夢の翼with皇大26期生のブログ

私と関わる全ての人たちが繋がりあえるように、大学時代の思い出から現在の環境までをまとめて1つのブログにしちゃいました。

母の悲しい誕生日

2016-06-25 23:24:56 | Weblog
 今日は母の73回目の誕生日。でも、朝からパッとしない。その原因は父だ。72歳満了日となる昨日、母は悲しい事実を宣告された。父の余命宣告だ。2週間前に倒れて救急車で運ばれた父。救命救急センターでたくさんの検査を受け、集中治療室に置かれ、1週間かけて原因を探したが見つからず、最終的に予想される最悪の事態を考えた検査手術を昨日受けて、詳しい病理検査の結果が出るのは7月1日になる予定・・・だったが、その手術によって、詳細を検査するまでもなく原因が分かり、私たちに悲しい宣告がなされた。
 2週間前に担ぎ込まれた日に、「親しい人に会わせてあげてください」と医者に言われたときから覚悟はしていたものの、翌日からけろっとして立ち上がり、普通に?会話して、何事もなかったようにしている父。母は喜ぶ。「何事もなくて良かったね。ご飯も食べられるし、時々変なこと言うけど。」私は適当に相づちを打っていたが、父が元気になったように見えるだけで、本当は恐ろしい病気にかかっているであろうことは十分承知していた。しかも、検査してもこれといったものがはっきり出てこない。だが、MRIにぼんやりと写る「白い影」は実態を見せずに父に忍び寄っていた。
 悪性リンパ腫。父の担当医はそう言った。脳の癌だと。周りにいくつか脳梗塞の跡が見える。それは大したことじゃない。記憶がなかったり、10分前のことをすぐに忘れてしまうのは、記憶を司る海馬が、悪性リンパ腫のせいで組織を破壊されてしまった部分があるからだと。しかも、そのリンパ腫は脳幹のすき間を埋めるほど大きくなっている。2週間前にMRIに写った白い影より大きくなっていたらしい。母はそれを聞いても信じ難いという表情だった。毎日見舞いに行って会話してくるのだから当たり前である。しかし、日に日に言動がおかしくなっていく父に異常を感じていることは間違いなかった。だから医者の言うことも理解したくはないが理解せざるを得ない、そんな感じだ。人一倍健康に関心があり、会社の健康診断でも何一つ悪いところがなかった父が、全く検査したことのなかった場所。それが脳だった。そしてそこが蝕まれたのだ。目の前が真っ暗になったことだろう。医者の話を聞きながら、泣かずに聞こうと必死で堪えている姿を見ていると、父より母の方が心配になる。帰りの車の中で、まだ確定したわけではないから、と医者の言葉を繰り返し伝えても、父の兄姉には結果を知らせなければと気丈に振る舞う母。しかし、泣いても良いか?の言葉に私も頷くしかなかった。よりによって、自分の誕生日前日に、愛する夫の命の期限を聞かされる心境はいかばかりだろう。母が不憫でならなかった。せめて誕生日当日は明るく祝ってやろうと。
 当日、娘がいの一番に「ばあちゃんにお花をプレゼントしたい。」というので花屋へ連れて行く。兄達は学校の補習やら塾やらで忙しい身なので、午前中の実家でのプレゼントは妹に託して勉強に励む。帰ってきてから塾へ出かける合間を縫って、家族全員で母を伴って病院へ行く。昨日開頭手術をしたばかりだから、さぞかし厳重な格好で集中治療室に磔になっていると思いきや、車いすに乗って自分で立ち上がってトイレで用を足してきたところだったという。これが本当に瀕死の重症患者?食堂でこっそり用意した母へのプレゼントを父に渡させる。もちろん、今日が母の誕生日だという記憶はない。本当なら誰よりも記念日に詳しく、忘れるはずのない母の誕生日なのだが、今は何も分からない。勢揃いした長男夫婦と孫たちに囲まれて幸せそうな老夫婦。このまま何もなく過ぎてくれれば・・・。余命1年。これから苦しい闘病生活が待っている父。それを支え続ける母。2人が共倒れにならないようにしっかりと見てやらねば。私が「病気のデパート」であることは、両親とも知らない。少しでも長生きしてもらうためには、「デパート」から「小売店」くらいに規模を縮小しなければ。がんばります。
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負うた子に教えられて浅瀬を渡る

2016-06-24 01:19:48 | 剣道
 剣道部が軌道に乗ってきた。子どもたちも初心者ばかりだったが、先日届いた新しい剣道着と袴を着装したら、何とも格好良く見えるではないですか!!正式な着装指導はまだしていないけど、来週は着装指導を一斉に行う予定。
 子どもたちも凄いけど、私はそれを指導する相方のR先生が凄いと思う。まだ若いのに、子どもへの指導が上手い。言葉掛けが分かりやすい。ちゃんと子どもを見ている。好きなことだからかも知れないが、しっかり指導方法を研究している。大学の先輩方に、良い指導法はないかと常にリサーチしながら、「次はこうしたい」「これができたら次は・・・」と生き生きしている。
 私は今まで高名な先生方について剣道を習ってきた。自分で言うのも何だが、今まで師匠と仰いだ方は全て、その道の有名人ばかり。しかし、幼い頃の記憶は風化し、今現在の新しい指導法を、今の師匠から学んできたつもりだった。それでも十分なのだが、R先生の姿勢はただの剣道家ではなく、当たり前だが「教師」なのだ。学級で声をかける指導内容がそのまま剣道指導に生かされている訳だ。子どもの心をつかむ声掛け、疲れてだらける気持ちを切り替えさせる話術。私が採用された年に生まれた赤ちゃんだった人が、私の人生の丁度半分しか生きていない人が、私を虜にする。気づいたら指導中の彼女の言葉に耳を傾け、その姿を、残った片眼に焼き付けようとしている自分がいた。成長し続ける我が娘を見るかのように。「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」とは正にこのこと。教師としての指導授業なんて言っておきながら、このオジサンが指導されている。うちの娘が憧れる先生・R先生。この方と一緒に剣道部を運営できたことは、この職場での最大の収穫かも知れない。あと何年、ご一緒できるかな…。
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長男の自覚

2016-06-22 06:28:31 | Weblog
 10日前、父親が倒れて救急搬送されました。家族の中で一番健康に気を遣い、信心深くて神棚・仏壇を常に綺麗にし、体に良いと言われるものは全て試すような父ですが、日曜の昼に突然痙攣を起こして倒れました。弟から連絡を受けて実家まで駆けつけ、救急車を呼ぶとき、うろたえる母や弟たちをよそに、長男の私は意外と冷静でした。父の最期も予想して、色々な書類や重要なものを携行するように母を諭し、自宅に待機する嫁に指示を出し、救急隊の人と話し合い、病院まで車でついていく段取りを整えました。昼間に救命救急に担ぎ込まれて、夜遅くまで、色々な検査を行うからと、病院の広いロビーに陣取り、硬い椅子に腰掛けること6時間。たまには立って歩かないとエコノミークラス症候群になりそうなくらい座り疲れていました。その日の検査では原因が分からず、夜遅くにHCUへ移らされた父を置いて、その日は帰りました。
 遡ること2日前。我が家の長男がこんなことを口走りました。もちろん、今回のようなことはまだ起こっておらず、ふと、口をついて出た一言なのですが、「もし今、父(我が家では私のことをこう呼ぶ)が死んだら、俺が喪主になるんだよなぁ・・・?」と。私も帰りが遅く、息子の塾帰りと同じ時間になったので、丁度夕食を共にしていたのでした。22時過ぎでした。「そうだな。お前が長男だから。ついでに言うと、父が死んだあとに、うちのおじいちゃんや(嫁方の)じいちゃんが(両家の祖父は「お」が付くか付かないかで区別している)死んだ場合もお前が喪主になる。」これを聞いた妻は「叔父さんたち(弟たち)がいるのに?」と問いかけるが、「彼らは傍系。私が直系。嫡男だから。嫡男の嫡男はこいつだ。天皇家も皇位継承順は直系の男子だろ?」と言うと驚いたような表情で、しかし納得した表情で長男に向けて「凄い責任重大だね。母さんが死んでも頼むよ。」と声をかけています。嫁の場合は、そんな重大な地位にいることがないし、そんな立場に立つつもりもないから、気楽に語りかけます。しかし、塾の帰りに毎日のように斎場の前を通り、「喪主」という言葉に敏感になっていた長男。何故かそんな言葉を重苦しく語り出したのでしょう。彼の気持ちはよく分かります。この瞬間、彼の頭にあったのは「当家」の「当主」の「後継者」という立場に就任した「覚悟」だったのでしょう。
 まさかの2日後、父が病院に担ぎ込まれて、医者に「大切な人に会わせてあげてください」などと言われ、相続の準備にと、実印から通帳から預かり、覚悟を決めた私。息子の覚悟とは次元が違うけど、内容は似たようなもの。家に帰り着いたとき、長男がダイニングで勉強をしていたので、「どうやらお前の言っていたことが父に降りかかってきたようだ。」と冗談めかして話しました。今年は大学受験生の長男。変なプレッシャーは感じて欲しくないのですが、まずは、長男がじいちゃんの葬儀の喪主にならなくても良いように、私が健康に気をつけていかねばならないと自覚した出来事でした。父親の病状はまだ原因が分からず、病名もつけられませんが、確実に日々「記憶」を失って行きつつあります。海馬領域に出血が見られて記憶が壊れていくようです。もちろん今回の主たる病気はこれではないのですが、MRIにはもっと変なものが写っているので、恐らくそれは開頭手術をしなければ分からない問題です。暫く修羅場が続きそうですが、長男の覚悟を聞いて、家庭のことは放っておいても大丈夫だと安心できます。その分、父親に専念できるかな。
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