植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ヤフオクは狐とタヌキの化かし合い

2022年04月03日 | 篆刻
 ヤフオクは、恐らくほとんどのまじめな一般の方から、古美術商、故買・廃品業、各種マニア、詐欺まがいの悪質業者まで種々入り乱れているものだ、という前提から始めなければならないでしょう。

 従って、出品されるものも、数少ない真正の値打ちもの、掘り出し物・お宝から、遺品整理・ガラクタ、模造品・贋作・粗悪品まで玉石混交なのです。ここでの「性善説」は通用致しません。値打ちの無いものを高く売りつける、騙すことを目的としている人たちが数知れず居ることを覚悟せねばなりません。
 
 油断すれば、カスをつかまされるリスクが常にあり、それが往々にして高額となるものに混じっていることを身をもって体験いたしております。累計で2、3百件ほどの落札をした中で、「やられた、つかまされたな」という品は少なくとも10件ほどはありました。実は、それ以外でも、「まぁ、これは偽物・模倣品だろう」と承知の上で、ひょっとするともしかしてと、入札しているのも数多くあるのです。

 例えば石眼がある「端渓硯」、これは3、4個すべてが偽物でした。田黄石も人造石だったのが4回(笑)、鶏血石も2個偽物が混じっていました。印泥だと「北京栄寶斎」は3個の内2個が粗悪品でありました。いずれも本物とはけた違いの安い落札価格であったので、腹も立ちませんが。仰々しい由来を連ねた説明があった未使用中国筆の3本セットも、ナイロン毛が混じったバッタ物でしたね。

 確率的には体感では、5%内外、20件に一件くらいの割合で、無価値のくだらない品物を入手していると思います。一方では、少なくても10件に1、2回は、非常に割安の品、素晴らしいお宝(予想外の値打ちものと思える)に巡り合っているので、差し引きすれば十分元が取れております。人間というのは、損をしたことはいつまでも覚えていてくよくよするくせに、幸運に恵まれて得したことは案外忘れるものでもあります。

 そんなヤフオクで、もう一つ注意すべきは「吊り上げ行為」であります。オークションは最終期限の2,30分前から急に件数が増えます。注目されるような値打ちものはウオッチだけで数十人、累計の入札件数も100件を超えてきます。しかし、そのようなものでも、実際札を入れて来る人が10人に満たないことも多いのです。

 数人が参加して入札合戦となるのは決して違法行為ではありませんが、中にはウン?、「そんなに値打ちがあるもの?」と思われる出品物が異様な高値になることが少なくないのです。傾向的には1円からスタート、残り20分頃から一気に一桁ほど金額が増えた入札があり、以降は5分おきに千円程度の入札が延々と繰り替えされ、自動延長されるのです。まるで最高入札上限額を探るように見えます。

 こうしたケースは①出品者自らが別アカウントで金額を上げて、エスカレートさせる。②仲間とグルになって入札合戦を演出する ③一定の法外な高値をつけたら出品取り下げした後、高額な「即決価格」で再出品するなどが考えられます。いずれにせよ、意図的な価格つり上げの手口と考えています。

 実例がこれです。(あくまでワタシの感想です)。潜泉印泥唐木箱です。

ワタシはこれと同様のものを1年ほど前に8千円で落札しています。また、西冷印社の印泥箱(写真右 箱のみ)は14千円でした。

その違いは、表蓋に彫られた字体と印泥入れ(印合)の模様くらいです。1円から始まった入札が、突如4万円ほどの金額に跳ね上がりました。中の「白磁」の印合は朝鮮王朝時代・あるいは元祖景徳鎮の時代物などであるはずがなく印泥自体もせいぜい5千円程度の品に見えました。著名な書家の持ち物だったとか、歴史的由来がはっきりしているものでもない限り、そんな値段になるはずが無いのです。

 この取引は、出品者側からの価格吊り上げがあった可能性があります。わざと極端な最高値で関係者に落札させた後、入札競争に巻き込まれエスカレートして入札していた二番目の入札者に「最終落札者が辞退した」とメールを寄こして高値で買わせるというようなこともあるそうです。

 万が一、この印泥箱が、本当に8万円以上もする値打ちものならばそれはそれで嬉しいのですが(笑)。
 ヤフオクの心得は、相場をきちんと把握すること、研究し目を肥やして(少しの失敗も必要)真贋を見極める事、そうして、決めた上限入札金額(予算)を上回ったら潔く諦める事であります。
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