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JR東海 キハ11形気動車(300番台)~トイレ装備の少数派車両も展望性は…

2009-08-19 | 鉄道[東海]

  

MAKIKYUが今月初めに紀伊半島方面へ出向いた際、伊勢鉄道に乗車した後は紀勢本線で南下する行程を取ったのですが、その際には多気→新宮間の普通列車で、キハ11形300番台と呼ばれる車両に乗車する機会がありましたので、取り上げたいと思います。

キハ11形はJR東海のローカル線用に導入されている軽快気動車で、やや小柄な車体に強力なエンジンを搭載した同形は、導入当初からワンマン運転にも対応しており、岐阜県や三重県内の非電化線区におけるローカル輸送で大活躍しています。

ただ元々短距離列車用(乗車時間が概ね1時間程度)に導入された車両だけあり、座席配置こそオールロングシートではなく、ボックス席と組み合わせたセミクロスシートになっているものの、トイレ設備はなく、長距離運用での充当には難有りという状況でした。

キハ11形導入当初は主に短距離運用に充当され、トイレなしでもさほど支障ない列車が殆どでしたが、後に老朽化し、ワンマン運転にも対応していない伊勢のキハ58系列を淘汰する際には、同系が担当していた紀勢本線南部(多気以南)の一部普通列車も担当する事になり、この運用は今日まで続いています。

しかし紀勢本線南部の普通列車は、運転本数も一日1桁と限られる上に、乗車時間も極めて長く、MAKIKYUが先日乗車した列車も途中駅での停車時間が長いとはいえ、多気~新宮間をおよそ4時間も要して運行する有様で、これでトイレなし車両に乗り続けるのは…という事(同区間は特急の運転本数も限られていますので、時間帯次第では普通列車に長時間乗車を余儀なくされる事もあります)で、紀勢本線南部での運用開始に合わせてトイレを装備したキハ11形が用意されています。

このトイレ問題は、既存キハ11形へのトイレ取り付け工事を行ったのではなく、新たにトイレを装備した車両を製造する事で解決していますが、この車両が300番台と呼ばれる車両です。

300番台は紀勢本線南部でのトイレ問題対策として製造された事から、同区間での運用を抱える伊勢のみに配置されているのですが、運用区間もMAKIKYUは余り訪問機会が多くない地域の上に、トイレ問題を解決するために6両が導入されただけに留まっていますので、登場から既に10年程経っている車両ですが、MAKIKYUは先日初めて乗車する有様でした。

300番台はステンレス製の車体を採用しており、JR東海のコーポレートカラーであるオレンジ色の帯を巻いた装いは、近年名古屋地区で導入が進んでいる新型電車や気動車に通じるものがあり、これだけでも鋼製車体の既存キハ11形とは大きく異なりますので、トイレの有無以外でも容易に見分けられます。

その上前面形状や行先表示幕設置場所、台車形状も異なるなど、見るからに既存キハ11形とは別の車両と言う印象を受けますので、別形式を名乗っても…と感じる程です。
(ただJR東海では互換性のある車両でも、電車は様々な形式があり、気動車も今後武豊線に登場予定の車両は既存キハ75形と互換性があるにも関わらず、別形式になる様ですが…)

ただ既存キハ11形と互換性のある車両である上に、専ら既存キハ11形と混成編成を組む事(トイレ付き+トイレなし車両で編成を構成する事で、数の限られるトイレ装備車両を有効に活用:同社では静岡地区などでもこの様な編成をよく見かけます)も、同一形式内で別番台として区分する要因かもしれません。

また300番台は外観だけでなく、車内もトイレ有無を除いても、既存キハ11形とは様相が異なっているのが特徴で、座席などは既存車両と大差ないのですが、蛍光灯がローカル用気動車にしては珍しくグローブ装備(既存キハ11形も一応グローブ付ですが、こちらはバス用です)となっており、化粧板もやや高級感のある暖色系柄入りのモノを用いるなど、全体的に既存キハ11形に比べてグレードアップした印象を受けるものです。

そのため専ら既存キハ11形+300番台の混結編成で運用される紀勢本線南部のキハ11形充当列車(稀に300番台2両で運行される事もある様ですが…)では、是非300番台を選んで…と言いたい所ですが、前面展望の悪さは数少ない難点と言えます。

これも亀山方はトイレを装備していますので、構造上致し方がないのですが、300番台の鳥羽・新宮方先頭部分は、運転台が近年のワンマン運転に対応した半室構造(軽快気動車では恒例の構造)になっているにも関わらず、配管(?)と思われる妙な出っ張りが存在(亀山方にはなし)が存在しており、この妙な出っ張りのお陰で、新宮方右側一番前のロングシートに座っても前面展望は芳しくなく、両方向共に展望性の悪い車両になっています。

前面展望を楽しむには最前部で立ちっぱなし…という状況を余儀なくされるのは、展望性に優れた既存キハ11形に比べると、頂けないと感じたもので、この展望性が悪い難点も、300番台車の連結を亀山方に限定すれば、新宮方面行き列車では解決できるのですが、逆にこの編成だと亀山方面行き列車では、トイレ設置の関係で座りながら前面展望を楽しむ事が出来なくなります。

そのため300番台をどちらに連結しても2両編成では…という状況(3両編成で真ん中に連結されると最も理想的ですが、普通列車の需要を考えると厳しいです)ですが、紀勢本線南部のキハ11形充当列車における300番台の連結位置は特に決まっていない様で、MAKIKYUが乗車した列車では新宮方が300番台車だったものの、途中ですれ違った列車では亀山方に300番台が連結された編成も見かけています。

この有様では紀勢本線南部の普通列車は、乗車する列車の先頭で座りながら前面展望が楽しめるか否かは、その日の編成構成によって運次第…というのが現状です。

それでも紀勢本線南部の普通列車では多数派を占め、前面展望は最悪といっても過言ではない、国鉄型のキハ40系列に比べれば遥かに良好ですので、贅沢過ぎる話かもしれませんが…

写真はキハ11形300番台(後ろはキハ11形0番台)と客室内、前面展望を悪くしている妙な出っ張り(?)の様子です。



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