先日「MAKIKYUのページ」では、MAKIKYUが今月初めに参加した黒部ルート公募見学会で乗車したインクラインに関して取り上げましたが、インクラインで黒部川第4水力発電所(くろよん)に到着した後は、見学会の目玉となるくろよん見物となります。
くろよんは冬場に雪崩が多発し、険しく過酷な環境の黒部峡谷に位置する事もあって、発電所設備は全て地下式となっている事が大きな特徴で、地上に顔を出しているのは、関西方面へ向かう送電線が伸びる部分だけ、それも雪崩覆いが付いた姿となっています。
黒部ルート見学会でも送電線が伸びる部分に足を運ぶことは無いため、地上から姿を見る機会はなく、インクラインや上部軌道線の乗り場近くにある地下の入口から発電所内に入る事になりますが、発電所内に入るとまず会議室の様な所に案内されます。
ここでは円状に並ぶ机の内側に、くろよん周辺の様子を表した模型が設置されており、公募見学会では参加者毎に座席が割り振られており、氏名を示した札と共に、見学会参加記念品として「黒部の氷筍水」と称した関電関連会社が発売しているミネラルウォーター(関電トンネル内の湧水)が1本ずつ振舞われます。
そして見学会参加者が揃うと、部屋内に設置された模型や、モニターによるビデオ放映などでくろよんの概要説明が行われ、その後水力発電所としては国内4番目の規模を誇る事でも知られる発電所設備の見学となります。
発電所設備見学の際には、まずは地下200m近い地中にあり、ネット上などでよく見かける巨大で整然とした発電機室に案内され、人里離れた険しい峡谷の奥地に、よくこれだけ大規模な設備を作ったものと感心させられます。
この発電機室には超重量で欅平方面からは運送できず、扇沢方から関電トンネル~黒部トンネル~インクライン経由で搬入したという巨大なペルトン水車の歯車(以前使用していたもので、現在は予備品を兼ねているとの事でした)も展示されている他、記念撮影用の名標(日付表示あり)も用意されており、一般人は滅多に足を運べない地とはいえ、関電側も定期的に行っている黒部ルート公募見学会を随分意識していると感じたものでした。
その後更に下のフロアに案内され、実際に爆音と共に回転している水車の様子や、現在は無人化されている操作盤室などを見学した後、再び最初に訪れた会議室の様な部屋に戻ります。
黒部ダム出発コースでは、昼食休憩の時間が確保されており、この会議室の様な部屋で食事を取ることになりますが、通常は一般人が訪問する事はまずなく、人里離れた峡谷だけあって飲食物の販売などは当然無く、関電側が用意する訳でもありませんので、食事は事前に持参する様に案内されており、MAKIKYUもここで事前に調達していた軽食を広げたものでした。
MAKIKYUは一応飲み物も用意していたものの、見学会参加記念品のミネラルウォーター以外に、暖かいお茶の準備もありましたので、飲み物は事前に用意しなくても…という状況だったのは予想外で、お陰で持参の飲み物は公募見学会終了時まで開けずに済む有様でした。
ただ黒部ルート公募見学会は、ダイヤに従って運行している関電専用の交通機関を乗り継ぐ関係で、くろよんの見学滞在時間は、黒部ダム出発コースでは食事休憩の時間を含め、僅か70分程しかありません。
その上くろよんから乗車する上部軌道線のトロッコ車両撮影希望者は、少し早めに支度を…と案内される程ですので、会議室の様な部屋の隣にある資料展示も充分に見れず、足早に移動しないといけないのは惜しい限りでした。
それでも欅平出発コースでは、くろよんでの食事休憩時間が確保されておらず、僅か43分のくろよん滞在で出発する事を考えると、まだ恵まれているのですが、一般人は訪問機会自体が滅多にない所だけに、もっと見学時間があっても…と感じたものでした。
くろよんからは高熱隧道を走る事で有名な、関西電力上部専用軌道に乗車する事になりますが、この列車に関しては近日中に別記事で取り上げたいと思います。