落語「笠碁 」、先代の小さん師匠が得意にしていた噺であります。碁仇の美濃谷さんと大旦那が碁を打っていて待った・待たないで大喧嘩したが、雨降りで暇を持て余し、辛抱できずまた碁をうつようになるというあらすじです。「まったく、よく降る雨だな。こんなに降る事ぁないだろうに。おばあさん、お茶入れとくれ」と美濃屋。大旦那も同じことを言って空を見上げるというのがいかにも日本的な様子でありました。
全くよく降ります。今月に入ってからほぼ二日に一日の割合で雨降り、晴天であったのは数えるほどです。ふと一年前のブログを読み返したら今年と様変わりなのに驚きました。こんないい時期は長くは続きませんが それでもよかろう - 植物園「 槐松亭 」
去年の4月25日に掲載した写真には沢山のバラが咲き誇り、スプレケリア や胡蝶蘭、ニオイバンマツリ 、シラーなど多くの花が咲いておりました。クサイチゴは大粒の橙色の実を一杯つけていました。
ところが今年、この三月から続いた極端な寒い日、雪交じりの雨など冬と梅雨が交互にやってきたような不順な天候であったのです。バラはぽつぽつ咲いていますが、バンマツリなどは蕾も付きません。クサイチゴも授粉不良で小さく未熟果が多いのです。
雨のもたらす恩恵は計り知れません。降水によって、ダムの水が湛えられ河川に水が流れます。農家ならずとも園芸を少しでもやる人間にとって、夏の日照りの時期に、雨が落ちてきてほっとしない人はいないでしょう。
しかしながら、高温多湿の日本の国土でいつも雨降りが有難いとは限りません。農業での作柄不良の最大の原因は、雨降りに伴う日照不足・低気温です。果樹にせよコメ・野菜にせよほぼすべての作物は一定以上の日照が必要となります。
植物たちは1日の日照時間と気温によって季節を知り、芽を出し花芽をつける準備をしますが、これだけ悪天候と日照不足が続くと混乱し、概ね生育が遅れて来るのです。
また、大きな問題は雨によって「授粉」が行われないことです。虫媒花であれ風媒花であれ雄蕊が濡れていれば花粉は飛びません。雌蕊も湿った状態だと受粉出来ないのです。また、ミツバチなどの昆虫たちも雨降りの日には蜜を吸いに飛んでいきません。すると、果樹が受粉しない、つまり花は咲いたが実が付かない、という大変困った状況になるのです。
更に、トマトやスイカなど多くの植物は根が水に浸かると根腐れいたします。根っこは、水を必要としますが、同時に呼吸し酸素を取り込むので雨水によって窒息してしまうのです。
それだけではありません。血糖値が高いので、医者から運動と減量を申し付けられているワタシとしても、雨に降り込められ室内で体を動かせない日々なのです。体重は減らず欲求不満ばかりが増してきます。
今朝も雨模様であります
「あぁ まったくよく降る雨だなぁ」