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ロンドンから徒然に

作品の中に身を置く

2014-03-25 | アート
 かつて日本の住居を指してウサギ小屋だとか揶揄した時期がありましたが(今もそうなのかな?)、実はイギリスの住居もそんなに広くはないです。いや、ヨーロッパでは最も狭いと言われているくらいで、何でもスウェーデンでは平均してイギリスの1.8倍は広い家に住んでいるんだそうです。
 その上、他のヨーロッパでは家の「面積」を重要視するのに対して、イギリスでは「部屋数」にこだわるんだとか。そのせいもあって一部屋単位が狭くなるのかもしれません。イギリスでは古い家も多くて、なかなか改造も難しいでしょうしね。

 日本だと時々狭い土地を本当にうまく工夫して広空間を生み出している例を見ますよね。その上、外観も美しく出来ている。建築家というのは本当に凄いなと感心することがあります。
 その能力を純粋にアートとして見せてみたら面白いのにと思っていたら、そんな美術展が実際に開催されています。




 Royal Academyでの「Sensing Spaces」。「Architecture Reimagined」とのサブタイトルが付けられています。
 いつもなら100点以上もの絵画が展示されるスペースに“作品”数はたった7点だけ。贅沢な空間です。何しろ建築物ですから実際にその空間に身を置くこともでき、中には自分がその作品を追加していくことができるものもあって(いやストローを刺していくだけなんですが)なかなか面白い。
 思わぬ“副産物”は室内の景色。8mもの高さに登ったり、いつもと違う外光で眺めると、今度はRoyal Academyの建物自体がひとつの作品に思えてきます。

 しゃちほこばらない楽しい展覧会。子供連れでも楽しめますよ。

インターナショナル

2014-03-18 | 音楽
 世界の檜舞台で活躍するというのは、どんなジャンルにおいてもとてつもなく凄いことに感じられますが、考えてみたらスポーツの世界を筆頭に頑張っている日本人は多いですね。

 音楽の世界でも、クラシック界ではたくさんの名前が挙がりますし(小澤征爾、内田光子、五嶋みどり、etc.)、ポピュラーのジャンルでも教授とかコーネリアスとか知名度の高い人達はたくさんいます。
 ただ、こういう方達は全てインストゥルメンタルですよね。ロックにしろポップスにしろ、歌もので外国人観客を呼べるミュージシャンというのはあまり聞きません。

 例外がアニメ関連、そしてビジュアル系の人達。日本ではそれほどメジャーではないと思うのに、熱狂的なファンをたくさん集めている例をよく見かけました。
 ただ、僕はあまりこういうジャンルに興味はなかったので、関連イベントなどを除いてはじっくりとライブを見る機会もなかったんです。

 で、最初はMiyaviのこともいわゆる“ビジュアル系”の人だと思っていました。それがロンドンに来てから、そういう一般的な括り方の出来ないスリリングな映像を見て、俄然興味を持ちました。
 そして2011年(震災の年)彼のロンドンでのライブに触れる機会がありました。エレアコ1本とドラムだけの潔い編成なのに、その独自の演奏スタイルと共に、エフェクターやループ・マシンもうまく駆使して、見事に“ロック”でした。

 それから丁度3年経った先週末、スケールもより大きく再びのロンドンライブ。今度はShepherd’s Bush Empire。この会場、昨年末には葉加瀬太郎さんと布袋寅泰さんが続けてライブを行ったのですが、彼らは日本人への知名度の高さが逆に災いしてか8割以上は日本人観客で占められていたのに対して、Miyaviは驚いたことにその殆どが外国人。しかも若いんですよ。



 それに彼は英語が上手い!MCなんか凄くナチュラルで、何と言うか学習でライブ用に用意された英語でなく、日常で英語使いをしている人の会話ですね。
 歌も英語の歌詞が多いんですが、たまにある日本語詩の歌に唱和している外国人が多いのにこれまたビックリ!さっきも書いたように周りには全然日本人がいないのに。既にこんなにイギリスで受け入れられているんだと改めてびっくり!

 驚きと言えばもうひとつ、そのスケジュールのタイトさ!
 ツアーの初日がパリで、翌日がこのロンドン公演。その夜の午前3時にはホテルを出てヘルシンキに移動、そこで公演後、翌日はコペンハーゲン(これで4日連続公演)。今度はロシアに移動後モスクワなど各地で3日連続……もう何と言っていいやら。

 それに日本人ミュージシャンの“ワールド”ツアーと言っても、NY、ロンドン、ケルン(ここはデュッセルドルフから電車ですぐ)など在留邦人が多いところのみで済ますことが多いのに、彼の場合そんな思惑とは全然関係ない動きをしていますしね。

 実はこの日僕は大失態。ライブの開始に遅刻したんです。慌てて駆け込むとステージの上にはいつもの見慣れた長髪とは全然違う髪型のMiyaviの姿が。
 アンジェリーナ・ジョリーが制作するハリウッド映画に主演級での出演が決まっていて(アメリカ人捕虜を虐待する日本人兵士役らしいですが)、その撮影が進んでいたところだから、そのために髪を切ったのかな?この映画の話もまたすごいことですよね。
 もしかしたら今インターナショナルなスターに一番近いミュージシャンは彼なのかもしれない。

異様な住宅の値上がり

2014-03-13 | 日常
 日本と対象的に異様に暖かいロンドンではこの冬はとうとう一度も雪を見ないまま。何年か前には4月になってからドカ雪なんて現象がありましたが、まさか今年はね。
 このところ天気予報を見てもずっとロンドンの方が東京よりも気温が高く、先週末はあちこちで桜が咲き始めて(あ、肝心の桜の写真を撮り忘れた)、公園で日光浴する人も多くは半袖姿でした。



 桜と言うと入学シーズンのイメージが強いですが、こちらはご存じのように9月入学なので、そんな気持ちは抱かないのかな?でも、やっぱり春の方が何かがスタートするという感じは強くしますよね。

 近くにあったビルが取り壊され、大がかりな工事が始まっています。何が出来るのかと思いきや高級学生マンションらしいです。イギリスは世界各国からたくさんの学生が留学に来ているので、確かにそういうのに特化しても需要はあるんでしょうが、それにしても(計画図で見る限りは)こんな立派な部屋に学生が住むなんて、やっぱり時代が変わったのか、それともロンドンというのが特殊な地域なのか?

 そう言えば海外の金持ちの子息なんかは信じられないくらい立派なアパートメントに住んでいるという話を聞きます。その親たちが家を買うことを投資と見なしていて、物件が出ると実物を見ずにその郵便番号(それだけでかなり細かく地域は分かります)で判断して買ってしまうというから恐ろしい!ここに自分達の子供を在学中に住まわせ、卒業時したら時期を見て転売するんだそうです。

 まぁそのせいだけでもないんですが、今ロンドンの住宅価格は尋常じゃない値上がりが続いています。
 僕の周りでもけっこうたくさんの人が家を買おうと必死で(だって彼らにしてみれば、待てば待つほど値が上がる状況なわけですから)毎週末に下見に行くのですが、競争率が高くて、躊躇していると1,2日で売れてしまうんだそうです!

 それにしても日本人の感覚としては、築100年(!)にもなろうかという古い2ベッドルームのアパートメント(これ僕が以前借りていた部屋ですが、売りに出すというので出なければならなくなって)が日本円にして2億円近い値段で売りに出されるということ自体が既におかしいと思うのですが。
 待てよ、この感覚どうも覚えがあるような……日本のバブルがはじける前にこんな時期がありましたよね。どうかかつての日本と同じ轍を踏みませんように。