくる「近代の寓話」という詩集あたりが好み。
でもこのよさがノーベル賞選考委員にわかったのかね。



チープイミテーション

2014-05-14 16:37:58 | 日記
マイルス・デイヴィスは昔も今もそれほど好きではない。
公式盤はみんな買って、ブートも本を見ながら面白そうなのはほぼそろえたが。
その好きでもないなかで、70年代前半のチック・コリアがいた時代をよく聴いた。
キース・ジャレットとダブる「アット・フィルモア」は特に好きでジャズ、ロック、現代音楽が
一つに混ざってしかもヒッピームーブメントのにおいがするようなかっこよさがあった。
でもテープ編集を隠そうともしないようなぶつ切りにいつかノーカットを聴いてみたいと思っていた。
「ライヴイヴル」のライブがブートでノーカット出て、やっとかというくらいあとになって公式盤で出た。フィルモアもブートでとうとうノーカットが出て、公式盤も出たので買ったら唖然。
チックとキースの左右が逆に入ってる、音も悪い。ブートso what盤はちゃんとチックは右からキースは左から聞こえる。音もいい。音合わせから入ってる。どうなってるんだ。
オフィシャルがイミテーション。
「ライヴイヴル」のときはやはり公式盤だよなと思ったのに、しかも一番好きな「アット・フィルモア」でこのざま。当然手放したブートをもう一度買い直し。