今になって100万円の文通費がおかしいと言い出しました。衆院選が終わって初めて国会議員となったのが10月末日、その一日が在職扱いでひと月分支給されるのです。これは原則として領収書も使い道も申告しない闇給与と同じ、議員は歳費以外に様々なお手当を貰えます。それはそう、自分たちで立法して貰うのですから、お手盛りで自分たちの利益になることなら、議席を増やすのも、政党交付金も、政務調査費を貰うのも全部通します。
政党交付金などは、議員一人あたり4500万円と聞きますから驚きであります。
以前、議員年金が高すぎると問題になり渋々年金制度を撤廃しましたが「議員のなり手不足の解消を図るため 」に復活の動きがあります。自分たちの都合に合わせて理屈をつけるのは彼らの得意技であります。贈収賄や選挙の不正が出るたびに「議員はお金がかかるから」と巨額のお金を懐に入れる制度を増やしました。地方議員には政務調査費など、エロ本購入や風俗店に出入りしたお金すら適当な領収書をつけて上限額ギリギリまで請求します。
給料や手当などを月割り前払いとするのは役人も同罪で悪しき慣習です。自分たちで稼いだ金ならいざ知らず、国民から搾り取った金を私利私欲、私腹を肥やすために使うのを中心に活動するのですから公僕が聞いてあきれますね。
民間ならば、入社してその日にもらうのは「定期代」だけです。これは実費そのもの。月末近くなってようやく給料を(後払い)で支給されます。それも初任給と言って、新米の新入社員には半分程度の基本給しか払いませんよ。国会議員たちは、特権でJRなどの無料パスを支給されます。それなのに議員バッジを貰って一日だけ月末に在職したので100万円を丸々もらえるのです。たとえ1週間でも2週間でも意味は同じですね。
インターネットが普及し、昔高かった長距離通話も固定電話を使わずに済むようになったので、どんなに使ったとしても電話代など月にせいぜい数万円でしょう。以前、毎日のように架空の日帰りの出張を繰り返したとして交通費を不正請求した「号泣」地方議員がいましたが、国会議員が実費で100万円の交通費は使いきれるものではありません。
早い話が、納税対象にならない闇手当を好き放題受給できるのが議員なのです。本来ならば、議員の待遇や、処遇、議員定数・権利などの別の法律を、本人たち以外の識者や学者・納税者で構成する機関で決めるべきなのです。しかし、それを決めるのが国会議員なのでそんな法律を作るわけもありません。不逮捕特権などあらゆる利得や利権を、手放すわけも無いのですね。自浄作用など期待する方が無理、そうなるとマスメディアや文春砲に依存せざるを得ないというのが情けない日本の現状であります。
100万円の文通費を新設した時に、領収書を義務付けし、日割りにすべきだと思う人は普通の感覚で、法律を起案する役人が気づかぬはずもありません。しかし与野党は口をつぐんで、日割りにしようなどとは言いだしませんでした。「これは美味しい、お小遣いだなぁ」とみんなほくそ笑んだことでしょう。
あの震災後に減らした国会議員の歳費や公務員の給料はすぐに元に戻り、加えて増額されています。国会議員はそもそも年に2200万円ほどの歳費をもらっています。これに様々な名目でお金が配られ、秘書の手当てまで補助が出ています。ざっと議員一人当たり1億円税金が使われていると言われます。議員のなり手が居ない?そんなはずはありませんよ。
それもあってか新規に当選した議員だけ返納させるという方針を各党打ち出してきました。お茶を濁しこの件は早々に決着させようという魂胆なんですね。この際「これは廃止しようや」と言い出す議員は皆無です。公費、つまり多くの納税者が厳しい生活費から絞り出して預かった公金であります。私腹を肥やすなどもってのほか、自分たちはさらに赤貧に甘んじて、衆生のために一円もおろそかにしない、という気骨のある政治家はとんと見かけなくなりました。