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原宿の太田記念美術館で開催中(~7/28まで)の「歌川国芳展」、前期の作品は武者絵や妖怪などの浮世絵が展示されていて最高に面白かった。後期の展示はうって変わって洒落っ気たっぷりの国芳の別側面を見ることができる展示で、これもまた極上に面白かったです。武者絵、風景画、美人画、役者絵、物語絵に見世物絵、どのジャンルをとってもユニークで卓越した才能を見せる歌川国芳、もっともっと評価されていい浮世絵師のような気がします。
たとえば思いつくままに国芳の印象をあげてみると、アルチンボルトも真っ青の、人を組み合わせて顔の絵に仕上げたもの。こちらは以前私のblogの記事で、NHKが実際に人を組み合わせて国芳の絵ようになるかを実験したものを書いたことがあります。あるいは、Bunkamuraで開催されていた「だまし絵展」でも日本代表のような感じで紹介されていました。つまりそれらはユニークさにおいても西洋絵画に負けない独自性を持っているということに相違ないのです。
「東都三ツ股の図」は江戸の街にスカイツリーがあった?と話題となったもの。たしかに周囲に比べて圧倒的にそのツリーは高く、そしてその形もどことなくスカイツリーに似ている。こんな高い建物が江戸の街にあったのか?実は井戸を掘るための櫓で、西洋画に触発されてわざと誇張して描いたそうな。
絵を描いている時にはいつも懐に2、3匹の子猫を入れていたという無頼の猫好きの国芳は、その猫を使ったユニークな絵を残しています。猫に着物を着せて擬人化させて江戸っ子の遊びの様子を描いたり、猫を使った当て字であったり、狂言づくしと称して猫が歌舞伎の一場面を演じている。その猫で極め付きは「荷宝蔵壁のむだ書」の猫の絵。そこには、赤塚不二夫が生み出した名キャラクター・ニャロメもどきの猫が描かれている絵があること。当時は天保の改革でお上の規制が厳しく歌舞伎役者らの絵を堂々と描くことは禁じられていた。そこでなんと国芳は歌舞伎役者を子供の落書きに模して描いたということだ。だからわざとヘタウマに描いている。その結果、このニャロメも生まれてしまったということ。浮世絵の展覧会に行ってこんなある意味で現代的なセンスに満ちた絵を見ることはまずないでしょう。国芳のユニークさ才能を感じずにはいられない逸品と思います。
ざっと思い出してみただけでこんな風につらつらと出てくる国芳、一等最初に書いたようにもっと評価されていいんじゃないかと思います。
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