植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

たかが半紙、されど半紙 結局は書くまでわからない

2020年05月20日 | 書道
練習する半紙をヤフオクで落札し、ネットで取り寄せ、試行錯誤しているうちに、なんとなくわかってきました。
 
 ヤフオクで出品される半紙の見分け方であります。ワタシが求める半紙は、漢字用で手漉きに限ります。機械漉きは、表面が固くツルツルしております。滲みは出しにくいし、カスレも綺麗には出ません。筆先が思うようにいきません。まぁ半分は当方の未熟さによるものですが。練習に書いていても上手に書けないし上達するような気持にならないのです。(ちょいと贅沢・我儘ですね)しかも在庫も沢山あります。

 かつて、書道半紙は大体1000枚(一締め)でお徳用に販売されており、書道を本格的にやる方は、箱で買っていたのですな。今時では書道人口がどんどん減り、そうした需要が少なくなったので、ばら売り、100枚単位の小売り主体となっています。オークションに出てくるような古い代物はその箱に、銘柄やら社名やら能書きなどごちゃごちゃと書かれ、はんこが押されています。その内容で、その半紙の値段や品質が大方わかるようになりました。

 まず、銘柄は当てになりません。しかし、「ゆうがお」とか「あわゆき」といった平仮名だったり、和歌や短歌に読まれている言葉などを連想するもの、「平安」「道風」みたいな銘柄だと、カナ用である場合が多いです。「加工紙」と書かれて居たら間違いありません。
 銘柄が無く、無印と表示されるものは、大体が機械漉きか外国製(中国・台湾)です。中には、手漉きの和紙で「訳あり」のものも混じっていますが、あまり紙質は期待できません。更に「手漉き風」と表記されていれば、100%機械漉き、多少品質が良く、漉いた時にできる横向きの縞模様が入る、という程度です。無印良品とはなかなかまいらないのです。

 手漉きであれば、勿論単価も高く、書き味も平均的にはいいのですが、数十年経過しているものはさすがに劣化しております。ざらつきパサつきあり、風邪ひいてカビ有りなどは使えません。アップされた写真の包み紙が茶色に焼けていたり、中身も茶色っぽいものはまずいけません。書いてみてもガサガサしていますし、しっとり感が無いのです。

 次に「別製」という表記があります。「特別製」と記載されることも。これは手漉きは手漉きでも、自社で作っていませんという表示、つまりだいたいが輸入物であります。現在中国台湾産の半紙は、有名どころでは「白蓮・毛辺・粉連」という銘柄があり、そのまま市販もされます。台湾や韓国産はブランド力で落ちるため、輸入後に「和名」をつけ「別製」「無名手漉き」などで売られています。大体日本製に比べると50~70%位の価格なのでそれとわかります。

 因みに中国の半紙は、およそ薄い紙が主体で、そこそこのレベルではあります。販売価格では一枚6円というところでしょうか。もちろん、本場安徽省産政府検品の高級ブランド物から粗悪なまがい品まであり、品質が安定しないのも特徴と言えます。なにしろ中国産ですからあてにはなりませんわね。

 製造会社・問屋らしき会社の社判や社章は参考程度ですね。古い半紙ですからもはやその会社が存在しないことが殆どなので、確かめようがなくなっております。

 ここからは、あくまで手持ちの半紙からの類推であります。というのも、同じ産地、同じ製紙会社のものでも、実は品物によって品質がかなり差異があり、同じ製品ですら微妙に違っていたりします。薄手のものから厚口まで様々ですから、一概にこうだ、という評価は出来ないのです。が、産地ごとに少しづつ紙質に傾向や違いがあるように思われます。

 昔ながらの呼び方で言えば、流通している書道半紙産地で有名なのは、「石州(島根)」、「因州(鳥取)」、伊予(徳島)」というところであります。石州半紙は、無形文化財に指定されるような最も高級な和紙で、人間国宝が漉いた一枚数百円もする半紙まであります。未晒のキメが粗いざらつきある半紙で、ほとんど滲みがありません。渇筆と呼ばれる掠れの高等技術を用いるのに適しているのかもしれません。枯れた味わいの字に向くようですが、正直ワタシら中級者には無理、もったいないです。

 因州半紙は、どちらかと言えば表面に滑りがあり筆との摩擦が感じにくい印象です。筆先を消耗させないような滑らかさが有名です。三椏を主原料とするせいなのか滲みが少ないように思います。
 
 その点伊予半紙は、全般的に漂白して真っ白、繊維が細くて柔らかい印象があります。障り心地がふっくらしっとりとしていていかにもいい字が書けそうな半紙が多いです。5,6種類ある手持ちの伊予半紙は、だいたい書きやすく適度な滲みがでます。なにより、筆を待っていました、と言うような吸い付く感じがあります。

 当然ながら、練習に書いているのの、書き心地がいいに越したことはありません。ほんの少し、やんわりと滲むのが好きなんです。それなので今のところ「伊予半紙」を使うようになりました。使えばなくなります。同じような書き味の紙の在庫を確保するのがとても大事なのです。だからといって、それで上手になるかは別問題ですが。

 もう書架・書棚には中古半紙がうずたかく積まれております。オークションで落としては、ちょっと書き、また気に入らずにヤフオクで、の繰り返しであります。半紙依存症です。今また伊予半紙らしき手漉き「蒼龍、5000枚」「恵風1000枚弱」をヤフオクで発見し、とりあえずウオッチリストに入れてあります。一枚3円として18千円なら、おそらく販売価格の1/3と踏んでいます。「蒼龍」一種のみ5締というのは、外れだった時の損失・ダメージが大きいのですね。失敗すると・・・・あーー、どうしよう。
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