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ロンドンから徒然に

キングス・ロードの週末散歩

2009-05-31 | 旅・イベント
 一昨日MRIの話なんて書いてしまったもので、皆さんに心配かけてしまいました。メールどうもありがとうございました。結局脳には(もともとの構造はともかく・笑)何も異常がないということで一安心です。
 普通そう診断されると精神的なストレスも取り除かれて元気になるはずなのですが、今日は週末という気のゆるみのせいか、朝からずっと身体がだるく、夕方4時くらいまでうちでだらだらと過ごしてしまいました。



 このままではかえって調子が悪くなると思い、近くのキングス・ロードを散歩することにしたのですが、この時間からでも今は非常に明るく、おまけに空には文字通り雲ひとつない快晴!時間の感覚が狂ってしまいそうです。
 折しもウェンブリーではFAカップの勝者を決める試合が行われており、競技場に行けなかったファンはパブのTVで応援し、中に入れない人は外からそれを見ています。(結果は2-1でチェルシーがエバートンに逆転勝ち)



 東西に長いキングス・ロードの中程、後期ヴィクトリアン朝様式の建物が見えてきます。ここはチェルシー・オールド・タウン・ホール。
 シティ・ホール、タウン・ホールと言えば、いわば市役所みたいなものなのですが、ケンジントン&チェルシーの実務はハイ・ストリート・ケンジントンにある新しい建物に移り、ここは名前に“オールド”と付いているのを見ても分かるように、今はイベント等への貸しホールとして機能しているようです。今日はアートの展覧会が行われていました。



 ところでこのKing ‘s Roadはその名の示すとおり、もともとは王様(チャールズ2世)の私的な道路だったらしいですが、何しろこれは17世紀のことで、僕の印象に強く残っているのはパンク・ファッションに身を包んだ若者が闊歩していた時代です。
 今はその面影もなく、むしろ落ち着いた普通のファッション街に変わっていますが、この1年のうちにも不景気の影響で空き家が目立つようになりました。
 さて、10年後はどんな姿になっているのでしょう。

ウォータールー駅

2009-05-30 | 旅・イベント
 駅に貼られたポスターや、バスのボディに描かれた広告とかを見ていると、いったいいつの話なんだと思うほど昔の映画やミュージカルの紹介をしているものを見かけます。きっと次のスポンサーが入るまではそのままにしているんでしょう。
 今まで見た中で最高に長かったのは某駅で見かけたキャッツのポスターで(2008年12月2日のブログ参照)、これは6年間以上に渡って残っていましたが、今年の春その通路に工事が入ってとうとう無くなりました。



 こんな街ですから、ウォータールー駅の自動音声案内にInternational Stationとあっても不思議ではありませんが、ここは“国際駅”としての役割は既に2007年11月13日を以て終えています。この日、ユーロスターのイギリス側の駅がセント・パンクラスに移転したからです。
 昔この駅にはパリに行く時に何度か来ましたが、400mにも渡るアーチ状の天蓋が非常に綺麗でした。昨日久々に訪ねてみたのですが、当然の話、旧国際駅側の改札口は無くなり天蓋も工事中の様子でした。
 ウォータールーは、2~3年前までイギリスで一番旅客数の多い駅でしたが、おそらく今はそれもどこかに抜かれているのでしょうね。



 ところで、大ヒットした映画『ボーン・アルティメイタム』の冒頭近く、主人公のジェイソン・ボーンがパリからユーロスターでやってきて、この駅でザ・ガーディアンの記者と接触しようとするシーンがあります。
 シリーズの中でもよく出来ていた映画の、さらにその中でもスリルに富んだ秀逸のシーンだと思うのですが、この駅の中にたくさん備え付けられたCCTVを(イギリスのMI5でなく)アメリカのCIAが本土にいながらコンピュータで制御するという設定が印象的でした。



 ロンドンには本当に街の至る所にCCTVが設置されていて、何か犯罪があると後からその現場がニュースで映し出されたりします。犯罪の抑止にはいいのでしょうが、全て行動を監視されているとすると、何だかちょっと不気味な気も。
 まさか今この姿をアメリカから見られているなんてことはないですよね(笑)

閉所恐怖症

2009-05-29 | 日常
 さすが地元というべきか、TVで時々ヒッチコックの映画の特集があります。予告のためのフィルムを見ているだけでも、あの独自のサスペンス感が伝わってきます。子供の頃は恐かったなぁ。
 ところで、子供の頃よりむしろ今観た方が恐いんじゃないかと思うのが、『めまい』。高所恐怖症の気持ちはよく分かります。今でも間が透けて見える階段を昇るとか、吹き抜けのエスカレータを上るなんてのは大嫌いです。 

 それだけならいいのですが、僕は狭くて閉じ込められる場所も苦手なのです。飛行機の奥の席やらツードアの車(今は少なくなりましたが)の後部座席やら、あぁもう考えるだけでも恐くなる。

 それなのに、それなのに......
 ちょっと事故に遭って打った頭の痛みが止まらなくて、念のためMRIを受けることになったのです。

 MRIと言っても分からない人もいるかもしれません。CTスキャンがX線でやるのに対して、磁気を使って身体を輪切りにした画像をこまかく取り出します。これで脳を見てしまおうということなのですが、そのために頭をがっちりと固められ、ドーム上の機械の中に頭から突っ込んで、中で横たわるのです。

 検査の前に色々と訊かれます。これまでに...な病気はしたことがあるか、...な手術を受けたことはないか、身体の中に...は入っていないか、etc. etc.  その中に閉所恐怖症ではないか、という質問がありました。
 これを聞いた時に、多分身体の方が無意識にやばいと判断したんでしょうね。口では大丈夫と答えたものの、もう身体の方が勝手に警戒態勢に入ってしまいました。

 思った通り、ドームの中に頭が入った時から一種のパニック状態。心臓はバクバクと波打つし、冷や汗が出そうになるし、よほどボタンを押して操作を中止してもらおうかと思ったのですが、目を閉じて呼吸を整えて何とか持ちこたえました。

 ...... 困ったなぁ、こんな話題で選べる写真なんてないぞ。暗いトンネルに入るようなイメージで、夜の公園の写真でも載せておきます。こんな風ならまだ楽しめたんですけどね。


バッキンガム宮殿のお粗末な警備

2009-05-28 | 日常
 打合せでVictoria駅に近いホテルを訪ねました。その最上階からバッキンガム宮殿が見えます。
 出入りする車を見ながら、一体どんな人達がこの中に入って行くんだろうなんて想像します。何しろここの警備は厳しくて、ロイヤル・ファミリー、それもチャールズ皇太子までもが写真付きのIDを求められると聞いていたからです。
 ところが、その警備の厳しさの看板を降ろさなければならないような出来事が先日起きました。



 The News of the Worldという、日曜日発行のタブロイド紙があります。メディア王ルパート・マードックのロンドンにおける新聞買収のきっかけになった新聞としても知られますが、タブロイド紙の例に漏れず、刺激的な犯罪や性的な記事、有名人のゴシップに溢れており、また取材方法等にも問題があって、裁判沙汰になるケースも多いと聞いています。

 そのThe News of the Worldが、中東の裕福な実業家になりすました記者2人を宮殿内に送り込んだのです。
 彼らの取った方法というのが、宮殿近くに住む女性のつてで女王のお抱え運転手に接触し、彼に1,000ポンド(約15万円)渡すことで、中に入らせてもらう、というものだったのです。

 その際駐車場にノー・チェックで通され、パレードの際に使う馬車等を見て、その上女王の乗るベントレーの後部座席に座らせてもらっているのです。ちなみにこの時隠しカメラで撮られた映像はTVのニュースでも流されました。
 自分たちがもしテロリストだったら十分に爆弾を仕掛けることができた、という記者の言に頷かざるをえないようなお粗末な警備に驚きました。TVのニュースもこのことを強調して、過去の同様な例も掘り起こしてきて非難していました。

 でも、僕がもっと腹立たしかったのは、この運転手です。というのも、その少し前には同じバッキンガム宮殿内で働く若い女性の仕事(来賓のテーブルのセッティングでした)がTVで紹介され、彼女の仕事に対する誇りみたいなものが清々しく感じられたからです。
 ですからなおさらのこと、こないだから書いている政治家といい、この運転手といい、自分の仕事にもっと誇りをもてないものかと憤りを感じた次第です。

 今日も観光客の前で直立不動のあの衛兵達はどう感じているんでしょう?

シティの真ん中で

2009-05-27 | 日常
 昔ロンドンで1年半過ごした時、1度も医者に行かずに済みました。いや、病気をしなかったというわけではなく、一度なんか高熱でうなされて2日間寝たきりなんてこともあったのですが、そうなったらそうなったで医者まで出かける元気がなく、逆にちょっとくらいの調子の悪さなら薬ももらわずに自分で治したので、結局行く機会がなかったというだけです。

 なのに、今年になって既に3度目の診療所。いや、一度は健康診断のためだったのですが、あとは2回ともちょっとした事故で身体を痛めた次第。
 日系の診療所だからか、受付が終わると院内ではマスクをかけるようにと渡されました。忘れかけていた新型インフルでしたが、まだまだ影響はこんなところにもあります。



 その診療所はいわゆる“シティ”にあります。言わずと知れた金融の中心地です。ロンドンの起源となる地域でもあり、古い立派な建物が残り、その威厳ある感じはちょっと圧倒的でもあります。
 上の写真はある意味象徴的な場所かもしれません。イングランド銀行(左)があり、王立取引所(右)があり、真ん中にはロンドン証券取引所(青いビル)があります。

 ちょっと分かりにくいですが、そのロンドン証券取引所の後ろに見える黒い建物はもともとナショナル・ウエストミンスター銀行のために建設され(そのため“ナットウエスト・タワー”と呼ばれていました)、1980年代にはイギリスで一番の高さを誇っていました。今は“タワー42”と呼ばれ(42階建てだからだと思います)、5位の座に甘んじていますが、それでもシティでは一番高い建物です。

 銀行がここを手放す理由になったひとつは、建築様式のせいで広い空間が取れず、商取引にそぐわなくなってきたということが挙げられますが、直接の引き金になったのは、1993年のIRAのトラック爆弾によるテロでしょう。
 この被害による建物の補修の後、もう銀行がこの建物を所有することはなくなりました。
 
 あの頃IRAの標的だった銀行も、今はこの不景気でいまいち元気がなく、その悪環境をもたらす発端となった経済面の不祥事で今度は庶民の怒りの対象になっています。

豪邸

2009-05-26 | 日常
 昨晩は友人宅のバーベキュー・パーティに招かれました。このお宅は非常に素敵なご夫婦で、当然その友人達も気持ちの良い人達ばかりなので、ほのぼのとした時間でした。
 このところ天気もよく、気温も比較的高めなので、絶好の屋外イベント日和です。
 ということで、両隣の庭からも同じように集いの歓声が聞こえてきます。でも、それぞれに喋り方も違えば、かける音楽も異なります。場合によってはうるさく感じることもあるだろうなと思っていたら、案の定片方の側のおうちにはけっこう悩まされているようです。これは別に東京でも同じことですが、隣と壁続きになっている仕組みの多いロンドンでは特別起きうることだと思います。

 でも、昨日書いたプリムローズ・ヒルの周辺の豪邸なんかは、きっとそんな悩みからは無縁なんでしょうね。
 門の向こう側に聳える一戸建ての豪奢な建物を見ると、あまりに現実味がなさ過ぎて映画のセットのようにさえ思えますが、いったい幾つ部屋があるんだろう、なんて好奇心が湧いてきます。
 こんな住宅がずっと同じ側に並んでいるのですから見応えはあります。住民の名前の中にはよく知られた俳優や歌手やモデルの名前も挙げられます。
 そうか、みんな成り上がりなんだ、なんて考えるのは嫉妬に他なりません(笑)





 そう言えば、先日このブログでも書いた手当の不正請求に絡んで、自分たちのやったことは棚に上げて、一連の騒ぎは“選挙民の嫉妬だ”と開き直って物議を醸した政治家がいましたが、まず次の選挙では当選しないでしょう。
 そんな彼らの自宅のこれまた立派なこと!SirだとかDameだとか称号の付く、世間的にも認められ、かつ金持ちの身で、どうしてこんな“せこい”請求をしたりできるんでしょうか。そんな金で建てた家になんか嫉妬はしませんよね。

フール・オン・ザ・(プリムローズ・)ヒル

2009-05-25 | 旅・イベント
 このところ良い天気が続いています。昨日はなんと今年に入ってから一番暑かった日だそうです。と言っても23度なので、日本から見たら拍子抜けするかもしれませんが。
 それでも月曜日がバンク・ホリデーで休日とあって、多くの人がリゾート地に繰り出したみたいです。
 で、僕はどうしていたかというとプリムローズ・ヒルにいました。

 昔、ヒュー・グラント主演の『ウェールズの山』という映画がありました。これ原題はちょっと長くて『The Englishman who went up a hill but came down a mountain』と言います。“丘を登ったのに山を下りてきたイギリス人”ということになりますが、一体何のこと?って思いますよね。
 ウェールズの“山”が実際には、山であるために6m足りない299mしかなくて、村人達が自分たちの自慢の“山”を守ろうと企てるコメディーでした。

 ロンドンの中心部に山はありません(多分)。それどころか、少し高い土地を探すのも大変です。
 その意味で、プリムローズ・ヒルは貴重です。リージェンツ・パークに隣接し、割と気軽にアクセスできる位置にあるので、昨日みたいに天気の良い日に出かけるには最適です。



 78mの小高い丘の上に立つと、BTタワーやロンドン・アイなどのランドマークが見えます。皆この景色の中で思い思いに過ごしています。
 貧乏性なので、普段からあまりじっとしていることがない性格ですが、これだけ天気の良い日だと、ここでぼーっと寝っ転がっていたくなります。

 そう言えば、ポール・マッカートニーの名曲『フール・オン・ザヒル』は、ここを散歩していた時に得た着想をもとに書かれたと言われています。
 確かにその気分が分かるようなのどかな風景です。

チェルシー・フラワー・ショー

2009-05-24 | 日常
 昨日書いたロイヤル・ホスピタル近辺の人口密度が、この5日間いきなり上がりました。
 というのも、チェルシー・フラワー・ショーが開催されたからです。この手の展示会としては世界的に最も有名なもので、ガーデニングやフラワー・アレンジメントに関するその年の流行を読み取れると言われています。まぁ、ファッション・ショーのフラワー版みたいなものですね。

 そのため世界中から業界の関係者が集うのですが(会期の最初の2日間はメンバーのみに当てられています)、地元ロンドンの夏の到来を告げる風物詩として一般の人達にも大人気で、毎年このイベントを心待ちにしている人達も多く、157,000枚用意されるチケットはすぐにソールド・アウトになります。
 プレビューには皇室も出席し、各界のセレブ達も現れます。ショーの様子はBBCが取材権を独占し、会期中TV放映されます。それほどの国民的行事として認識されているようです。

 まずは写真からご覧下さい….
 となると、ガーデンから始めるべきなんでしょうが、実はあまりの人混みでなかなか前の方に出られませんでした。解説もしないと分かりにくいかもしれないし、ここはパッと見ただけで華やかさを楽しめる花の写真だけにしておきます。よく見てもらうと、野菜が混ざっているのも分かると思います。





 そうだ、こんなものもありました。全部サボテンなのですが、まるでデザートみたいに見えません?



 とにかくイギリス人の花好き、ガーデニング好きを再認識する一日でした。みんなすごく熱心で顔が輝いています。
 ブーツが花柄なら、アクセサリーも当然花のモチーフ。写真を撮らせてとお願いすると、快く応じてくれるだけでなく「これで私たちも有名になるわね」と必ずひとつは冗談を言うのもイギリス人ならでは。



 帰りの道の洋服店、いつもは黒い渋目のタキシードばかりをショー・ウィンドウに並べているのに、今日に限ってはこちらも花柄だらけでした。


退役軍人

2009-05-23 | 日常
 ロンドンに初めて来た頃、バスに乗って Royal Hospitalという案内を聞きながら、その大きな由緒ありそうな建物を見た時、これは病院だと思って疑いませんでした。
 ところが近くを歩くと、赤い服を着て帽子を被ったお年寄りがちらほら見えます。従業員だとしてもどうも病院の制服というイメージからはちぐはぐで、看板を読んでみると、HOME OF THE CHELSEA PENSIONERSと書いてあります。調べてみてやっとここが退役軍人施設だということが分かりました。



 ここはチェルシー・フラワー・ショーが行われる場所としても有名で、今日もたくさんの人で賑わう会場入り口のそばで、募金集めに精を出す彼らの姿を見かけました。



 ところで彼らと同様にイギリスのために働いたグルカ兵のことはご存じでしょうか?
 ネパール山岳民族出身者で構成される戦闘集団で、勇猛果敢なことで知られます。小さな頃から才能を認められた者だけが専門の教育を受けて登用されるということで、ある意味エリート集団とも言えます。
 歴史を辿れば、英国軍に組み込まれたのは19世紀とのことなのですが、その拠点は香港にありました。

 その香港が中国に返還された1997年というのがグルカ兵の退役の扱いの分かれ道になりました。従来英国政府は、返還前に退役したグルカ兵について永住権を認めなかったのです。
 その不平等を正すように訴えた裁判でも彼らの優位には事が運ばずにいたのですが、先日全員に永住権を認めるべきだという野党動議が可決され、とうとう政府もこれを呑まざるをえなくなってきました。いや、裏を返せば、昨日書いた議員手当の不正等で支持率がまた低下した政府の人気取りとも言えるのですが。

 ともあれ、この対象となる36,000人の元グルカ兵とその妻、子供(同居している18歳以下に限られますが)に永住権が認められることになりました。
 その費用は3億ポンド(約450億円)とも4億ポンド(約600億円)とも言われていますが、なぁに議員の不正請求に取られるくらいなら、こちらへ税金が行ってもらった方が。

英国議会よ、お前もか!

2009-05-22 | 日常
 ロンドンは世界でも一番観光客の多い都市だと言われます。そのロンドンで一番観光客が訪れるのはどこだろう、と時々考えます。バッキンガム宮殿?ピカデリー・サーカス?......
 おそらくここも間違いなく上位に入るでしょう。ビッグ・ベンが象徴する国会議事堂。昼も夜もその美しさは格別です。

 もちろん一般の人が気楽に入れるわけではないのですが、夏休みの休会中には予約してツアーに参加することができます。昨年そうやって内部に入ることができました。TVの国会中継で見慣れた風景も、実際に接してみると驚くほど狭い空間で、与野党が議論を戦わす場としての迫力がありました。
 またその歴史ある建物の美しさ!こうした威厳のある空間で行われる政治の在り方に、日本も見倣ってほしいものだと思いました。その時は......



 しかし、今その国会に暗雲が立ち込めています。
 発端になったのはこの3月末、女性初の内務大臣であるジャッキー・スミスの夫が見たアダルト・ビデオの料金が、公費で支払われていたことが公になってからです。
 これを暴露したのがサンデー・エクスプレス。この時はこの後これほど大きなスキャンダルの嵐になるとは思っていませんでした。

 ところがその後、不当に経費を請求していた議員が次々と明らかにされ、出るわ出るわでとうとう130人を超える人数になってしまいました。
 殆どが議員に認められている『セカンド・ハウス』に関する不正な請求で、表現は悪いですがアダルト・ビデオ料金の請求なんて、今から考えたらたいしたことに思えないくらい悪質なものが目立ちます。

 夫婦で議員になってそれぞれにセカンド・ハウスの手当を請求していたり、実際には存在しない場所を自分の本宅として登録して自宅をセカンドハウスとして手当を請求していたり、既に支払い終えたはずの住宅ローンを続けて250万円近くも余分に請求したり、セカンド・ハウスを売ってしまって利益を懐に入れたり...

 それだけではありません。任期2ヶ月前に豪華な本棚を買ったり、100万円以上もするTVのセットを購入したり、i-Podの費用まで請求したり、ガーデニングの費用、テニスコートの修繕費用、家の掃除代、ペットの餌代なんてのもあります。

 これってはっきり言って犯罪ですよね。明らかに詐欺罪に当たると思います。この騒ぎで下院議長が辞任するという歴史的にも異例なことが起きましたが、それでもその他の議員の処分は各政党に任せられるといいます。
 こういったことを“議会の独立と自主性”の名のもとに密室で行っていたという事実に呆れてしまいます。

 というより、何より日本が手本にすべきだと思っていたイギリスの国会が、実はこんな中身だったんだと失望させた罪は大きいと思います。
 ちゃんと税金を払っている身としては、大声で叫びたいです。金返せっ!