シニアー個人旅行のかわら版

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スコットランドと夏目漱石

2007-10-01 15:10:59 | Weblog
 過日、朝日新聞の特集記事で漱石がスコットランドを訪れていたことを知りました。
漱石が滞在したのはエジンバラEdinburghから車で北へ一時間ほどのペットロホリーPitlochryの町です。
漱石は随筆の中で「ピトロクリの谷は秋の真下にある」と書いているそうですから、訪れたのは10月の初めだったのでしょう。ペットロホリーのホテル協会のホームページには漱石が見たであろう秋のペットロホリーの風景写真があります。
ホームページ上部にGateway to the Highlands「ハイランドへの門口」の文字が浮かんでいます。
ペットロホリーPitlochryは最もスコットランドらしい風土、そしてヨーロッパで最も美しい地域の一つに数えられるスコットランドの北西部、山、谷、湖が連なるハイランドthe Highlandsへの出発点に当たるリゾートタウンで言えます。


 スコットランドの地図を開けてみましょう。スコットランドの推奨ルート黄色の線で示されていますが、Edinburghから北北西に伸びるA9号線の80キロほど先、ハイランド地方のほぼ中央にPitlochryの町を見つけることができます。
 二十年ほど前に、ネス湖を目指すスコットランド・ドライブの途中、Pitlochryを通過しましたが、谷間の川沿いに沿うようにして町並みがあるこじんまりとした趣が印象に残っています。漱石がここに滞在したことがあると知っていたら・・・と今になって残念に思っています。


 朝日新聞にも紹介してあった漱石が泊まった館ダンダラック・ホテルDundarach hotelホームページを開いてみましょう。 1902年留学二年目の夏には高度の神経衰弱に悩まされ、9月には親友正岡子規が亡くなり、気分転換を図るためにScotlandへの旅を思いついたのでしょうか。それとも12月の帰国を控えてイギリス留学の思い出としてペットロホリーへ出かけたのでしょうか。
 当時のイギリス人の間では国内旅行がブームになっていたようです。スコットランドの主要な鉄道網は十九世紀の末までにほぼ完成し、スコットランドへの旅が身近になりました。特にペットロホリーは避暑地として保養地として人気があり、多くのイギリス人が訪れていました。そんな雰囲気の中で、漱石はスコットランドに惹かれたのかもしれません。
まず、北ウエールズ、そしてスコットランドへと国内旅行が爆発的に広がりました。

 北ウエールズの旅

 
 もう一つ分からないのは、当時ホテルでもなかった一個人の邸宅であったダンダラック館へ滞在した経緯です。ダンダラック・ホテル(1936年にホテルに)のホームページによると"Japanese literary giant Soseki Natsume visited the Pitlochry Dundarach at the time, as a friend of the proprietor and wrote a poem of his stay."とありますから、日本庭園をダンダラック館に取り入れ、富士山のミニアチュアまでを作るなど日本趣味に傾倒していた所有者となんらかの交友関係があったことが推測できます。しかし、ロンドンでは友人がほとんどいなかった上、神経衰弱気味であった漱石とどのような交友関係があったか知る由もありません。漱石が師事したウイリアム・クレーグ教授の紹介かとも考えましたが、教授はアイルランド出身、スコットランドとは結びつきません。漱石が書いたという詩がホテルにあるそうですから、そこに手がかりがあるかもしれません。

 文豪夏目漱石が滞在したことのあるホテルに宿泊できるということで、ダンダラック・ホテルには日本人も訪ねてくるようですが、明治・大正時代に日本の作家の間ではヨーロッパ旅行が一種のブームとなり、彼らが泊まったホテルが数多く現存しています。
 そんな中で異色なのがスペインの国営宿泊施設パラドール・アルマグロParador de Almagroでしょう。1596年にサンフランシスコ派の修道院として建設され、伊達政宗に派遣された支倉常長一行が1615年に宿泊しています。400年前に日本人が宿泊した修道院(パラドール)に泊まることができる・・・そんな至福な一夜を過したいものです。→本プログ「支倉常長とアンダルシア

関連サイト:
スコットランド旅行:航空券の購入 http://blog.goo.ne.jp/masa4439er/d/20071008 
スコットランド旅行プラニング http://blog.goo.ne.jp/masa4439er/d/20071021 
スコットランドとスカイ島 http://blog.goo.ne.jp/masa4439er/d/20070924 
英国道路地図の読み方・スカイ島観光案内 http://blog.goo.ne.jp/masa4439er/d/20071025 
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