今日は学術的な話で恐縮です。(笑)
世界の政治やメディアが、ミステリー、魔訶不思議として取り上げる現象の一つが「日本は、どうして感染率が低く死者数も少ないのか」という謎であります。
中国の感染の次に起きたのが、日本でのクルーズ船でのクラスター感染でした。国会では、コロナそっちのけでやれ桜だ、黒川だと騒いでいて、少なくとも3月まで無策に等しい状況でした。これはまずいと打ち出したのが、学校の休業はじめとして小出しの「自粛要請」でしたから、緊急事態宣言を出すまでは、政府も自治体も国民も、中途半端な対応をいたしておりました。すでに医療現場では深刻な院内感染や医療崩壊寸前でしたのに。
感染症に対する様々な準備・備蓄・情報・組織、すべてにわたって極めて貧弱であったことは周知のとおりであります。
安倍政権は、例によって迷走し後手に回り、的外れな対策を打ち出しました。しかも、あらゆる専門家が指摘するPCR検査増加の必要性に対し、実施不足は極端に少ないままでありました。緊急事態宣言発令も、すべてが強制力も罰則もない「お願いベース」という、世界でも例のない脱力系ジャパニーズスタイルでした。つまり、他国に比べて、すさまじいパンデミックが起きても不思議ではない要素満載だったのです。
それなのに感染者数では世界で40番目、人口当たりの死亡率も世界47位あたりになります。この中には、アフリカなどきちんと統計が取れない国や、中国・北朝鮮などのように、数値自体全く信ぴょう性が無いものもあり、実際はさらに後順位になるかもしれません。もっともわが国も桁外れにPCR検査の実施が少ないので、隠れコロナ・無症状保菌者・死因を精査せずカウント漏れの死者なども多くいらっしゃるようなのであてにはなりません。なにしろ検査実施累計で日本は1000人当たり2名弱、OECD加盟国36カ国平均は1000人あたり23人で、最下位メキシコの次に低い検査率ですからね。
検査数が少なければ、表面に現れる感染者数も少なくなる、というのは実際の統計上も、理論上も自明の理であります。
公表されている日本人の全体の死者数推移は、コロナ以前と現状ではほとんど変動(増加)が見られず、コロナ肺炎によって亡くなったのに、統計上算入されていない人がさほど多いとは思えない→コロナの死亡率から逆算すると感染者は意外と少ない、のではないかという見方をされています。献血者の抗体検査(感染歴の有無)でも陽性者が極めて少ないことから、統計に表れないコロナ感染者が数十倍はいるというのは、どうやら大袈裟で、やはり公表数の10倍程度にとどまると考えてよさそうなのです。
ようやく、日々のPCR検査数は増えてきているようですが、それでも数千件にとどまっています。一方で、日々の新規感染者数は漸減しております。急激に検査数が伸びない理由は、依然として検査できる体制が整わない、検査基準のハードル(目安)が下がらないことが挙げられますが、忘れてならないのは、緊急事態を解除し、数多の経済活動を再開したいという思惑があるからですね。勝手に民間ベースで検査を増やし、感染者を増やされると困るのです。
いつまでも、飲食店・興行・スポーツ・旅行観光・百貨店・ホテルなどの自粛休業要請を続けていると経済的なダメージが更に深く大きくなります。公表する感染者数を増やして、経済活動の妨げにならないようにここは、ぐっと検査を抑えようとするのは想像に難くありません。
経済(お金・生活)のために、一刻も早くコロナ以前の日常に戻したいというのは、政府も国民も同じ願いです。
仮に、今月で警戒自体が解かれ、段階的に自粛指示が解除されるとどうなるか。
考えられる予想1、社会全体の緩みの為にコロナが再燃し、再度自粛を余儀なくされる。予想2、コロナ以降の生活習慣を維持し、三密を避け、自発的抑制的な社会のままに、緩やかに終息に向かう。後者であってほしいものです。
そのためには恐れずPCR検査を増やし、いつでも機動的に対策する体制が大事だと思います。