植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

真似っこが上達への近道

2021年06月28日 | 篆刻
 最近物忘れが実感として自分に起きていることに愕然とします。
忙しさにかまけて「ながら」スマホをしながら、家内の話を聞くと、もう次の瞬間には何の話だったか忘れています。先日は自治会の会合を失念してしまいました。近所なので連絡が来てすぐに駆け付けましたが、実際は予定表に書き留めていなかったワタシの落ち度でありました。電話をかける用事があって、その連絡先を探しているうちに他のことを始めるなど、なにをやってるのか困ったものです。

 失せ物も多く、年中探し物をいたしております。そのうち何を探していたかもわからなくなったりして(-_-;)。思うに記憶力の低下というより注意力や集中力が低下しているのです。なにかをしまう時にも、これは大事なものと考えつつ、ひょいとそこらに挟んだりして忘れる「何気なく」行う動作に問題があるように思います。生来散漫な性格で、几帳面とも無縁のガサツな人間なのです。

 自慢じゃありませんが記憶力も若い頃から凡庸で、そのためボケることを恐れております。このブログも普段、知的な仕事や会話には程遠い緊張感のない生活なので頭の体操と思っております。書道や篆刻も然りですし、10年近く継続しているスマホゲーム「ツムツム」も脳を活性化させるのに役立つと聞いて以来毎日欠かさずプレーいたしております。何より恐れるのが「認知」の二文字なのです。

 そこで、思いついたのが篆刻の「摸刻」であります。毎日のように石を刻むうち知り合いの「姓名印」はほぼ全部こなしました。自用印も、遊印・雅印などを彫っていますがそうたくさんあっても仕方ないのです。
 来年は篆刻作品展への出品を目指すこともあり、先人が残した「名刻印」を真似て彫ろうというわけです。幸い篆刻に関する書籍もあり、先日はヤフオクで中国栄豊斎の出版の国際篆刻作品集というのを落札しました。この印影をそのままそっくり彫ってみようと思います。
 
 こんな感じです。二枚目の写真は近代中国でもっとも有名な篆刻家呉昌碩さんの印です。(出典 芸術新聞社「篆刻入門」)・・芸術新聞社さん無断掲載ですが宣伝しておきますから容赦願います。 
 書道で言えば「臨書」、名筆・書聖と呼ばれる人が遺した古典の書作(手本)を真似してひたすら書くのが書道の基本的練習法であります。これをどれだけ書いたかが書道の力量に直結いたします。それと同様に、名人の彫った作品の印影だけを手掛かりに刻む、これが篆刻技術向上につながるのは疑う余地がありません。

 これを模倣して本人の作ですと売りに出したらアウトですが、自分で彫るだけなら誰も迷惑しません。彫り方は自分流、要は手本と寸分たがわず彫れればオーライであります。そんな名作を何十も彫ればおのずと印稿(字の形やレイアウト)についての知識やイメージも備わってくると思います。

 自分だけのオリジナリティー、作風を自分で涵養するなど烏滸がましいのです。沢山の美しく高く評価された普遍的な芸術品を数多く目にし、地道な練習でその字姿に近づけるよう努力することが技量の向上につながるのです。

 忘れないうちに「摸刻」を始めることにします。
 
コメント
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