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ロンドンから徒然に

冬の桜

2008-11-27 | 日常
 時々電車の中で違和感を覚えることがあります。これは一体何なのだろうとよく観察してみると服装なのです。いや、色んな民族の人が乗り合わせているので、服装の違いそのものは当たり前なのですが、そういうことじゃないのです。

 これはむしろ夏の方が顕著だと思うのですが、ノー・スリーヴの人の横に厚手のコートを着た人が座っていたりするのです。1日のうちでもころころと気温が変わるせいだとも言えるでしょうが、どうも体感温度が違っているように思えてなりません。
 つい先日も寒風の中震えながら帰っていると、トレーナーだけの男女とすれ違いました。別に上着を抱えているわけでもないので、今家から出てきたばかりというわけでもなさそうだし、近くに車を止めているような様子でもないし...まぁ、確かに寒さには平気かもしれないという体格ではあったのですが。

 高校1年生の時(大昔ですね)鉄道の線路のすぐ側にある校舎の横に桜の木がありました。この桜、秋になると綺麗な花を咲かせるので名物になっていました。ところが皆が付けた愛称が“ボケ桜”。本来春に咲かせるべき花を秋に満開にしてしまうので、ボケてしまって季節を間違えているんだと解釈していたんですね。
 桜というのは、確か葉にあるホルモンが花を咲かせるのに関連していて、台風やら何やらでこれが被害に会うと、抑制のバランスを失って変な時期に咲くんだというのを聞いた気がします。でも、この桜の木がそんな目に会っていた様子はありません。だから愛情も込めて“ボケ”の冠は定着していたのです。

 ところが卒業後に、ちゃんと秋や冬に咲く桜の種類もあるんだということも知りました。花弁が八重の十月桜、一重の冬桜...だったと思います。いずれにしろ、ボケ桜くんごめんなさい。
 随分昔に帰省した折に、懐かしくて会いに行きましたが、校舎も建て直されて、桜の木も無くなっていました。残念でした。

 ロンドンの街を散歩していて、冬咲く桜を見つけました。ボケ桜を思い出しました。もしかしたら体感温度の違うイギリス人の桜かもしれませんが。