<続き>
以下、J・C・Shaw氏の書籍を参考にサンカンペーン諸窯について紹介する。
ワット・チェンセーン窯
パトゥン村の東2kmの、1491年の碑文に記載されている寺院(ワット・チェンセーン)の近くに3つの窯が存在する。タイ芸術局では、これらの窯のひとつが、他のサンカンペーンのどの窯よりも優れており、シーサッチャナーライのコーノイ窯と似ていることから、この窯は南の陶工が築窯した最初の窯と考えている(・・・タイ芸術局の考察は、単に類似性のみの判断であり、コーノイ窯に比較しあまりにも小形の窯である。安直な判断だと考えているが、南の陶工の直接的関与云々は別として、影響はあったであろう)。
(写真・ワット・チェンセーン窯)
ワット・パトゥン窯
窯体は一つで、現在は破壊されている。場所はワット・パトゥンの裏側に在る。
ジャム・パーボーン窯
20窯以上のグループで、Nam Muang(小川)近くの緩やかに上昇する斜面で、ワット・パトゥンの東2kmに位置している。
トン・ジョーク窯
ワット・パトゥンの南4-6kmのMea Lan(小川)の近くに約50の窯が存在していた。タイ芸術局は発掘した個々の窯に名前をつけて細分化した。それらはGor Bong、Ton Haen1、Ton Haen2、Dong Dam、Ton Jokeである。メイングループ間でも明確な相違はほとんどないので、これらの細分化に意味はあるのか?優れた装飾をもつ陶磁を焼成した、1基の窯があり、それをDoi Toneと名付けている。
写真はトン・ジョーク窯群の一つであるが、名称が判然としない。見て分かるように小形の窯体である。
サエ・ソーン窯
少なくとも1基がTon Joke窯の反対側の山裾に在り、サラピーからの道からアプローチすることになる。
サンカンペーン諸窯の規模は小さく、3.40m-1.93mから2.58m-1.26mまでで、異なるサイズが混在する。焼成室の床から天井までの高さは平均1.0mであった。ほとんどの窯は傾斜地の麓に築かれていたので、10°から20°の自然勾配が煙突に向かってついているが、ワット・チェンセーン窯を除き、煙突は傾いている。
タイ芸術局の報告では、窯の頂部が表面から35~75cm下にある地下式窯であるとしている。窯は粘土のスラブでできていて、内部は粘土と砂と釉薬の混合物で覆われていた。タイ芸術局によれば、内壁の粘土スラブに残る手形を見ることができると云う。窯が小さかったので、窯の上部に穴を開けて、焼成物の出し入れに用いた。
調査された窯の幾つかは、繰り返し修復されていた。Jam Pa Born、Doi Tone、Gor Bongの窯では煉瓦が用いられていたが、これは粘土スラブを補強するためのものであり、窯全体は煉瓦構築ではない。
<続く>