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ロンドンから徒然に

リチャード3世

2011-06-28 | 映画・演劇
 数日前ダニエル・クレイグがレイチェル・ワイズと結婚したというニュースが伝わってきました。
 ダニエル・クレイグと言えばもちろんジェームス・ボンド役として有名なわけですが、来年公開予定の007シリーズ新作“Bond 23”の監督がサム・メンデスです。
 で、レイチェル・ワイズはサム・メンデスの昔の恋人でした。噂ではレイチェルを役者として認めている彼がボンド・ガールに彼女を起用したがっているとの話も出ていて複雑です。

 さらにはこの話を聞いて、離婚調停進行中の妻ケイト・ウィンスレットが怒っているというワイド・ショー的ニュースまで付いてきていますが、そのケイトがゴールデン・グローブ賞の主演女優賞を取った“レボリューショナリー・ロード / 燃え尽きるまで”でメガホンを取ったのがサム・メンデスでした。

 この作品も高く評価されましたが、サム・メンデスの作品として映画ファンがまず思い浮かべるのはやっぱり“アメリカン・ビューティ”でしょう。
 前述の“レボリューショナリー…”とは随分雰囲気が異なりますが、同様にアメリカ社会での平凡な家庭が崩壊する様を描いて見事でした。

 アカデミー賞で作品賞、監督賞を獲得したこの映画での彼の演出が光ったのはもちろんですが、同主演男優賞を取ったケヴィン・スペイシーの存在なくしてはこの映画の成功はなかったと言ってもいいと思います。そのくらい彼の演技は秀逸でした。

 ……と、ここまで何だか連想ゲームのような記述になってしまいましたが、今月サム・メンデス演出、ケヴィン・スペイシー主演という、誰もが期待する舞台が始まったので、早速行ってきました。



 シェイクスピアの“リチャード3世”。
 狡猾で残忍な稀代の独裁者を描いたこの芝居は、役者にとってハムレットと並んで演じ甲斐のある役柄らしく、映画でも古くはローレンス・オリヴィエ、最近ではアル・パチーノが演じています(後者は正統派の演出ではありませんが面白いです)。

 舞台ですが、まぁまずはともかくケヴィン・スペイシーのダイナミックな演技に圧倒されてしまいます。よく喋り、よく動き、時にはユーモアを散りばめ、時には激高し…ここまで自在に演じられたら、舞台って本当に楽しいでしょうね。

 映画ファンの僕としては、半身不自由なその動きで映画“ユージュアル・サスペクツ”でのヴァーバル役を連想し、モニター・スクリーン(これが演出の一部として使用されました)に大映しになった彼の顔にむしろ表情の豊かさを感じたりもしましたが。

 3時間半以上にも及ぶ長い劇も(途中休憩が一度)、興奮しているうちにすぐに終わりを迎えましたが、残念だったのは(シェイクスピア劇はいつもそうなんですが)英語力不足で台詞が完全に聴き取れないこと。おまけに歴史の知識が浅いために、登場人物の背景を把握しきれていなかったこと。
 ううん、もっと勉強して出直しかな。

闘牛の光と影

2011-06-23 | 旅・イベント
 ブログのペースがゆったりしているもので、旅の移動にリアルタイムで追いついていません。
 というか、滞在先のWi-Fi環境が良くなく(すぐに切れる)、またあまりの暑さに参ってしまって書く余裕がなかったというのが正直なところですが、いつもの旅と同じくスケジュール後半の体感はすごく早く、もう終わりを迎えて、昨晩ロンドンに戻ってきました。

 アルハンブラの写真はまた後日整理してからアップすることにして……実はグラナダに移動する前にもう一ヶ所訪れていたんです。
 Ronda/ロンダ……この町の歴史を辿ると、新石器時代から人類が住んでいたらしいとのことなのですが、このことを置いといても、少なくとも紀元前6世紀頃のケルト人に起源を辿ることができるくらい古い町のようです。
 その後のキーワードを探っても、“フェニキア”、“ポエニ戦争”、“カルタゴ遠征”、etc.と、かつて世界史で習った懐かしい言葉を見つけられます。

 とまぁ、堅い話は抜きにしても、おそらく下の写真の橋をどこかで見た人は多いんじゃないかと思います。このPuente Nuevo(“新橋”の意味)の光景を見ても分かるように、ロンダは海抜739mという非常に高い岩だらけの台地の上に成り立っています。



 この橋の眺めは凄いと思うでしょ?でもこのアングルで撮るには実は谷の随分下方まで降りていかなければなりません。この日の天気は雲一つない快晴!周りは低い木ばかりなので陰ひとつできず、ここらがこの日の僕には限度でした。
 公園の木陰に入るとそれなりに涼しいので、地元の老人達は皆でこうして雑談を楽しんでいるんですけどね。



 さて、この町は詩人のリルケが“夢の町”と詠んだことでも有名ですが、確かに白い壁で作られた住居と青い空のコントラストはそういった形容に相応しいくらい綺麗です。




 そんな中に一際目立つ円形の建築物。これが実は闘牛場なんです。スペイン最古の闘牛場のひとつで、近代の闘牛のルールが確立したのもロンダでのことだと言われています。



 闘牛と言えばスペインの国技として有名ですが、近年では娯楽の中心は当然フットボールに移り、また動物愛護団体からの抗議にも晒されるなどして、その人気の衰退ぶりが目立つようです。事実カタルーニャ州(バルセロナはここに属します)では昨年闘牛禁止法が成立し、来年からは州内での闘牛がなくなります。

 今年からとりやめたと聞いていたのですが、ホテルのTVを点けてみたら中継されていました。
 音楽や服装を始め長い伝統に則って行われる“儀式”とそれに対する観客の熱狂的な反応は、かたやで厳かであり、またやけに俗っぽくもあります。

 知られていることだとは思いますが、華やかなマタドールが牛との一騎打ちでとどめをさすのは最終段階であって、それまでに登場するピカドールやバンデリジェロと呼ばれる人達が、長槍や銛を牛の背中に打ち込み、動きを弱めます。おそらく“残酷だ”と避難されるのはこうした過程を含めてのことだと思います。

 一部始終を見ていると、個人的な心情としてはやはり牛が可哀想だとの思いを抱いてしまいますが、おそらくこういったある意味“国の文化”に対しては国民の複雑な感情があるに違いありません。
 例えは悪いかもしれませんが、捕鯨に対する非難を理解しながらもどこか素直に全てを受け入れられない日本人の歴史の背景や心情にも似たものがあるのかもと思ってしまいます。

 それにしても、この強い光の中で激しい格闘が展開され、乾いた土が牛の血を吸って影のように黒くなると思うと、闘牛をテーマにしたピカソの作品の印象がまた違ったものになりました。



いずこも同じ

2011-06-19 | 旅・イベント
 昨日グラナダに移動しました。
 日中は36度を超す気温なので、陰のない道を歩くと本当に肌がちりちりと焼ける感じがします。
 スペイン人を真似るわけではないですが、シエスタとまでは行かなくてもお昼に少し休憩を取らないとバテてしまいそうです(いや、もう既に半分そんな状態ですが)。

 そこで一旦ホテルに戻り、冷蔵庫に入れておいたミネラルウォーターを手にとって唖然。何と冷えていない!冷蔵庫が作動していないんです。
 ここのホテル、アルバイシンにあってなかなか雰囲気も良く、従業員の態度も悪くないのですが、到着するなりセイフティボックスが壊れていて使えなかったという経緯もあって、クレームすることにしました。

 その結果、ホテルのバーから好きな時間に好きなだけ無料でドリンク類を持っていっていいということに。
 また、バスタブは付いておらずシャワーだけだけれど、最上階のアルハンブラ宮殿が見える部屋を代わりに提供してもらいました。

 アルバイシンはアルハンブラ宮殿の西側に当たる丘陵地区で、ホテルをさらに上がったEl Mirador de San Nicolásというビュー・ポイントからはアルハンブラ宮殿とシェラネバダ山脈が見渡され、特に夕陽に染まる時間帯が人気です。
 僕も例に漏れずその時間帯(今は日が暮れるのが遅く9時半くらいになってしまいます)までうっとりと眺めていました。



 坂を下りて街まで戻るとバーの中から騒々しい声が聞こえてきます。覗いてみると案の定フットボールの試合。この日は地元グラナダとエルチェの試合が行われていました。
 グラナダと言っても、日本の人にはあまり馴染みのないチーム名だと思います。それもそのはず、このところずっと2部暮らしだったんですが、今日の結果次第ではなんと35年ぶりの1部昇格が決まります。

 そして結果は1対1のドロー。ところがこれが実はプレーオフ2戦目で、1戦目のホームでの試合はスコアレス。ということで2戦で同点ながら、この日アウェーでゴールを奪ったので、見事に1部昇格となりました。

 で、一夜明けた今日も町は大騒ぎ。夜は大通りが遮断されて人の群れ(きっとパレードでも始まる予定だったんでしょう)。ついさっきは深夜にもかかわらず花火が上げられていました。



 フットボールに関しては、ヨーロッパ中どこも熱狂ぶりは変わらないみたいです。まるでロンドンにいるような気分の夜でした。

海霧

2011-06-18 | 旅・イベント
 ホテルの屋上にジムやサウナ、ジャグジーといった設備があるのですが、そこでも皆のんびりと本を読みながら日光浴を楽しんでいます。海辺のデッキチェアーでは言わずもがな。
 こんなゆったりとした余暇の過ごし方が本当にヨーロピアンな感じでいいなと思うのですが、悲しいかな、やっぱり僕は日本人。マラガの町を歩き回った挙げ句、結局他の町も訪ねてみることにしました。

 マラガからは、コスタ・デル・ソルの各地にバスが出ています。今回も殆ど行き当たりばったりの計画ですが、ダイレクトのバスが出ているということでMarbella(マルベーリャ)に行くことにしました。
 ここはイギリス人やドイツ人にも人気のリゾート地。しかも他の町に比べてリッチな人が多いということです。確かに白壁の綺麗な旧市街などはどことなく小綺麗で、ゆったりした感じを漂わせています。




 実は上の写真は到着後何時間かしてのもの。着いてすぐに行ってみた海岸は下のように海霧に覆われて視界の悪い不思議な光景でした。




 おそらく海の温度との差が大きくてこういった現象が起きるのでしょうが、皆いっこうに構う様子でもないところを見ると、特に珍しいことでもないのでしょう。
 そう言えばマラガでも午前中にこんな光景を見ました。コスタ・デル・ソルではよくあることなんでしょうかね。



 それにしても霧の本場ロンドンからやってきて、こんな光景を見ることになるとは。

町歩き

2011-06-17 | 旅・イベント
 ふらふらと町を歩いています。マラガはスペインでは6番目くらいに大きな町だそうですが、庶民的でなかなか良い感じのいいところです。
 実は太陽を浴びすぎて、何だか軽い夏バテ状態です。今日はもうこれで寝ます。








南国

2011-06-15 | 旅・イベント
 日本の最悪の季節、つまり6月の梅雨の時期は、逆にイギリスでは最高に爽やかな季節で……と常々自慢して来たんですが、今年は5月から雨続きで、おまけに寒い!と来ています(いや、これでさえ日本にいることを考えたら贅沢なんでしょうが)。

 そのことに業を煮やしてというわけでもないんですが、思い立ってスペインに来ました。本来なら春先までに消化しなければならない休日を延ばし延ばしにしていたので、ここらで思い切って取ることにした次第です。
 まだまだやり残したことだらけで不安一杯なんですが、自分の力だけではどうしようもないことだってありますしね。割り切ってリフレッシュすることに決めました。

 いつもプライベートの旅行の時はそうなりがちなんですが、今回もけっこう場当たり的なプランで、殆ど下調べが出来ていません。
 で、どこにいるかというとマラガです。BAが飛んでいるスペインの都市の中で、これまでに行ったことのないところを選んだというわけなんですが、とりあえず太陽の光は間違いなく保証されそうです。
 というのもここは所謂コスタ・デル・ソルの中心となる街。僕の勝手なイメージだと、フランスのコート・ダジュールのスペイン版といった感じです(いや、その反対の例えの方が適当なのかもしれませんが)。

 ともかくロンドンから3時間弱でたちまち南国の光です。今は午後9時半くらいまで明るいので、到着後の夕方行った海岸もご覧の通り。中にはトップレスで日光浴するご婦人方もいました。こんなところもコート・ダジュールそっくり(先日の自転車とは意味が違うので、写真は撮っていませんよ・笑)。



 とりあえずあちこち回る前にリラックスして過ごすそうと、まずは公園をジョギング。高い木々から漏れる夕方の日差しだけなのでそれほど辛いことはないのですが、それでもロンドンの公園に比べるとやっぱり汗の出方が違います。
 終了後はホテルの屋上にあるサウナとジャグジーで仕上げ。ここからは港ばかりでなく、アルカザバや闘牛場といった名所も見られて最高です。

 一番残念なのは胃が治ってから間がなく、ずっと酒を飲まない生活を続けていたので、大好きなワインがせいぜいグラスに1杯くらいしか飲めないこと。街中には樽ごと何種類もの地元のワインを置いて立ち飲みで提供するような雰囲気の良いところもあるのに残念。



 あれっ、気が付くと、このところ何と健康的な生活を送っていることか!

クリスティン・スコット・トーマスの『Betrayal』

2011-06-13 | 映画・演劇
 先週末はあまり食指が動く新作映画がなく、目玉となったのはこれでした。『Kung Fu Panda 2』。



 で、日曜日の昼間にたくさんの子供達に囲まれて観てきました(笑)
 アニメーションとは言え、吹き替え陣の豪華さに驚きます。ジャック・ブラック、アンジェリーナ・ジョリー、ダスティン・ホフマン、ジャッキー・チェン、ルーシー・リューの前作に引き続いて、今回はさらにゲイリー・オールドマンとジャン=クロード・ヴァン・ダム……実写だったら何と凄いことか。

 日本はもちろんのこと世界各国で吹き替えされるんでしょうが、それぞれの国でどんな俳優が受け持つのか興味あります。
 そう言えばこちらでDVDを見ようとすると、吹き替えの選択肢の何と多いこと!西欧・北欧・東欧・ロシア圏までカバーしていますからね。

 イギリス映画も当然その対象になるわけですが、僕の大好きなイギリス人女優クリスティン・スコット・トーマスは自分の役のフランス語の吹き替えを自ら行なうこともあります。そればかりかフランス映画で主役を務めることも。彼女は19歳でフランスに移り住み、パリの国立舞台芸術技術学院で学んだ経験があり、またかつてのパートナーがフランス人医師だったこともあって、フランス語が堪能なんです。

 目の前で彼女の演技を見ることができました。ノーベル賞受賞作家ハロルド・ピンターHarold Pinterの作品『Betrayal /背信』がComedy Theatreでリバイバルされ、現在それに出演しているんです。



 数々の“不条理演劇”で有名なこの作家の作品ですが、ここで特徴立っているのはAnti-clockwiseと言われる手法、つまり時間軸を遡って物語が展開するんです。
 最初のシーンが1977年に始まり、次が75年、73年、71年と展開し、事の発端となった1968年でカーテンが降ります。

 タイトルから想像されるかもしれませんが、モチーフとなっているのは不倫。しかも男同士は親友。唯一レストランのシーンでのウェイターの役を除いて、舞台に現れるのはこの3人だけです。

 上記の手法ゆえ、物語の結末は最初に分かっており、そうなると観客の興味は何故、どのようにこういうことが起きたのか、という点に向かいます。
 そして意外な事実を知ってしまうと(例えば、夫はこの事実を何年も前に既に知っており、にもかかわらず友人を責めることもなく、妻もまた夫に告白後も友人との関係を止めるでもなく、互いに通常の生活を続けている)、タイトルの“Betrayal”はそれほど単純な図式ではないと気づき、一体誰の誰に対する背信行為なんだろうかと考えさせられます。

 それにしても、感情をコントロールするのが役者の仕事とはいえ、必要な場面で涙を流す(映画と違ってやり直しができず、しかも毎日の上演ですよ)なんてことがよくできるものだと感心してしまいます。
 それやこれやで幕間なしの1時間半、心地よい緊張感ですぐに過ぎてしまいました。劇場を出る時間でもまだうっすらと明るい6月の夜でした。




ヒーロー

2011-06-10 | 映画・演劇
 6月に入ってもなかなか気温の上がらないロンドンですが、そろそろウィンブルドンのCMも始まりました。
 テニスの大会としては先日の全仏でも様々な物語が生まれましたが、何と言っても大きな出来事は李娜選手の優勝でしょうね。中国のスポーツ振興当局と袂を分かち、管理を受けない道を選んだ、言わば反権威的な人だけに、政府や国民がどんな反応を示すのかと思っていましたが、やはり双方にとって国の英雄みたいです。ウィンブルドンでも頑張ってほしいものです。

 スポーツ選手は時として人々の希望の星となります。特に貧困に喘いでいる国にとっては、おおげさでなく生き甲斐でさえあるのかもしれません。
 その意味では、(経済上の繁栄を謳歌している現在と違い)通貨危機により一時は国家破綻寸前だった1990年前後のブラジル人にとって、自国が輩出した史上最強のドライバー(と呼んでもいいですよね)アイルトン・セナの当時の活躍は、まさに生きる希望だったのかもしれません。ドキュメンタリー映画『Senna』の中で、あるブラジル人女性がこう言っていました。「私達には何の希望もないの。ただひとつセナを除いて」



 日本の人達にはどうして今頃この映画『(邦題)アイルトン・セナ~音速の彼方へ』のことを書いているのかと不思議に思われるかもしれません。日本では既に昨年の日本グランプリ初日の10月7日に公開されているんですものね。そればかりか3月にはもうDVDまで発売されていたんですね。
 でもこの映画、イギリス制作にもかかわらず、ここ“地元”での公開は今月3日からだったんです。早速観に行きましたが、良い映画でした。

 ドキュメンタリーにありがちなtalking headの手法を排除して、ひたすら過去の映像素材で構成したのが、結果的には成功していたと思います。
 その中にはお馴染みのレース風景もあれば、レアなファミリー映像もあり、当時の画質の悪さなど気にならずに夢中で楽しめました。

 いや、“楽しんだ”と書きましたが、もちろんあの悲劇の結末は変えようもないだけに、彼のどんな無邪気な笑顔を見てもどこか悲しみの影を見てしまうし、ましてや事故当日のどこか自分の運命を悟っていたんじゃないかと思えるような表情を見ると、心が引き裂かれそうになります。

 それにしても、なんと魅力的な人物だったことか!深い信仰心ゆえかそれとも逆に神をも恐れないのか無茶とさえ思えるようなレースに対する本能、陽気でお茶目な反面気むずかしい反骨的な精神に満ちた複雑なキャラクター、貧しい子供達に寄付を続けながら最後まで匿名だった慎ましさと優しさ、そういった全てが映し出された憂いに満ちたハンサムな顔立ち…男女問わず全ての人に愛された理由が分かるような気がします。

 1994年5月1日。もうあの日から17年も経つんですね。

スペイン人のスポーツとリズム

2011-06-05 | スポーツ
 あいにく雨交じりの日曜日、リージェント・ストリートは歩行者天国となってたくさんの人で溢れました。砂を運び込んで、即席のビーチが出来上がったりもしています。
 “A Taste of Spain”という恒例のイベントのためなんですが(確か以前このブログにも書きました)、観光パンフレットと共に生ハムやワイン、チーズといった各地の名産品が配られ、どこも長い列が出来ていました。中にはパエリヤやガスパチョも見られます。皆食べ物のためには長時間並ぶのも厭わないみたいです。



 ところで、食べ物がないにもかかわらず、もっと長い列が出来ていたところが。
 その列の先をよく見ると、昨年のサッカーのワールドカップの優勝杯と、先日のヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグの優勝杯が。列の先頭の人から順番にその横に並んで嬉しそうに記念写真を撮っています。そう言えば両方とも優勝はスペインのチームでしたね。
 さらに今日のテニスのニュースを付け加えるならば、久々に決勝での対決となった全仏オープンのナダルとフェデラー戦。軍配はナダルに上がり、ボルグと並ぶ6度目の全仏制覇で幕を閉じました。

 このところやけにスポーツでのスペイン人の活躍が目立ちます。この理由は何なんでしょう?スペイン人って、もともとスポーツ神経がいいのかな?(FCバルセロナは、メッシがやけに目立っているとはいえ、所属レギュラーの大半はスペイン人だし)

 なんて思いながら歩いていると、スペインの民族音楽が流れてきました。これがやはり独特のリズムなんですね。誰もがスペインと聞くと思い浮かべるフラメンコなんて、実は12拍子系のリズムを中心にその変則(ブレリア、ファンダンゴ、アレグリアス・ソレア、シギリージャ、etc.)がたくさん存在します。

 もしかしてこういった音楽のリズムを体得しているスペイン人は、スポーツにおいても独特のリズムで動くことができて、4拍子系のリズムに慣れている他の国の選手達が動きを合わせられなくて戸惑うんじゃないだろうか、なんて考えてしまいました。

 あ、今度はスペイン人のロックバンドが演奏を始めました。
 ……ううん、これはやっぱりイギリス人の方が向いているような気が。

久しぶりのイギリス勢

2011-06-02 | 音楽
 当然のことですが、イギリス人ミュージシャンはこちらでは“国内”アーティストですから、少なくとも日本でよりは触れる機会が多いわけです。でないと、3年間でポール・マッカートニーを4回も見るなんてことはなかったと思います。

 で、この10日ばかりの間に立て続けに4本のコンサートに行く機会があって、そのうち3人がイギリス人。しかも懐かしい顔ぶればかりでした。

 まずはエリック・クラプトン。
 恒例のロイヤル・アルバート・ホールでの長丁場。今年は11日間のうち前半の6夜がソロ、後半の5夜がブラインド・フェイス時代の盟友スティーヴ・ウィンウッドをゲストに迎えてのライヴでした。
 僕が行ったのは前半ですが、キャパ7000~8000人以上はあろうかというホールが超満員。これが11日間続いたんでしょうね。
 基調はブルースに置いて、ギター、ピアノ、キーボードの掛け合いで強烈なソロの連続(多少ワン・パターンのきらいはありましたが、これとて貫禄の一部)。そして最近のライヴでは定番の『レイラ』を始めとするアコースティック・ギターに持ち替えてのフィンガー・プレイ。
 日本の会場のようにギターキッズが手元を凝視するなんて風景はなく、年配の夫婦なんかが心から楽しんでいる様子が目立ちました。




 ところで、ポールを4回と書きましたが、考えてみたらローリング・ストーンズに縁がありません。前回ロンドンに住んだ時はウェンブリーでのライヴを見ることができたのですが(こないだうちの近くで若い女性と一緒のロン・ウッドを見かけた気がしましたが、これはちらりとだったので確信がありません)
 その代わりというわけでもないのですが、当時ミック・ジャガーの恋人だったマリアンヌ・フェイスフルのライヴがあったので行ってきました。
 ところが当時の(もちろん写真と映画とでしか知りませんでしたが)あの美貌とスタイルは…….



 いや、もうその話はやめておきましょう。以前と変わりない姿のこの人を見られたんですから。
 もう2度とステージには立たないのかと不安に思っていたシャーデー。昨年10年ぶりに出した『Soldier of Love』もビルボードで1位という見事なカムバックだったので、ライヴももしかしたらと期待はしていたものの、やっと現実のものとなりました。
 そのアルバム・タイトル曲に乗って登場した彼女の佇まいのなんと華麗なこと。そして動きも足の先から指先まで神経の行き届いたバレーをみているような優雅さ。何よりもその歌声が衰えていなかったのが嬉しかったです。
 最初のMCが「この18年間ずっとこの日のためにリハーサルしていたの」。そう、ロンドンではなんと18年ぶりのライヴだったんです。
 日本での最後のライヴも確かそのくらい前のはず。一応『ワールド・ツアー』と銘打っているので、日本でのライヴも実現したらいいですね。