イギリスは大雪でひどい状態になっています。フライトがキャンセルされ、空港で寝泊まりしている人達を見ていると、春に火山噴火の影響で日本からこちらに帰れなかったことを思い出して身につまされます。
今回は無事に戻ってきたものの、何だか時差ボケがひどくて、つくづく体力が落ちているのを実感しました。
そう考えるとこの人の身体っていったいどうなっているんだろうと驚嘆してしまいます。
ポール・マッカートニーってもう68歳ですよね。それなのに、このところの精力的な活動を見ていると、とても勇気づけられる気さえします。
何しろ先月はブラジルとアルゼンチンでツアーをこなし、今月に入ってからも13日にはNYのApollo Theater、落ち着く間もなくロンドンで17日には(先日ブログに書いた)100 Club、翌日18日にはHMV Apollo、今日はリヴァプールに里帰りしてO2 Academyで今年を(多分)締め括っています。
NYのアポロ・シアターは、衛星ラジオ局「SIRIUS XM radio」の有料会員が2千万人を突破したということで、会員限定のライヴだったのですが、聞くところによるとローリング・ストーンズのキース・リチャーズやロン・ウッドもゲストの中にいたらしいです。
さて、僕が何とかチケットの取れたHMV Apollo、シート設定の場合で3,632、スタンディング設定(今回はこちら)でも5,039のキャパですから、もちろん普通のアーティストにとっては大きな会場に違いないんでしょうが、ポールにとってはねぇ。
なのに前日は詰め込んでも300人も入ろうかという100 Clubでギグをやるし、その前がNYのApollo Theaterとなると、どうもライヴの原点帰りを狙っているのかなという感じがしないでもありません。(事実セットリストにもそれは見て取れるのですが。)
さて、開演予定の8時前にはまだたくさんの人が入りきれずに会場外に列を作り、Tシャツ等の記念品売場にも群がっています。
基本的にはUp And Coming Tourの流れを組んだ進行になっているのですが、大きな会場にあるようなスクリーンがないので、いつもなら流されるビートルズ時代からのコラージュ映像がなく、その音声のみが聞こえてきて、30分も経った頃会場の照明が暗転、まずポールひとりが現れてひとしきりの大きな拍手を受けた後、Magical Mystery Tourからショーはスタートしました。
JetとGot To Get You Into My Lifeがその後に続くと、「次は新しい曲をやるよ」と言って始めたのがAll My Loving。えっ、新しい曲?
実はこれは次の曲への伏線で、「さっきNewと言ったのは、次にやる曲よりも新しいからなんだよ」とOne After 909。この曲大抵の人はアルバム『Let It Be』(1970年リリース)で最初に聴いているかもしれませんが、実際には1957年に主にジョンによって作られたLennon-McCartneyクレジットの中でもごく古い曲なんです。
その後もビートルズ時代、ウィングス時代のヒット曲(あ、The Fireman名義の曲も)が続くのですが、ベース、ピアノ、アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、マンドリン、ウクレレと持ち替えては相変わらず達者な演奏と歌を聴かせてくれます。(セットリストは後でまとめて書きます)
今回はNYのアポロとロンドンのアポロが続いたこともあって、マーヴィン・ゲイのヒット曲Hitch Hikeのコピーもセットリストに組み込まれていました。
ジョンとジョージに対するレスペクトは変わらず、ジョンに捧げたHere Todayのみならず、A Day In The LifeとGive Peace A Chanceをメドレーで、またSomethingをウクレレのソロから始めてバンド演奏へ持ち込む進行などはいつもの通りです。
「Somethingは良い曲だ。フランク・シナトラも、ポール・マッカートニーの作った曲の中で一番好きだと言っていたよ。でもこれはジョージの曲なんだよ」と笑わせていました。
さて、約束事と言えばLive And Let Dieの時に打ち上げる花火。こんな会場でやれるんだろうかと懸念していたら、なんといつも通り。これって日本では消防法で絶対ダメですよね。
そして最後の曲Hey Judeへと続くのですが、この時会場内は煙でもう真っ白。ステージの上はロンドン名物の霧がかかったような視界です。
その中でアンコール。時節柄Wonderful Christmastimeを少年合唱団と共にサービス。2回目のアンコールにも応えてSgt Pepper’s Lonely Hearts Club BandとThe Endのメドレーで締めました。
客席の年齢層はけっこう高くて夫婦連れが目立ちましたが、皆本当に楽しそうに身体を動かして幸せそうでした。いいですねぇ、こんなライヴは!
長くなりついでに、セットリストを書いておきます。
01. Magical Mystery Tour
02. Jet
03. Got To Get You Into My Life
04. All My Loving
05. One After 909
06. Drive My Car
07. Let Me Roll It
08. The Long And Winding Road
09. Nineteen Hundred and Eighty Five
10. Maybe I’m Amazed
11. Blackbird
12. Here Today
13. I’m Looking Through You
14. And I Love Her
15. Dance Tonight
16. Eleanor Rigby
17. Hitch Hike
18. Sing The Changes
19. Something
20. Band On The Run
21. Ob-La-Di, Ob-La-Da
22. Back In The USSR
23. A Day In The Life / Give Peace A Chance
24. Let It Be
25. Live And Let Die
26. Hey Jude
<アンコール>
27. Wonderful Christmastime
28. I Saw Her Standing There
29. Get Back
<アンコール2>
30. Yesterday
31. Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band / The End