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ロンドンから徒然に

Skylight~ケリー・マリガンのウェストエンド・デビュー

2014-06-20 | 映画・演劇
 先日レディー・ガガが、世界最大のコンサート・プロモーション企業であるLIVE NATIONとアーティスト・マネージメント契約を結んだとのニュースが流れました。
 昨年末に長年タッグを組んできたTroy Carterとチームを解消しての動きなんですが、まぁLIVE NATIONはこれまでも彼女の2つの世界ツアーをプロデュースしているので、自然と言えば自然な流れなんでしょう。

 と言うより、CDのみならずダウンロードまで売上が落ちている今、収益源がますますライブに寄ってきている表れとも言えるんでしょうか。何しろ前述の世界ツアー2回の総売上が3億ドル(約300億円)以上とも言われているくらいですから、力を入れるわけです。

 でも、ミュージシャンがライブをやるのは何も「金目」なわけばかりでなく(ね、石原大臣)、やはりそこにはレコーディングだけでは得ることの出来ない喜びがあるからなんだと思います。

 ミュージシャンのレコーディングとライブにおける関係をそのまま映画俳優に置き換えると(そんな単純なものではないんでしょうが、ともかく)映画と舞台ということになるんでしょうか。
 この18日にWyndham’s Theatreでキャリー・マリガン Carey Mulliganとビル・ナイBill Nighy主演の「Skylight」が上演されました。



 ビル・ナイは既に舞台経験も豊富で、2006年にはブロードウェイでもサム・メンデス演出の舞台に出演しています。
 キャリー・マリガンもまた2008年にはブロードウェイでチェーホフの「かもめ」に出演しているのですが、ことウェストエンドでの舞台としてはこれがデビュー作となります。ということで記念すべきチケットを何ヶ月も前の発売初日に入手しました。

 しかもこれ、本番の「初日」に先だって何日か行われるプレビューの「初日」の分なんです。文字通りのウェストエンドデビュー日ということになりますね。なので上に18日が初日と書いたのですが、僕が行ったのは6月4日。もしかしたら、ここからまた細かい演出が変更になっている可能性もあります。



 舞台は全編ほぼこのふたりだけ(正式にはもうひとり)の台詞劇。しかもセットは彼女の部屋。特別大仰な仕掛けもない(ひとつ変わったことと言えば、実際に舞台上でパスタが料理されること)…
 ということで、演技力の問われる舞台です。キャリー・マリガン演じるのは高校教師。年齢差のある成功を収めたレストラン経営者(ビル・ナイイ)とかつて不倫の関係にあったらしいけれど、今はひとりでつましく暮らしている、そこへある日予告もなしに訪ねてきたのは…

 と書くと、随分シリアスな響きなんですが、やっぱりイギリス、そこかしこにちらちらとユーモアを散りばめるんですよ。それでいて、どこか熱情や艶っぽさや、ある種の空虚感とかが漂っていて独自の舞台になっていました。

 ふたりがこの経験を糧にして、今度は映画で共演するのを観てみたい気がします。

フェルメール作品のオークション

2014-06-16 | アート
 行きにはほぼ空っぽだったスーツケースが、ロンドンに戻る時にはいつもたまらなく重たくなります。どうにも日本語の活字に飢えて、つい本を買い漁ってしまうのですが、限りある本棚なので、整理せざるをえなくなって、今回も「えいや」で捨てています。

 ついでに整理しようかと思って押し入れを覗くと、もう使わないであろう音楽機材が。ううん、これは捨てるにはちょっともったいないぞ。
 かといって、デジタルものは、新しい機種が出るとすぐに値が下がるし、さて、どうしたものか?昨年は何点かebayに出して、割と高い値段で捌けたので、今回もそうするかな。

 それにしても「オークション」なんて、ヤフオクやebayのおかげですっかり身近な存在になってしまいましたが、少なくとも浸透したのは今世紀に入ってからの話ですよね。それもこれもインターネットの普及のおかげだし。

 それに比べて、さすがにイギリス、老舗のサザビーズSotheby’s や クリスティーズChristie’sの設立なんて、どちらも18世紀まで遡るんですから、歴史の重さが違います。
 もちろんオークションにかけられる物品からして、格が違い過ぎるわけですが、特に絵画などの美術品になると、もう一体誰が買うのやら、という世界です。
 参加は誰でもできるとはいえ、予めの登録も面倒だし(それでも昔、ビートルズのメモラビリアの時には参加したなぁ・笑)、やっぱりちょっと縁遠い気が……

 でもね、これは気軽に行けるんですよ。いわゆる下見会。ギャラリーに行く感覚で、素晴らしい出展作品を観賞できるので、お薦めです。普段目に触れることのないものに接する機会にもなりますしね。



 で、先週末から行われているクリスティーズの下見会には、なんとフェルメールの作品が展示されています。30数点と言われる数少ない中で、個人所蔵のものは2点だけなんだそうで、今回はそのうちの一点「聖プラクセディス Saint Praxedis」。
 もっとも日本の絵画ファンならば馴染みの作品かもしれません(僕も何度か観ています)。2000年に大阪市立美術館で開催された「フェルメールとその時代」以来、数回“来日”していますからね。



 この作品、ずっと真贋が争われてきましたが、最近になってアムステルダム国立美術館が真作のお墨付きを出したんだそうです。
 早速見てきましたが、何より美術館の仰々しさと違って、目の前で独り占めできるのは快感です。予想落札価格も思ったよりは高くなかったなぁ(なんて言ってみたかっただけです)

こんな日に裸は...

2014-06-15 | 旅・イベント
 昨日書いたように、この時期は通常とても季候がよく、それを当てにしたイベントが週末に集中します。これもそのひとつ。
 なのに、今日は気の毒なことに曇りがちで気温も下がって、しかも強い風。ちょっと彼らには可愛そうだったかな。



 Naked Bike Ride。以前よりプロテスト色が薄れて、むしろ参加者の開放感が目立ちますが、それはそれで見ている周りの皆に幸せな気分が伝わって来て良い感じです。
 日本でこれやると、参加者も見物人も気分が「爽やか」ってわけにはいかない気がしますが、さて?

喉元過ぎれば...

2014-06-13 | 日常
 日本からロンドンに旅行するなら、色んな意味で一番お得感のあるのが今じゃないでしょうかね。
 もちろんフライトの値段だけを考えると冬の方がずっと安いですが、その代わりに灰色の空と凍える寒さ、短い日照時間と来ていますから、観光できる時間を考えると割に合わない気も。

 それに比べてこの時期は、フライトも夏休み時期よりは安いでしょうし、午後9時を過ぎても明るいですし、日本のように湿度が高くないので爽やかです。時々記念撮影をしている新婚カップルを見かけますが、JUNE BRIDEというのは、やはりこちらにいてこそ実感できるものだと思います。



 まぁ何より日本で最悪の時期かもしれない梅雨から脱出できるというのが一番のメリットでしょうね。

 さて、先日までその日本にいたのですが、丁度梅雨に入る直前で連日30度台という異常な暑さでした。地下鉄などにエアコンのないロンドンだと、これは相当大変なことになるんですが、さすがに日本、どこもかしこもきちんとエアコンが効いていて……

 いや、逆に気になったのは、ちょっと効かせ過ぎじゃないのかな?
 確か震災後には随分控えめな運用で、しかしながらそれはそれでやっていけるものなんだと、妙に感心していたのですが。それに照明だとか広告だとかも、すっかり元に戻った感じですね。

 これが本当に経済が回復してきたおかげとするならば、もちろん喜ばしいことだとも思うのですが、単純に「喉元過ぎれば…」なら怖いですね。
 過去の教訓どこへやら、といった出来事が政治上でまかり通っているこの頃ですから、なおさらのこと。