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ロンドンから徒然に

メインの皿がたくさんの“慰めの報酬”

2008-11-04 | 映画・演劇
 すごく美味しい肉料理ばかりを立て続けに出されても飽きてしまいますよね。その点、手の込んだコース料理って本当に良く出来ていると思います。前菜から始まってデザートまで、普段ならこんな量は絶対食べられないと思うほどの皿数をこなしてしまうのも、メインの料理へ段々と盛り上げていって、食後のコーヒー(あるいは食後酒)で余韻を楽しむという計算をきっちりした上でのことだからだと思います。

 先日の封切り日に(夕方以降は予約だけで満席でした)007の新作『Quantum of Solace慰めの報酬』に行ってきました。結論から言うと、メインの皿で一杯の感じかな(笑)
 いや、そもそもこのシリーズにあまり理屈も何もいらないんですが、前作がけっこう良い出来で、シンプルながらも緊張感があってゾクゾクしたもので、その続編と聞くとつい期待してしまったのです。



 それに今回悪役を演じたマチュー・アマルリックも、本来は微妙な感情の動きを表現できる良い役者なのですが、何だかステレオ・タイプのちんぴらで終わってしまっていて、ちょっと残念でした。
 ボンド・ガールのオルガ・キュリレンコとの絡みも、互いに大切な人を失った者同士の結びつきというテーマを表現したかったのでしょうが、いまいち表現が足りなかったような。

 もっとも、大部分はこちらの英語の解釈力のなさによるものが大きいと思いますので、決して悪口とは取らないで下さい。けっこうハードルの高いところから発言していますし、どんな出来であろうと007なら何の文句もないのです(笑)質の高い娯楽映画として十分楽しめます。
 興行成績としても、これまで全英のOpening Weekendの記録だった2005年のハリーポッター・シリーズ『Harry Potter And The Goblet Of Fire』(1,490万ポンド)を塗り替えて、1,550万ポンドの記録を作ったそうです。

 ところで先日(10月30日)書いたロイヤル・ワールド・プレミアの後日談です。
 あの夜ウィリアムとヘンリーは、試写会への出席前にミリタリーの仲間との旧交を温めていて時間がかかってしまい、そうとも知らずに映画館の中で彼らの到着を待っていた招待客を待たせてしまったそうです。おかげで7時半の開演予定が9時になり、中にはいびきをかいて寝てしまう人や、催促の拍手をする人まで出て来て、翌日の大衆紙に“Quantum (of) So late”と書かれていました。

 お腹が空いている時に料理を待たされるのも、また辛いものですよね。