網創漠蓄

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オリハルコンの正体を探る・その1

2013-03-30 19:24:05 | 科学・技術・自然

ミスリルの方はひと段落ついたので今度はこちらを。

の銅という語源を持つオリハルコンは少なくとも後世には銅系合金を表すようですが
今回は大元のネタっぽいプラトンのクリティアスで出てきたものが何であるのかから。
近年のオカルト系解釈はとりあえずは無視して通常の科学や史学の範囲内で。

描写からわかる性質はこのようなものです。
・少なくとも金属であり(当時の)価値は金には劣る
・語源からして銅に近いが別のものとして扱われていた
アトランティス自体は青銅器文化と言われており少なくともその当時扱えた金属
これらのことからやはり一番有力なのは

真鍮なわけですが、ここではさすがにちょっと疑問符を。なにしろクリティアスには
炎のように輝くオレイカルコス」とあるのでさすがに金色ではないのではないかと。
むしろ赤系の銅により近い色と思われます。少なくとも銅の割合はより多いのではと。

また「城壁の内側は錫で」とさらりと錫が出てきており、それと銅との合金である
青銅も金に迫る価値を持つとは考えにくく、可能性はなさそうだし「今は名前のみが残る」
という記述とも合致しません。すると可能性として残る銅系合金は丹銅かなと。

青銅と同様にある程度は自然に算出する合金で、エジプトでも出土例があるが溶かして
リサイクルしていくうちに亜鉛分が失われ、普通の銅と見分けがつかなくなったのではと。
「山の銅」という語源も工数の少なさからの亜鉛の損失の少なさから来ているのでは。

プラトンとか当時も本当は「オリハルコン」は残っていたが、再利用の過程で亜鉛が減って
色合いが変わり、普通の銅の中に埋もれて隠れてしまったのではないかと。この推測だと
結局真鍮とあまり変わらないのが難点ですが、想定用途や色合いなどはだいぶ違うかと。