植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

吊り上げていいのは魚だけ

2023年05月06日 | 篆刻
子供たち3人が先日集まりました。長男の嫁と孫娘は感染症の疑いで帰省しませんでしたが、それ以外で誕生日のお祝いやらBBQやらで盛り上がったのです。
ワタシの家は、道を挟んで数m先が相模川、歩いて10分で相模湾に面した古くは漁業の町であったのです。

おかげで、ワタシを除いて子供たちは全員釣り好きで、子供のころから大学生になっても海釣りにいっていたのでした。そこでBBQがひと段落し、ケーキも食べ終わったところで孫たちを連れて次男三男は釣りに出向いたのです。ありあわせの道具でささっと釣ったらさすがクロムツの小さいのをを釣りあげてきました。ワタシは相手の食いつくのをじっと待つという時間がもったいなくて、どうも釣りに赴く気持ちになれなかったのです。


さて「つり上げ」といえばヤフオクであります。最近ようやく、出品者側が出品物の価格を、関係者に依頼して意図的に吊り上げていることがわかってきました。ワタシのオークション対象は石印材がほぼ99%であります。この石印材の特徴が「定価」というものが存在しない、石の種類は千差万別で、簡単には判明しない、古いもの新しいもの自然石から人造石まであらゆるものが混在しているところが問題であります。まさに「玉石混淆」なのです。

値段で言えば十円単位のものから100万円を超えるものまで存在し、価格が高く希少な石、芸術的・骨董的・歴史的価値のある品々ほどその贋作が多く作られるという特性もあります。ヤフオクでは写真と説明書きのみで値段を入れてください、というシステムだけに、偽物をつかまされるリスクと、お宝・高価なものを時によっては安価で入手できるというメリットと裏腹なのです。

石印材については、最もポピュラーで単純なパターンは、偽物の人工物を突出して高値が付く「田黄石」として出品してくることになります。ほとんどが一目で人造石とわかるのですが、巧妙に造形され、写真もそれらしく撮影されるので、ひょっとすると本物か?と思わせるものもあります。

それ以外にも、天然石であったとしても、田黄とは全く異なる石に着色したりフィルムを張ったりして似せて作った代物も数多いのです。細工も手が込んでいて、紐(持ち手側の飾り彫り)や薄意(表面を山水画のように薄く浮き彫りにする)、更に側款(印の側面に彫る作者・篆刻家の名前)などをその道の専門家が細工して作るので、ぱっとみは値打ちものと見えるのです。さらに入念に木箱を用意し、専用の木彫りの台や布製の台座までつけて、これこそ本物だといかにも高そうに偽装するのです。
下のはヤフオクにでていたもので写真をお借りしましたが多分本物・値打ちものだと思います。(実際にはわかりませんが💦) こんな感じになっていると何万円もしそうですね。

高価な骨董価値があるもの、希少な石、大変細密な彫刻が施された工芸品などは、立派な化粧箱入りの真正の値打ちものも多いので、ここが紛らわしいのです。

ここまでは合法的と言えます。写真の通りで自己判断願います、と説明書きにありますから。手間をかけているのだからそれなりに値段が高くても仕方ないのです。

問題はここから。偽物・まがい物を田黄ぽく小道具で見せかけて仕上げが、「価格吊り上げ」であります。その手口はいろいろのようですが、簡単に言えば「さくら」を入れて入札させるのです。皆さん半信半疑で田黄らしき出品物にチェックを入れて入札状況をウオッチしています。そこに、いかにも多くの人が注目し価値がある本物だと思わせるように、次々に高値更新を続けるのです。

だいたいの商品は、残り10分あたりから勝負が始まります。1週間前に出品されていた品物はずっと入札がないのに、期限ぎりぎりになった頃合いで、急に動き出し、価格も一気に上昇します。ここで「さくら」と思しき入札が殺到するのです。その見分け方は、4,5人で順番に札を入れる、その人たちはほとんど同じ「評価点」しかも一桁から数十点のグループであります。田黄に数万円から数十万円レベルの入札競争へ、そんな評価点が少ない(入札歴がほとんどない)人が入ってくることは滅多にないのです。それが数人いれば、間違いなく「吊り上げ行為」であります。

これが最終期限を過ぎてもちょっとずつ高値更新・時間延長となって延々と続きます。相場よりはるかに高い値段になったそこで、勘違いして部外者(一般入札者)が「えいや」、とばかり高額の入札があったらしめたもの、そこで手じまいになります。高値つかみした落札者に届く代物が、予想に反して最近作られたようなおみやげ物程度、人工石、程度の悪い駄物だったりするのです。

仮に、高値が更新されて仲間内だけの入札合戦になっても構わないのです。いいかげんなところで、出品者側の都合で「取り消し」が行われます。すると入札件数はリセットされ0件となるものの、最終入札の最高額が示されて終わるのです。田黄に興味があって、そのお品にも魅力を感じているコレクターは、その推移や金額を記憶しています。その後、出品者は同じ品物を高額な「最低落札価格」を設定して再出品するのです。一回目に超高額な最高価格を記録したものが何割かを減らして金額設定されて出品されたら「割安感」を感じて飛びつく人が出る、という仕掛けであります。

こうした「吊り上げ行為」は当然禁止でありますが、ばれないように悪さをする出品者はあとを絶ちません。ワタシを含めてこれに騙されるのですから。これらは経験と観察でそのうち引っかからなくなると思います。勿論それまでに、いくらかは授業料で出費はいたしますが。

「学び然るべき後足らざるを知る」でありますな。

最近の落札物はこれ。勿論田黄ではなくて寿山石の一種であろうと思います。立派な友箱に収められていて、7千円の投資に見合うお値打ちものだと納得しています。石の種類は「馬背独石」と読めるラベルがついています。専門書にもほとんど記載がありませんが、ネットで「馬背石」として2,3件売られていた似たような石は数万円でありました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする