夢の翼with皇大26期生のブログ

私と関わる全ての人たちが繋がりあえるように、大学時代の思い出から現在の環境までをまとめて1つのブログにしちゃいました。

昨年度の成果

2018-04-26 05:27:34 | 教室経営
 学年の都合で、1週遅れで始まった自校通級。いや、本当は遠足予定日だったので、雨で順延にならなければ、今回も授業はなかったはずだと考えると、4月中に始められたのは奇跡的だった。
 いつものように、初回は学級までこちらが出向き、何故通級をするのか説明してから連れて行くことにしている。本人もその方が安心だし、周りの子どもたちも、クラスメイトが1人抜けていくことを奇異な目で見てしまうからだ。双方が納得できるようにちゃんと話をしてから連れて行くと、スムースな通級を開始できるのである。
 今回は、約1ヶ月前にR先生と共同で行った通級の理解啓発授業から日にちも経過していない。子どもたちにとって記憶に新しいことは良いことだ。何と言っても、旧1年3組の子どもたちにとって、「私たちはこだま教室のことを知っている」という優越感にも似た気持ちがあるからだ。私が廊下へ出る度に、「あっ翼先生だ!」と名字で呼ばずに名前で呼んでくれる。1年間関わってきた証である。廊下掃除の子どもたちに取り囲まれる時もある。放課中に体操服に着替え終わった子どもが廊下で私と鉢合わせ、咄嗟に取った行動は、まだ着替え中の子どもたちが大勢居る教室の窓を開けて、大声で、「おおい!!今なら、翼先生が廊下にいるよ!」とまるでセールス品のような扱い・・・。しかも、それに反応して、まだ着替え終わっていない子どもまでもが廊下に飛び出してくるのだ。中には上半身裸の女の子もいる。いくら何でもこりゃまずい・・・。「ちゃんと着替え終わってからにしましょう!」と指導を入れて教室へ押し返すが、これから着る体操服を手に持っているのでその場で着る始末・・・。そうまでして会いたい!と思ってくれる子どもたちが何人もいてくれるなんて、涙が出るほど嬉しいけれど、みんなをその場で抱きしめてあげたいけれど、立場上そうも行かないので、再度着替えの指示をして、着替え終わった子には一言二言話をして、体育館シューズの準備もさせて、担任の先生がいらっしゃるまで相手をする。そう。この放課が終わると、いよいよ初回啓発の時間なのだ。取り巻いている子どもたちは、旧1年3組の子どもたちが多いが、中には他のクラスだった子どもたちも。何人かが集まってくるので、それにつられて一緒に出てきたようだ。「今日からK君の通級が始まるんだよ!」「K君、今年は何組なの?クラス替わっちゃったんだ!」「今年も3組なんだよ!」既に知っている子もいて、通級の話題がオープンにされていることが窺える。これも立派な昨年度の成果だ。最後の駆け込み啓発授業が、思いのほか好印象で、理解度を上げている。廊下に掲示してある自己紹介カードもみんなの楽しみの一つらしい。よその学校からの他校通級児にも興味関心を示すようになっている。今までにも1年生から通級している子どもは何人もいたが、クラスのみんなが理解して応援してくれていたのは今年が初めてだ。R先生の学級経営と、彼女が子どもたちに注いできた愛情の賜である。私はそのおこぼれを頂いているに過ぎない。R先生には感謝しても仕切れない。足を向けて寝られないとはこのことだ。夢を追って辞めてしまわれたのは、残念で仕方がないが、若いうちに人生を考えるのは良いことだ。今はもう何も言うまい。
 放課が終わり、いよいよ初回啓発。いつもと違って「K君と去年同じクラスだった人は?」の質問から入る。すると、明らかに嬉しそうな表情で、手が真っ直ぐ上がっている。6名の児童が3組だったようだ。こだまでの学習が始まることと、応援して欲しいということを伝えると、うんうんと頷きながらにこやかに手を振って送り出してくれる子どもたち。
 特別支援教育というものは、何かというと「しばらくは自力で頑張らせたい」とか「目立たないから3年生くらいまでは通常の学級でもやっていけるでしょう」と考える大人が多く、正しく普及していかないのが悩み所。早期発見、早期療育の言葉が示すように、幼いうちから始めて、本人や周りが感じる「差」をなくしていくことが大切である。しかし、子どもたちは自分の感情を素直に表す。疑問にはズバリと質問するし、悪いものには悪いとはっきり言う。奥歯にものが挟まったような言い方はしないし、逆に言えば、気を遣えないから、言いにくいこともハキハキと言う。この発達段階は、とても素直な段階なのだ。この時期を逃す手はない。特別な支援を受け容れることが、何ら「変わったこと」ではなく、「生活しやすくなるための」手段であるということを知ってもらう絶好の機会なのだ。幼いうちにこれを体験したこの学年の子どもたちは、きっと、大人になっても、特別支援の重要性を「当たり前の支援」として受け止めることができる大人になるだろう。R先生との体験が、成果となって花開く日が、こうもすぐに訪れることになろうとは。予想を上回る成果に感動している。しかし、これはこの学級・学年だからできること。年度が替わり、子どもも変わっていく。理解啓発に終わりはないのだ。一生の仕事だ。頑張ろう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 可愛いお客様 | トップ | 日本剣道形をやってみた! »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿