植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ワタシの印で良ければなんぼでも彫ります

2021年11月06日 | 篆刻
 さて、本ブログを始めてから約三年を迎えます。その記事数は間もなく1000話となります。なんの目的も決まりごともないまま、ぽつぽつと更新してきました。3年間ほとんど欠かさず続けることができたのは自分にとっても意外でしたが、考えてみれば思いついたことをランダムに片端から載せるだけでたいしたことはありませんね。恐らくはだいぶ中身が重複しているのではないかと想像していますが、なに、書いた本人が覚えていないし、読み返すことも無いので構うことはないか(笑)

 いくらかの知識や経験を得て「ボケ対策」とはなっているかもしれません。所詮は市井の初老の戯言レベルなので、誰かに影響を与えるとか何かで注目されることなど望むべくもありません。そもそも、このブログが、誰かの役に立っているかと考えるとはなはだしく疑問であります。アフリエイトとかいって閲覧数に応じてお金を貰えるサービスもあるようですが、わずかばかりの小遣い稼ぎをしても仕方ないし、言論活動や思想信条のアピールなどワタシの柄でもありません。

 毎日100人以上の方に見ていただいているようです。それは望外のシアワセではありますが、それらの方々と対話するでもなし、見知らぬ方が何かの拍子に紛れて閲覧しているのかもしれません。そんなことを思うと、そろそろ潮時かもしれないと考えるようになりました。

 世に出て多くの人たちに認められるのは、ほんの一握りであります。ひとかたならぬ努力と、才能に恵まれ幸運が味方をした人たちが名声や富を手にできるのです。ワタシのブログなど、「インフルエンサー」にはなれそうもないし、ごくわずかのフォロワーさんを除けば、毎日の新たなお題などたいして期待もされていないのでしょう。誰かに才能や努力を認められたい、というような歳まわりでもなく、そんな必要もありませんね。いくらでも文章は生み出せますが、時間には制約があり、残り少ない人生や時間を割り振ると「優先順位」をつけなければならなくなります。

 今でさえ園芸と書道・篆刻でやっとであり、だんだんいろんなことをこなせなくなります。ブログも千回を一区切りにして、一旦休止、または不定期(月に数回程度)の更新でもいいかなと思うのであります。今まである記事はアーカイブとして基本的にはずっと閲覧可能だろうと思いますから、自分が書き記した記録・情報が無駄になるわけでもありません。

 一方、昨日から書道塾が再開し「藤原先生」とその仲間たちが集まりました。半年以上ブランクがあり四方山話も積もっていて、稽古そっちのけとなるかと思いきや、何もなかったように皆さん書の稽古に集中していました。やはりずっと休会だったので、書道に飢えていたのではないでしょうか。

 先生は先に熱海で書道展を開き、多くの来訪者が来られてとても充実した日々だったようです。昨日は先生から「Mさん(ワタシ)、住所印は彫れますか?」と尋ねられました。そう、ワタシも先生から頂いた作品展へのお礼状の封書に押された住所(氏名)判が気になっていたのです。押されていたのは印章店で販売されるゴム印(ないしは木印)でした。郵便番号が3桁で、しかも姓名の名前だけは手書き。ずいぶん古い住所印を押しているし、立派な書道家さんなのに、こればかりは相応しくないなぁ、と感じました。

 ワタシが使用済み(刻字あり)の印材を集める中で4,5個の住所氏名印が入っていました。書道に関係した人のみでなく、一昔前のそれなりの地位や教養のある方は年賀状や郵送物が多く、手書きでは間に合わないので住所印を使っていたのです。そんな印は、れっきとした篆刻家さんが側款を施したものです。素人には簡単に彫れるものでは無いのです。

 実はそれで、先週初めて先生の住所を彫る「住所印」作りに内緒でチャレンジしていたのです。しかし、朱文で数字を含む住所氏名を実用印として彫る、というのは想像以上に大変なのです。雅印や姓名印ならば真四角の印に「篆書」で刻みますし、せいぜい4文字程度。決まった古典的パターンで彫っても自分の趣向で作っても、それなりにさまになるのですが、住所氏名というのは、同じ字の大きさで、楷書か隷書の統一が取れた活字文にしなければなりません。郵便番号なども含めて20文字以上の小さな字を陽刻(字を浮き彫りする)で整然と刻むというのは、彫りミスなど誤魔化しがきかないので、とても難度が高いのです。それで一作目はあえなく失敗に終わりました。

 しかし、先生のお言葉は、「あなたの腕が上がって来たので、自用印として住所印を彫ってみません?」と聞こえました。ワタシの篆刻の技術が先生に認められた、と感じたのです。ならば、やらないという選択はありません。前回の失敗を次に生かして制作に取り掛かりました。

 また、以前から数本の篆刻印を提供している日本画家さん(岩野雅代さん)から個展の案内葉書が届きました。絵葉書の絵は、その作品ですがワタシの作って差し上げた落款印が押されていました。彼女は中学校の時の同級生の娘さん、そんな気安さから、僭越にも絵や署名などに助言などもして、それなりに頼りにされているのです。子育てと主婦をしながらの画業はさぞかし大変だろうと思います。印程度ではたいした援助にはなりませんが。


 ワタシの拙い書も、(ごく)たまに書いてほしいなどと言われるようになりました。果実でも野菜でも人に「美味しかった」と言ってもらえれば励みになります。ブログで、手ごたえも相手も見えない駄文を連ねるよりも、たとい数人でも自分を認めてくれて、ワタシの作ったり書いたものを喜んでもらえるなら、そちらを優先すべきだと思うのであります。


 
コメント
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