HOBNOBlog

ロンドンから徒然に

日本の選挙結果報道

2009-08-31 | 日常
 TVは普通ニュース・チャンネルを点けています。気のせいかもしれませんが、土・日はどうも“手抜き”の感じが強く、あまり突っ込んだニュースがなかったり、同じ映像を何度も何度も流したりすることが多いような気がします。この月曜日はバンク・ホリデーで休日なので、これが続くのかもしれません。

 だからというわけではなく(多分)、これはやはりイギリスにしても大きなニュースに違いありません。今日はずっと日本の選挙結果についての報道が続いています。
 歓喜に湧く民主党本部の様子や、緊張がうかがえながらも誇らしげな鳩山さんの顔、対象的にうつむき加減で歩く麻生さんの姿、街頭でのインタビューから、地下道にいるホームレスの人達まで取材しています。



 イギリスも他人事ではないのです。日本とは違ってバランスよく二大政党が政権を交代しながらの歴史ですが、このところ比較的長く続いた現在与党の労働党の支持率はずっと落ちたままで、近いうちに総選挙が控えています。同じような議会制であり、経済の悩みを抱えた日本の結果は気になることでしょう。

 さて、自民党と民主党。英語に訳せばLiberal & Democraticと Democratic。名前がすごく似ている上に、両方ともどちらかと言えば保守党Conservativeなわけで、名前だけで報道すると、どうしてこれが対立する二大政党になるのか分からないんじゃないか、なんて考えてしまいます。

 離れた地から選挙を見ていると、要するに自民党に対しては“不満”、民主党に対しては“不安”というキーワードが上手く言い当てていたように思えます。
 それでも国民が選んだのは、多少の不安よりも変化だったわけです。一昨日書いたサントリー創業者の“やってみなはれ”じゃないですが、民主党もせっかく政権を取ったわけですから、多少の失敗をおそれずに、本当に国民のためになると思うことをがんがん実行して欲しいものだと思います。

 我々も小さな失敗に対する寛容と、大きな失敗に対する批判の目を持って、大成功へ導く努力を一緒にやらなければいけないんだろうと思います。
 その上でやはりダメな政府だと判断すれば、自分たちに変える力があることは、今回の選挙で十分実証できたわけです。

 さて、今日という日を振り返った時に、日本の良い転機点だったと思えるようになればいいのですが。

ヴィクトリア朝の水道管

2009-08-30 | 日常
 東京では新宿のホテルに泊まっていました。高層ビル群は太陽の動きでも様相を変えて見え、それらに見下ろされていると、時々現実感が希薄になり、まるでSF映画の中にとりこまれたような気がすることがありました。



 ロンドンに戻ってホッとする気がするのは、落ち着いた色の、あまり背丈もない古い建物の中で暮らせるからかなとも思っています。
 もちろん古いなりに不便なことも多々ありますが、このあたりのことはこれまで何度も書いてきたので、今日はやめておきます。

 ところで古いのはなにも建物だけではなく、こんなところにもありました。
 この頃あちこちでやけに車が渋滞しているのですが、その理由は道路工事。なにやら水道管の取り替えみたいです。説明を読むと“ヴィクトリア朝時代の水道管を取り替えています”



 ヴィクトリア朝って1837年から1901年なわけですから、日本で言うと天保から明治にかけてってところでしょうか。その頃の水道管かぁ、そう言えば時々水道管が破裂して道路が水浸しになっているのを見るわけだ。

 同じく古い地下鉄の線路の取り替え工事と合わせて、しばらくは交通の不便を我慢しなければいけないみたいです。

山崎蒸留所の見学

2009-08-29 | 旅・イベント
 23日のブログに「続きはまた後日」と書いておきながら、(大山崎山荘のことは書いたのに)山崎蒸留所のことが書かれていないとの指摘があったので、約束通りその続きを。

 と言っても、僕はウイスキーに詳しいわけでもなく、以前からこの蒸留所の佇まいが気になっていたので内部を覗いてみたいくらいの軽い気持ちだったので、そんなに熱心に話を聞いたわけではありません(ガイドさん、ごめんね)。目で見て印象に残ったことのいくつかを。



 まずは特注で作られるという巨大な蒸留釜。形が微妙に異なる釜が多様な原酒を造り出すわけです。そしてその原酒を熟成させるオークで造られた樽。その熟成の有り様は当然同じわけでなく、ひとつひとつが異なる味わいに育ちます。
 もちろん商売としては、同じ銘柄は同じ安定した味を持たなければならず、これら無数の樽をブレンドして理想の味を造り出すわけです。これを行うブレンダーの鼻や舌の繊細さにはただただ感心します。



 長年寝かされた樽の中の酒は、熟成の段階でアルコールや水分が蒸発し、最終的な製造量が目減りします。この無くなった分量を、空に上がるイメージからか『天使の取り分』と呼ぶのはご存じの通りです。
 年齢を重ねる毎に失うものも多いけれど、こうして人間として熟成していっているんだと信じたいものですね(笑)



 ガイドツアーの最後には試飲です。ひたすらこれを待っていた参加者も多かったようで(笑)顔がほころんでいました。
 当然ながら水の配分も上手で、イギリスのウイスキーに比べても繊細な感じのする日本製のウイスキーの微妙な味加減を引き出していました。

 さて、見学とは直接関係ないながら、僕がかねてから感じ入っていたのは創業者の次の言葉「やってみなはれ」
 これって単純に英語に訳すならTry it .だと思うのですが、もしこれが「やりなはれ」だったらDo it ! そうすると何だか重たすぎる言葉に感じません?
 決して前者が軽い意味というわけではないのですが、僕みたいなプランナーの立場からすると、色んな思いつきをすぐに実行に移せそうな前者の言葉はすごく有り難く感じます。

 そんなサントリーが取り組もうとしているキリンビールとの合併話。こういったトライアルの社風が失われなければいいがと、他人事ながら気になります。

mi-gu のライヴ

2009-08-28 | 音楽
 いつも一時帰国の度に友人たちと会いたいと思いながら、スケジュールが合わずに叶わないことが多く、残念に思っています。今回も約束までしながら、仕事の予定に変更があって中止にしてしまった人もいて、本当に申し訳なく思っています。次回は必ず!

 そんな中で、普段は忙しいのに何とかお互いの予定が合って昼間から夜まで付き合えたふたりがいます。ギタリストのShimmyこと清水ひろたかくんとドラムのあらきゆうこさん夫婦。それぞれ自分のプロジェクトを抱える上に、コーネリアスのメンバーとして世界中を駆け回っているふたりです。今年の夏はYoko Ono Plastic Ono Bandのメンバーとして、ヨーコさんやショーン(レノン)と一緒にロンドンでもライヴを行いました。(11月には東京と大阪でも行われます)

 このふたり本当にピュアな性格で、もう音楽が好きで好きでたまらない様子が伝わってきて、そばで見ていても微笑ましく感じます。
 その腕前のほどは既に世界で通用していることから言うまでもないのですが、何より音楽に対する愛情と情熱が、彼らの音楽を豊かにしてくれているのだと思います。

 当日はシミーに僕のギターを次から次に弾いてもらいました。彼の繊細な指から紡ぎ出される音は非常に低音と高音のバランスが良く、ギターの魅力が十分に引き出されて、僕も嬉しかったです。
 以前あった電子ドラムを解体してしまっていたので、ゆうこさんにドラムを叩いてはもらえなかったけれど、彼女のドラムは本当に凄いんです!あの小さな身体からどうしてこんなに凄まじく力強い音が出るんだろうと驚きます。しかも完璧なリズム・キープ。それもひとりよがりでなく、きちんと主役のヴォーカルを立てる機敏さを持ちます。



 前述のコーネリアスを始め、スガ シカオ、くるり、清春、salyuなど多数のミュージシャンとのレコーディングやライヴに参加している彼女ですが、主役としてヴォーカルまで務めるソロ・プロジェクトがmi-guです。彼女の音楽的感性がより反映される場と言えます。この5月にはサード・アルバム“pulling from above”も発売されています。

 さて、そのmi-guのライヴが東京で行われます。概要は以下の通り。皆さんよろしかったら行ってみて下さい。
 タイトル:mi-gu night 2009 ~pulling from above~
 会場:代官山UNIT
 時間:18:30開場 / 19時開演
 
 詳しくはこちらを。
http://www.unit-tokyo.com/schedule/2009/09/08/090908_migu_night.php

 あらきゆうこのHPはこちら。
http://www.office-augusta.com/araki/


ロンドンに戻ってきました

2009-08-27 | 旅・イベント
 普通の人に比べたら相当頻度高くあちこち旅行しているので、パッキングなんてお手の物と思われているみたいなんですが、実は僕これが苦手なんです。昨晩もホテルで仕事の仕上げをした後にバッグを前に四苦八苦。午前5時起きにもかかわらず、眠りにつけたのが3時。結局2時間の睡眠のままロンドンへの帰路につきました。



 それなのに、また機内で映画を見かけるとダメでついつい4本。まだ精神がハイなままで(あ、決してドラッグには手を出していません・笑)深夜の今も何とか乗り切っていますが、もうそろそろ身体が悲鳴を上げてきています。

 日本への一時帰国以来まともなブログになっていませんが、今日も簡単に切り上げます。明日からはペースを取り戻したいと思っていますので、またよろしくお願いします。
 今日もたくさんのメールありがとうございました。

日本最終日

2009-08-26 | 日常
 昨日大山崎山荘のことを書いたもので、まだ京都でのんびりしていると思われた方もいるみたいですが、いえいえ、あの半日はもう土曜日の話です。その日の夜には東京に戻り、今日が日本での最終日でした。
 朝から慌ただしく飛び回り、最後の仕事であるロンドンに持ち帰りの原稿をもらったのが夜。さっきホテルに戻ってきたら、いつものようにメールの嵐です。
 
 ロンドンで書いている時も、時間的にはほんの少しで済ませているものの、何だか気持ちの余裕が違って、日本滞在中は落ち着いてこのブログに取り組むことができませんでした。
 それにもかかわらず、コメントやたくさんのメールありがとうございました。つい体調の悪さを書いてしまって心配させてしまいました。いつも短期間の滞在はこんな風に短い睡眠時間で過ごしているので、普段だったらどうもないのですが、やはり気候のあまりの違いに身体が慣れなかったみたいです。

 さて、明日は早い便でロンドンに戻ります。(あぁ、また寝られそうにない・笑)また遠くから日常を綴ります。皆さんもお元気で。

大山崎山荘でホッと一息

2009-08-25 | アート
 フランスの田舎町などを訪ねると、アクセスを考えたら不便な山間に、まるで隠れ家のように佇む小さな美術館があったりします。
 美術史的に大作ではなくても、その周囲の環境や建物の雰囲気と相俟って、作品にもつい運命的な出会いを感じるようなことさえあります。
 仰々しく大きな美術館に収まるのではなく、こうして色んな要素がミックスして伝わってくるものも間違いなく“文化”のひとつの形でしょう。

 木津川、宇治川、桂川が淀川に合流する場所という恵まれた立地の大山崎山荘は、その意味で環境は申し分なく、チューダー様式を参考にしたという三階建ての建築物は、当時の“モダン”な面影を今も残し、風流なことこの上ありません。

 自ら建物を設計した加賀正太郎なる人物、ヨーロッパ留学後、証券会社を立ち上げたりニッカウヰスキーの創立に関わったりといった一方で、アルプスに登頂したり洋蘭の品種改良を進めたり、と異彩な文化人だったようで、彼のこだわりが建物の細部に見られます。

 そんな立派なお屋敷も年々老朽化が進み、一時は会員制レストランになるなどしたこともありましたが、建設業者に買い取られた際には周囲を含めて更地化してマンションを建設するという話が持ち上がりました。
 しかし、地元の人の保存運動が身を結び、美術館として再出発することになったのです。

 その際、安藤忠雄の設計による新館も加えられ、美術館としての体裁が整いました。こちらは旧館の美観を損なうことなく地下を中心に作られ、“地中の宝石箱”と呼ばれています。
 そこに展示されるモネの“睡蓮”を意識してか、庭園の池には睡蓮が浮かび花も咲いていました。




 作品の中核は、アサヒビールの創業者である山本為三郎のコレクションで、バーナード・リーチや河井寛次郎などの作品が並べられます。しかし絵画の方も先ほど書いたモネの睡蓮が何作品かある他、僕の好きなルドンもありましたが、なんと言ってもここのアイドル(?)的な存在はモディリアーニの“少女”のようで、作品紹介の際にもトップで扱われていました。

 他にも印象的だったのは旧式のディスク・オルゴール。19世紀に作られたというドイツ製の本格的なもので、そこから発せられる豊かな倍音は、これぞアコースティックというえもいわれぬ華やかさがありました。

 庭園にはたくさんの紅葉が植えられていて、まるで再訪を促しているようでしたが、年内はちょっと難しいかな。
 

サントリーとアサヒビール(?)

2009-08-23 | 旅・イベント
 JRに乗って大阪から移動する時に、京都が近づいてくるといつも気にかかったのがサントリーの山崎蒸留所。荘厳な感じさえする大きな建物が、山の中にむしろひっそりと佇む姿が何とも印象深かったものです。
 それなのについぞ訪ねる機会がないまま時は過ぎ、辺りは開発されたくさんの住宅が建ってしまい、ちょっと雰囲気は変わってしまいました。

 この蒸留所がある山崎に、一回目のイギリス赴任から帰国した頃、今度は気になる美術館が出来ました。いや、建物自体は随分昔から存在していたのですが、老朽化の末取り壊しまで話が出ていた山荘を美術館として再建したものです、こちらはアサヒビールがスポンサーの大山崎山荘。



 今日は東京に帰る前にこの2ヶ所に寄ってきました。
 もう遅い時間になってしまったので、続きはまた後日。






京都に移動したのに

2009-08-21 | 旅・イベント
 大阪では朝から会議。終わって今度は英国大使館で諸々の相談。ホテルに戻るとイギリスからのメールが山のように。
 実は宿を京都に取っていたのですが、仕事が終わりそうになく近くで買った弁当を食べながらパソコンに向かっていました。早く返答しておかないと、ロンドンでは金曜日って皆早く帰ってしまうのです。結局馴染みの店にも行けず寂しい夜です。

 せめてもと、夜遅くに誰もいない夜道を散歩。昔を思い出します。
 住んでいた所は景観を保護するために色々と制約のある地域で、やたらと高い建物なんかは建てることができないのです。それで、ぎりぎりの高さのマンションの最上階というのがその頃の住居。東山の真上だったので、それでも市内が見渡せて良い眺めでした。



 京都でもうひとつ制約があるのがカラー。どう見ても美味しそうにない薄くて赤い色をしたファーストフードの看板や、逆に通常のロゴよりも濃い青のロゴのコンビニの看板。
 奇妙な感じがするのですが、これが景観を守るためのカラーの制約らしいのです。でもそのセンスはどういう判断なのか未だによく分かりません。

 でも、そこまでやるのに、こちらはどうして許されるの?と疑問なのが四条大橋から見えるパチンコ屋のネオン。ギンギラギンに輝いて“景観”がどうのこうのという以前の問題だと思うのですが。
 やっぱり儲かるところは市としても制約しにくいのかな。

 あぁ、それにしてもどこかで美味いもの食べたかった。

Help!~I'm down

2009-08-21 | 日常
日本に戻って以来、忙しさと時差ぼけで毎日3~4時間の睡眠でした。
大阪に移動後、さすがに昨晩はダウン。元気をつけようと思ってビートルズをランダムに流していたら、Help!とI'm downが連続してかかりました。こりゃ、i-Podまで疲れてる(笑)