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ロンドンから徒然に

自転車貸出スタート

2010-07-31 | 日常
 パリのVelibに次いで世界で2番目の規模になる予定のロンドンの自転車レンタルシステムThe Barclays Cycle Hireが今日スタートしました。
 Barclaysはスポンサーである銀行の名前なんですが、このプロジェクト、現市長のBoris Johnsonの肝煎りで始められたため、Boris Bikesと揶揄する人達もいます。

 そのBoris Johnson市長、さぞ高らかに開始を祝うメッセージを送るかと思いきや、LBC radioに「きっと何か問題が起こるのは間違いない」などと不安な心情を吐露しています。
 それもそのはず、予定の数の自転車も、それを駐めるdocking stationもまだ揃っていない状況のようです。それにこのブログでも書いたように、WEBがちゃんと機能していなくて、登録は結局電話でないとできません。

 それだけでなく、せっかく届いた電子キーを作動させる手続きをしようと思っても、こちらもWEBが機能せず電話する羽目になりました。
 この分では利用請求とかも間違ってきたりしないかと心配です。

 あ、まだシステムを説明していなかったですが、こんな感じです。
まずメンバー登録の際に、1年間(45ポンド)、1週間(5ポンド)、1日(3ポンド)のいずれかのメンバーシップを選びます。そうするとdocking stationに駐められた自転車を外す電子キー(3ポンド)が送られてきます。

 街中にある、どのdocking stationの自転車を借りることもでき、またこれをどのdocking stationに返却しても構いません。その間が30分以内ならば何回使っても無料、それを超える毎にある単位で料金が課せられるということです。料金は登録の際に使用したクレジット・カードから引き落とされます。

 まずはメンバー登録をした人だけからスタートですが、近いうちに観光客等にも開放する予定みたいです。

 早速試してみました。
 利用したdocking stationは割と大きなところだったので、説明係の女性が朝から側に立って説明をしています。殆どシステムについての質問が多かったようで、僕がキーを持って利用する際の質問に行くと、「実際にここで使用する人は貴方が初めてだわ」
 そこで彼女が試してみたら上手く外れません。慌ててマニュアルをめくっているうちに、周りに人が集まってきました。



 結局、これ車体が重たすぎて、錠が外れている間にうまく抜けなかっただけのことでした。
 そう、確かに女性にはちょっと重たい車体かな?それにロックが付いていないので、買い物などで利用する人がちょっと店の前に駐めておきたいとか言う時には困るかもしれません。それから荷物を置くスペースが前面にあるのですが、これが籠タイプではないのでちょっと使いづらいかも。

 ともかく少しの時間乗ってみましたが、何年ぶりかの自転車で、普段使わない筋肉を意識しました。これで運動代わりにしてみようかな。

Me 50%, You 50%

2010-07-30 | 日常
 以前(僕はそうではないですが)ゲイやレズビアンの方を応援する集会にエルトン・ジョンが出演して歌うということで見に行ったことがあります。
 出演者は彼を含むミュージシャンだけではなく、俳優や(こちらもビッグな人がいました)コメディアンもいて、彼らの歌とスピーチを交互に行う形で、トリのエルトン・ジョンまで進んでいったのですが、さて、困った、そのコメディアンの話す英語がさっぱり分からない。周りの笑いにひとりだけ取り残されて、どうにもばつが悪かったのを覚えています。

 またある時、シェークスピア劇を見に行きました。リア王だったので、それなら大筋のストーリーは知っているし何とかなるだろうと思ったら、こちらもまた聞き取れない。

 何だか情けなくなってイギリス人の友人にその話をしたら、コメディアンは固有名詞を含む最新の時事ネタ等を取り入れた上に独特の話し方をするし、シェークスピアの時代の言葉は現代では存在しない語法がたくさん使われるので分かりにくい、と慰められました。

 確かに日本語を考えても、時として若い世代のお喋りが何を言っているのか分からなかったりするし、江戸時代の言葉をそのまま使われたらやっぱり理解できないことが多いでしょうしね。
 言葉っていうのは生き物なので、時代時代に応じて変わっていくのでしょう。

 ところで、今のロンドンは英語が母国語でない人達が(僕もそうですが)たくさん暮らしていて、そういった人達同士での会話の方が実際の生活では多かったりするわけです。
 実は昨日書いたブログでの電話の担当者も明らかに訛りが強い他の国の人で、時々文法的にも「?」の喋りをします。またその相手が僕なわけですから、それを近くで聞いているイギリス人がいたらどう思ったでしょう(笑)

 ところで中国人同士の英語で面白い会話があると聞いたのですが、本当かな?
 ベンチに座っている人に端に寄ってもらって自分も座ろうという時のフレーズ。「Me 50%, You 50%」


MとN

2010-07-29 | 日常
 先日(7月25日)このブログに書いたCycle Hireのメンバー登録ですが、そこで心配した通り、やはりシステムは回復しておらずWEBからは今日もアプローチできません。もう最初の日から数えて6日目。
 仮にも“市”が運営するシステムがこんな感じだったら、日本だったら凄いクレームの数になるんでしょうね。そこはそれ、ほら「ロンドンだから」で、大抵の人は許して(諦めて)いるみたいです(笑)



 確かに色んなことがのんびりしていて殺気だっていないのは、僕にしてみたら悪いことじゃないですが、おそらく凄く几帳面な人には許せない出来事が多いかもしれません。
 まぁそのあたりのことはまたいつかまとめて書こうかな。

 で、話が戻りますが、もうWEBでの登録は諦めて、調べた電話番号にかけてみることにしました。ずっとWEBが使えないと告げるとあっさりと謝ってきたところをみると、やっぱり本当にシステムは回復していないんですね。
 ともかく電話ででも登録ができるということなので、必要項目の質問に答えていきました。

 名前を告げると大抵スペルを教えてくれと言われます。そりゃそうだ、日本人の名前なんてこんなに母音があるので、聞いただけでは分からないと思います。
 ところで名前に関してはね、MとNをよく間違えられるんです。

 イギリス人同士でも電話口では聞き取れないことが多いので、よく「G for Golf」みたいな言い方でアルファベットの確認をしますよね。このfor の後に来る単語にはもちろん一般的な言葉を使うべきなので、例えば「N for November」とか言えばいいわけです。
 ところが咄嗟に出る言葉が、自分でもなんでこんな単語言っちゃうんだろうみたいな言葉。詳しくは言いませんが、自分でも後で笑ってしまいます。

 まぁ、そんなこんなで手続きは終わり、確認のメールが届きました。
 名前を見ると...MONAKA。いつもこうしてお菓子と同じ名前になってしまいます(笑)

見て、嗅いで、触って...

2010-07-28 | アート
 啖呵を切って中国と決別したかに見えたGoogleが、いつの間にか中国政府による検閲の受け入れを容認して市場にまた戻って行きました。
 検閲を拒否した時は随分英雄行為として持て囃されただけに、失望している人達も多いでしょうね。まぁそれほど中国市場の大きさというのは魅力なんでしょうが。

 「中国はもう分かった、じゃ次に来るのはどこの国だろうね」
 クリエイティブ関連の友人とそんな話になったのですが、ふたりともブラジルかな、という結論でした。
 経済が良くなってきたみたいで市場としても魅力だし、デザインやクリエイティブな面でも面白い人材がいそうだし。

 折しもロンドンでは6月から『FESTIVAL BRAZIL』というイベントがSouthbank Centreで続いています。
 その一環なのかな、Hayward Galleryではブラジルを代表するアーティストであるエルネスト・ネトErnesto Netoの展覧会が開かれており、先週末に行ってきました。




 伸縮性のある生地で空間を切り取った作品は、(若い人は馴染みがないかもしれないけれど)蚊帳を連想させます。その上に乗っているのが石だったり、間に挟まれているのがハーブだったり、ところどころに空いている穴から手を覗かせたり......彼の作品は自然素材をそのまま利用することが多く、また見るだけでなく、匂いを嗅いだり、実際に触って作品を楽しんだりします。

 ただ、正直言うと、どの作品も何だか小粒で、期待していたようなわくわく感を感じません。過去の作品を写真で見て、そのスケールの巨大さを想像していただけに、ちょっと残念でした。
 やはりブラジル人の奔放さは、器からして大きなものを用意してあげて、自由に動かしてこそ活きるような気がしました。

 こんなことを書きながら、つい先日のワールドカップのブラジル・チームのことを思うのは変かな?(笑)

水不足

2010-07-27 | 日常
 朝から打合せに出かけたのですが、道中は曇りで、目的地に着くと雨、そこを出る頃には上がって、地下鉄の駅に着いたらまた雨、降りる頃には晴れ、と上手い具合に傘なしで過ごせました。
 こんな変わりやすい天気はロンドンでは普通なのですが、ふと気付くとこのところ雨がやけに少ないです。

 そう言えば、いつも緑のイメージの公園が今はこんな色に変わっています。
 水不足で芝生が枯れてしまっているんですね。



 住み始めて以来それほどひどい水不足は経験していませんが、もっと以前にはかなり深刻な状況が続き、ホースでの庭の水まきや、洗車が禁止されて、これに違反すると高い罰金(最高で1,000ポンド=約14万円)を取られたなんてこともあったみたいです。
 今年はどうなんでしょう?まぁうちには庭もなければ車もないので、上記の2点は心配する必要がないのですが。

 そもそもイギリスでは、割とみんな水に関して節約の概念が染みついているような気がします。
 習慣の違いもあるんでしょうが、ロンドン市内の相当高いホテルでもバスタブがなかったりもしますしね。

 でも日本人だったら、やっぱり湯船にしっかり浸かって落ち着きたいですよね。ましてやこんな湿度の高い夏は。
 遅れましたが、暑中お見舞い申し上げます。もう朝から参っているという感じのメールがたくさん来ます。負けずに頑張って下さいね。

荒唐無稽かつ単純

2010-07-26 | アート
 ちょっと説明するのが難しいのですが、仮にも“プランナー”と言われる仕事をしていると、時々陥ってしまうのが、本来の目的を忘れて“企画のための企画”的な作品を仕上げてしまうこと。ちょっとひとりよがりになってしまい、そもそもの対象たる顧客から離れてしまっていることに気付いて、慌てて軌道修正することがあります。

 本来商業的なところから離れている“アーティスト”は、もちろん何ものにも媚びる必要はなく、己の感性をそのまま解き放ってあげればいいのですが、これが逆に落とし穴で、敢えて必然とも思えない難解なポジションに作品を設定してしまい、これまた“アートのためのアート”なっている例を多く見ます。

 僕はアートに対しては殆ど偏見を持たずに臨んでいると自分では思っているので、「わけわからん」と言って切り捨てるようなことはしませんが(笑)、それでも時々インスタレーションやビデオの類には、上記のような鼻につく点を感じてしまうことがあり、あまり時間もかけずに通り過ぎることもままあります。

 でも、今テート・モダンで行われている『Francis Alÿs : A Story of Deception』は、どの作品もひとつひとつが面白くて引き込まれてしまいました。



 ベルギー生まれのフランシス・アリスFrancis Alÿsは、1986年にメキシコ・シティに活動の拠点を移し、以来様々なメディアで活躍していますが、今回はビデオ中心の展覧会です。

 何が面白いって、その荒唐無稽さと単純さ。
 カメラを持ってハリケーンの中に突っ込んでいったり、何百人ものボランティアにシャベルを持たせて砂丘を何センチか移動させようとしたり、ピストルを手に晒し持って警察官に捕まるまでをビデオに撮ったり、かと思うと、大きな氷の塊が完全に溶けてしまうまで街中を引きずり回したり......面白いアイデアと行動の単純さについ見入ってしまうのです。

 単純な映像なんですが、下記の作品なんて上手い具合に編集されていて、見ていて飽きません。
 塔の周りを羊飼いと羊がただぐるぐる回ります。1頭だけだった羊が一回りする度に外から1頭輪に参加し、次の一回りの間にまた1頭という具合に増えて行き、輪が一杯になると今度は逆に一回り毎に一頭ずつ減っていきます。
 
 また、長い急な坂道を車が突進していき結局登り切れずに落ちてくる映像には、音楽が一役買っていて、その昇る前のシーンの高揚と、結局失敗して落ちてくる弛緩を見事に表現しています。

 ただ、作品はこうした一見エンタテインメント性のあるものばかりでなく、彼がメキシコに渡った頃の政治的緊張が影響しているのかもしれませんが、政治性が色濃く見えるものもあります。
 そのうちのひとつ『The Green Line』というタイトルの作品では、イスラエルとパレスチナの停戦ライン上を、缶に詰め込んだグリーンのペンキをこぼしながら線を書いていきます。

 何だか変な表現ですが、あぁ本物のアーティストだな、といたく感じ入りました。

 あ、書き忘れました。上の右側に載せた写真は会場の外側で入場者以外も見られるようにしていたのですが、ポートレート・ギャラリーに真夜中キツネを放って、その動きを館内各部屋のCCTVで追っていったものです。
 色んな作品を見ていると、どこまでが本物でどこからが嘘なのか分からなくなってきます。あ、そうか、それで展覧会のタイトルにdeception(だますこと)が付いているのかな。

大丈夫かな

2010-07-25 | 日常
 木曜日に“Transport for London”からメールが来ました。
 以前このブログでも書いた(6月18日)自転車貸出制度Cycle Hireの会員登録がいよいよ始まるとのことです。

 このところ街を歩く時も注意していたのですが、中心部のけっこう目立つ場所に自転車を駐めるdocking stationが出来ています。もちろん自転車はまだなのですが。
 工事の遅れにより、当初予定していた7月30日の開始が危ぶまれていたのですが、この分では間に合うかもしれません。



 メールの内容に戻りますが、まずは(その時々の観光客などではなく)会員登録をした人のみの貸出開始を予定しているので、その最初の会員にならないかという誘いなんです。金曜日の朝6時から登録が開始され、サイン・アップした最初の1,000人に特製のTシャツをプレゼントすると書かれています。

 Tシャツはともかくとしても、“最初の1,000人”なんて響きには惹かれるものがあって、早速翌日金曜日の朝に早起きしてトライしました。
 ところが登録までに幾つかあるステップの2段階目から躓いてしまいます。次の画面に遷移してくれずに、現在サイトは稼働していないとのサインが出るんです。

 その日は時々トライしてみたのですがいっこうにダメで、とうとう夕方にはホームページ上に、今システムの直しに取り組んでいるところなので明日もう一度トライしてくれ、との案内が出ました。

 で、今日、もう一度やってみましたが、やはりダメ。
 ううん、登録時からこの調子では、もし本番に間に合っても、それ以降うまくシステムが動いていくのかな、とちょっと不安に感じています。

屋内→屋外→屋内→

2010-07-24 | スポーツ
 昔初めてダブリンに行ったのは夏のことでした。大酒飲みの地元の友人に連れていってもらった歓楽街は、道路にまで人が溢れ、遅くまで賑やかでした。
 ところがその次に訪れた翌年の冬、仕事が終わって同じ場所に繰り出すと、まるで別の場所かと思われるくらい閑散として、一瞬道を間違えたのかなと思ったほどでした。

 ロンドンはそこまでの差はないですが、やはり夏の夜の週末ともなると、パブの外では幾つもの輪が出来て会話が弾んでいます。もっとも、外に人が溢れているのは、昔と違い中でタバコを吸うことができないという事情もあってのことだと思いますが。



 SOHOを歩いていたら、そんな環境の中にちょっと違和感のある風景が。店頭にはPING PONG PARLOURと書かれています。ビリヤードなら分かるけど、卓球とは。
 イギリス人にも卓球は受けるのかな?



 なんて思ったすぐその後に、よくよく考えてみると、卓球だって起源はイギリスなんですよね。
 英語ではもちろんping-pongとも言いますが、正式名称はtable tennis。文字通りテニスの代わりに生まれた屋内競技なんです。シャンパンのコルクをボールに、葉巻入れの蓋をラケットにして、食事の後に楽しんだといいます。

 それにしてもイギリスが起源のスポーツの何と多いこと(これについてはかつて一度書いたような気が)。もちろんテニスもそうですよね。
 ところがテニスの起源をさらに辿っていくと面白いことを発見しました。

 テニスのもとになったボール遊びのことを『ポーム』というと聞いたので、綴りを調べてみるとフランス語のpaumeらしく、そもそもle jeu de paumeという、11世紀以来のボール遊びがあったみたいです。
 ちなみにjeuは遊びとかゲームのことで、paumeは手のひらのことですから、おそらく手でボールを叩いていたんじゃないでしょうか(あくまで推測です)。

 ところでこの『ポーム』は屋内でのゲームでした。フランスの貴族が宮殿や教会で行っていたものを、イギリスの僧侶が持ち帰り、屋外のゲームとして楽しんだのがテニスのもとになったというのです。

 ということで、経緯を整理すると、屋内(ポーム)→屋外(テニス)→屋内(卓球)と来たわけです。
 さて、誰か今度は卓球を屋外競技として発展させて、新しいスポーツを発明してみませんか。

観光客相手の詐欺

2010-07-23 | 旅・イベント
 随分昔の話ですが、NYで写真を撮っていたらいきなり後ろから黒人にぶつかられました。同時に瓶の割れるいやな音。いきなり大層な剣幕で「これは高い白ワインなんだ。弁償しろ」
 
 もちろんこれ詐欺です。
 割れた瓶から流れている液体からは、高級ワインの香りどころかアルコールの匂いさえしないんです。普通の水を入れた瓶を用意しておいて、カメラを持ったいかにも観光客の日本人(多分あの頃の僕はまだ慣れないNYでそう映ったに違いありません)にわざとぶつかり、脅かして金を取ろうという魂胆なんですね。
 僕は意外と肝が据わっているので(笑)すぐに見抜いて、「じゃ、警察に行って事情を話そう」と反撃しました。そして彼の腕を取って連れて行こうとすると、さっさと逃げて行きました。



 観光客を狙ったこの手の詐欺は後を絶たず、ケチャップを上着にかけて親切ごかしに拭いてあげるふりをして財布を抜いていくという古典的なものから数えても、次々と手を変え品を変えたくさんの“技”が編み出されています。

 最近ロンドンでよく聞く日本人を狙った手口というのは次のようなものです。
 日本人観光客から見えるところで、刑事のふりをした男がイタリア人っぽい容疑者(というところがちょっと面白いですが、もちろんこれもグルです)を尋問するふりをして、クレジットカードを渡させ暗証番号を訊き出します。その後に今度は矛先を日本人観光客に向け、グルの“イタリア人”にしたのと同じことを強要し、すぐにそのクレジットカードで金を引き出してしまうのです。

 どんな手口も、後から冷静に考えたらおかしなことばかりだと思うのですが、慣れない海外で英語で強い口調で話されたりしたら、ついパニックになってしまうんでしょうね。
 最近は日本人の観光客は減って、中国人や韓国人が増えていますが、彼らはとてもたくましく見えて、あまりこういった手口にひっかからないんじゃないかと思うのは気のせいでしょうか(笑)

ぴーかん

2010-07-22 | 映画・演劇
 何となく感覚的に納得はするんだけれど、突き詰めていくとどうしてそんな意味なのって言葉がけっこうないですか?
 『ぴーかん』(あるいは『ぴいかん』)もそのひとつ。雲ひとつない快晴のことを指すのはもちろん知っているんですが、いったいどういう由来なんでしょう?

 “ピー”はピンキリのピン、だとかパーフェクトのPだとか、“カン”はかんかん照りのカンだとか、あるいはタバコの“ピースの缶”だとか、色んな説が飛び交っているみたいです。
 いずれにしろ、もともと映画の世界で撮影時に晴れている状態のことを言っていたのは間違いないことみたいですが。 



 デジタル技術の発達した現在と違って、昔は撮影時の天気が大きく条件を左右したことでしょう。
 ハワード・ヒューズが『地獄の天使』の撮影の際に、理想の天候を求めて何ヶ月も撮影を延期させ、巨額の制作費に膨れあがった様子は、確か映画『アビエーター』で描かれていたと思います。

 もちろん大富豪のヒューズゆえ出来たことには違いありませんが、昔の映画監督のこういった逸話はよく聞きますね。
 随分昔に聞いた話なので記憶も曖昧ですが、黒澤監督は、出来上がったセットの位置が気に入らず、ほんの数センチ動かすために大変な時間と金を使ったとか、確か『天国と地獄』の時だったと思いますが、ほんの一瞬しか映らない遠景にもかかわらず、邪魔になった家の2階を取り壊させ平屋にさせたとか、今聞くと信じられないようなこだわり様を見せています。

 今だとこんなことはきっとデジタル技術で綺麗に処理できるんでしょう。
 でも、そのこだわりを捨てた分、どうにも映画がつまらなくなっているような気がしないでもありません。

 多分どこかで手段たるべきデジタル手法に“こだわり”過ぎて、本質のところがおろそかになっているのではないかという気がします。そのせいか、例えば(少数の例外を除き)あまり面白い3Dムービーに出会えていません。

 誰か昔の黒澤映画みたいなゴツゴツした感触の大作を作ることのできる若手監督が出てこないかな。