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ロンドンから徒然に

BBCの体たらく

2008-11-09 | 日常
 こちらでは夜中でも現金を引き出すことは難しくありません。銀行の外側の壁に備え付けられたATMは時間制限なく、手数料も取られることもありません。僕の利用している銀行はこのATMを“Hole in the wall”(壁の穴)と名付けています。
 
 いつもはTVはニュース・チャンネルを点けっぱなしにしているのですが、今日はたまたまBBC1にチャンネルを合わせていました。すると司会者が大きな声で“Hole in the wall !”と叫ぶのです。
 いったい何だろうと思っていたら、向こうから迫ってくる壁に空いた人型に合わせて、これを上手くくぐり抜けると点数がもらえ、失敗すると後ろのプールに落ちてしまう、というゲームなのです。

 ここまで書くと、あれっと思う人もいると思います。そうです、これって日本の番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』の中の『脳カベ』と言われているものと同じなのです。
 実は日本にいる時に一度も見たことがなかったのですが、今年の夏にその企画の導入が少し話題になりました。BBCと言えば、日本ではNHKに当たる国営放送で、堅い番組を流しているイメージがあります。それが日本の“低俗番組”の企画を導入するということで、同局の知的レベルを下げるという批判が相次いだのです。



 ところが、こんな議論を持ち出すまでもなく、BBCのレベルは下がっているというのが証明された事件が相次ぎました。
 ひとつはイギリスで最も高額のギャラを稼ぎだすと言われる人気キャスターのジョナサン・ロスと、最近は映画にも進出している人気コメディアンのラッセル・ブランドのふたりが、ラジオ番組の中で、老俳優アンドリュー・サックスに電話をして、留守電に彼の孫娘とブランドとの性的関係を言及した事件。

 もうひとつは、『Top Gear』という人気の自動車番組の司会者ジェレミー・クラークソンが番組中にトラック運転手に扮して、この仕事は“売春婦の殺人”までやるから忙しいんだ、などととんてもない発言をしたこと(これは以前起きたトラック運転手による売春婦の連続殺人事件をほのめかしているんだと思います)
 両方とも放送のモラルを問う抗議が殺到しているそうで、本人のみならず番組の担当者も辞職したり等の事件にまで発展しています。

 両司会者とも普段から辛口のコメントで知られていますが、この軽率さを見ていると本気でマスコミの責任を考えているとは思えないところがあります。
 同じ辛口の司会者でも、いつも全身全霊で自分の発言の責任を全うしようとした筑紫哲也さんの死が惜しまれます。