令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

蟲麻呂編(7)師付(しづく)の田居に

2009年10月07日 | 蟲麻呂編
【掲載日:平成21年10月19日】

・・・筑波嶺つくばねに 登りて見れば 
          尾花散る 師付しづく田居たゐに 
               かりがねも 寒く来鳴きなきぬ・・・

【「しづくの田居」下志筑より筑波山を望む】


秋も深まり 説話伝承の収集は 一区切り 
あとは 整理 あつめの作業
うず高く 積み上げられた 記載帳 
所狭しと 広げられた 紙片かみきれ資料
役目の人の 働く中 
虫麻呂の姿は ない 

女体を右 男体を左に 
二つを 仰ぎ 
虫麻呂は 志筑しづくの野を たどっている
ひさしの下は 性にあわぬわ〕
 
草枕くさまくら 旅のうれへを          《赴任の旅の 気ふさぎを 
なぐさもる 事もありやと         ちょっとの間でも 晴らそうと  
筑波嶺つくばねに 登りて見れば       筑波の山に やってきた  
尾花散る 師付しづく田居たゐ      ススキ田んぼで 揺れとおる 
かりがねも 寒く来鳴きなきぬ       雁もさむそに 鳴いとおる 
新治にひばりの 鳥羽とば淡海あふみ        鳥羽の湖 風吹いて  
秋風に 白浪立ちぬ           寒々白波 立っとおる 
筑波嶺の よけくを見れば       それでも お山は ええ景色 
ながきけに 思ひ積み       いっぱいまった
うれへはみぬ              気鬱きうつは消えた》
                       ―高橋虫麻呂歌集―〔巻九・一七五七〕 

筑波嶺つくばねの 裾廻すそみ田居たゐに 秋田あきたる 妹許いもがりらむ 黄葉もみぢ折らな
《筑波嶺の 山の麓で 田刈りする あの児にやりたい 黄葉もみじを採って》
                       ―高橋虫麻呂歌集―〔巻九・一七五八〕 

〔風は いい 気ままに吹けて 
 雲は いい どこへでも 勝手だ 
 鳥も いい 山をも越せる 
 人付き合いは 気骨の折れる ことだ 
 宇合うまかい殿でなければ ついては 来ぬ
 独りに れぬ ものか〕

筑波嶺 二つ峰のくら
下り道をたどる 虫麻呂の手に 黄葉もみじの枝はない




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2 コメント

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師付の田井 (小林 博)
2010-05-21 18:39:04
このホームページでは、「師付の田居」となっておりますが、私この地元に住んでいるものですが、看板等には「師付の田井」と書いてあります。
以前、タウン紙でも取り上げてましたが、
http://www.joyoliving.co.jp/special/heritage/00049/
こちらを見ていただくか、私のブログを見てください。
http://artstudiohiro.mo-blog.jp/hiro/
どちらが正しいのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
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師付の田居or田井 (中村 博)
2010-05-25 11:12:44
●万葉集原文:田井
●各種訓読本:田居
・看板は 原文を 採ったと 思われる
・古語で「田圃」は 「田居(たゐ)」
・歌の内容から 「広々と広がる田」なので「田居」としてると 思われる
・田圃の中の井戸or湧水は 歌意に合わない
のでは ないでしょうか
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