以前は、「五十の手習い」と覚えていました。今は、日本人の寿命が延びたせいで六十の手習いと呼ぶのが一般的になりました。織田信長が、「人間(じんかん)五十年、」 と敦盛を唄った時代は、平均寿命が50歳だったのでしょう。
1960年頃は、男子65歳女性70歳位なのだそうです。子供の頃、まわりの60歳台の人たちがえらく年寄りに見えてました。今は男女平均で80歳越え、政府によると人生100年時代になったのだそうです。
100歳まで生きて幸せなのは、元気で、お金があって周りに世話をしてくれる親族がいることです。そんなに長生きしてもいいことは少ないように見えて仕方がありません。
余生を楽しもうという年代が、段々繰り上がってきているので、そのうち70の手習いが一般的な表現になるかもしれませんね。
ワタシは、55歳にして園芸を始め、60歳定年を過ぎて基本からお習字を学んでおります。園芸は、薔薇と家庭菜園から徐々にフィールドを広げ、最近では「ハオルシア」をメインにした多肉・観葉植物に手を染めてしまいました。多肉は、場所をとらず、世話が簡単で、生長もゆっくり、室内でもきれいに扱えるのでお手軽という所がよろしいですよ。
お習字(書道)はすっかり日課として4年半、よほどのことが無い限り、一日1,2時間かけて稽古をいたしております。コロナで2か月教室はお休み、これまでも自分が上達したかは先生の評価にかかるのですが、うちの藤原先生は特に何もそこはおっしゃらないので、よくわかりません。
更に、最近は絵画も再開しました。ちょっとしたきっかけで水彩画を描くことにいたしました。絵筆をとったのは15年ぶりかなぁ。
それで、定年の話に戻ります。政府があの検察庁法の改正にひっくるめて上げていた公務員の定年延長法案であります。そして年金制度改革法案もあります。働き方改革だの、一億総活躍社会だの、自民党と亡国官僚の目くらまし政策に、ワタシ達は躍らされておりますが、真の狙いのひとつがこれであります。
元はと言えば、理論的にも実際も破綻するのが目に見えている年金制度の失政を糊塗するために編み出した、国民に対する「死ぬまで働け」政策です。現役世代が老人を支える(これが制度の一番の欠陥)のが不可能になったのは紛れもない事実、非正規雇用が増え少子高齢化により、年金財源確保が難しく現行水準の年金支給は不可能になって来ました。
そこで、財源不足を補うために、元本保証を原則としていたはずの年金資産運用をいつの間にか株式ほかのリスクがある投資につぎ込んでいくようになりました。さらに、企業に定年延長を強いて、年金支給年齢を遅らせようというとしました。100年安心プランが破綻し自己資金2000万円が無いと生活できないという報告書が明るみに出ましたね。
そして、何年も成立を画策していた公務員の定年延長です。こんなもの100%不要です。それは、民間の何倍もの退職金と、公務員夫婦両方で受給できるような優遇された手厚い年金(旧公務員共済年金)があるからです。50歳以降何回でも関連団体や民間天下りが出来る御身分なので、すでに実質定年など無きに等しいのです。役人で忙しいのは20~30歳台にすぎず50歳過ぎたら、午後出勤、日がな新聞や雑誌に目を通し、書類にハンコをおすだけの軽作業ばかりになるのです。若手の役人は、そういう先輩を見て、年取ったら今度は自分が楽出来るというので、雑務に追いまくられるのを我慢するとも聞きます。
隣の人がどんなに忙しくても知らん顔、自分の仕事が多いとパート・派遣に丸投げします。そういうところが役所です。ワタシは10年ほど役所の御用聞きをやりましたからよく存じております。
今度の延長で、ろくに働きもしないくせに、60歳過ぎたら現役の70%の収入を保証するそうですよ。
ワタシの知る限る、民間の60歳以降の準正規雇用者の給料は現役時代の1/3から1/4というところ、せいぜい月20万円ですよ。で、こうした給与所得者には、年金を支給しないのです。年金だすのが惜しくて国民に働かせるということです。
現在、地方公務員含め330万人います。これに関連団体(公社公団、なんとか機構・協会などなど)が右に倣えとなります。団体職員と言われるこれらの人は数百万人はいますね。これらの人が、定年後大体6百万円の年収が約束されることになります。試算によれば、公務員定年延長にともなう人件費増は数兆円に達するとされます。消費税増税分の使い道はここだったんですね~怖いですねー。
連合や公務員の労組などを政治基盤とする野党は、これに賛成していました。だから、少数野党から抜け出せないのですよ。仮に労働者組合が本当に支持基盤であったなら、僅か1~2%しか支持されないわけがないのです。野党は、国民全体の願いや幸福をこそ真摯に追求すべきなのです。津津浦浦に支持組織を築き、利権と創価学会の組織票に守られた自民党に立ち向かうには、いつまでも狭小な料簡で、特定の団体の利得や、絵にかいたような政治理念にとらわれていては駄目なことに気づくべきなのですが。
更に年金制度の改正で、受給年齢を遅らせると「計算上」は現行よりたくさん貰えるという仕組みに変えると言います。嘘ばっかり。頼みもしないで法律が改正されるとき、それは100%行政・政府にとって有利(納税者には不利)になるのは自明であります。国が損するようなことをやるような馬鹿はいません。間違っても受給を遅らせることはしませんよ。
このコロナのあおりを受けて、世界的な不況・株安がおきました。案の定、年金運用資産も甚大な損失が発生し、一説には10数兆円も「溶かした」そうであります。失政や行政(社会保険庁)の不手際、制度の欠陥を糊塗し、国民を欺くために、高リスク運用に手を染めたのです。
稼ぎの無いバカオヤジが、なけなしの生活費を奥さんからむしり取って、「倍にして返す」と言いながら馬券買いに(パチンコ店)に飛び出すようなもんです。
検察庁法・種苗法(近いうちに紹介します)・国家公務員定年延長・年金改正、どれもこのどさくさに紛れて、国会を通そうとしました。
「下天(化天)の内を比ぶれば、夢幻(ゆめまぼろし)の如くなり」この人生は、夢幻のように儚く、あっというまに消えていくものでありましょう。
残り少ない一般市民の人生を馬車馬の如く働かせるのではなく、安心して余生を過ごせる世の中にしよう、と思う政治家や公務員はいないのでしょうか。