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富士急行1200形「富士登山電車」~運行形態には賛否両論がある様ですが…

2009-09-15 | 鉄道[甲信越]

   

今日MAKIKYUは日帰りで山梨県内を訪問し、富士急行線の電車に乗車する機会があったのですが、その際には先月から走り始めたばかりの1200形「富士登山電車」に乗車する機会がありましたので、取り上げたいと思います。

1200形は90年代に富士急が、非冷房車置き換えなどの車両体質改善を図るために、この頃廃車が相次ぎ、地方私鉄への譲渡が相次いでいた京王電鉄の5000系車両を譲り受けて就役させた車両です。

京王線は1372mmという特殊な軌道幅(乗り入れしている都営新宿線を除くと、他に現存する路線は路面電車系のみです)を採用しているため、台車やモーターなどの下回りはそのまま転用できず、富士急以外の地方私鉄への譲渡車も含め、下回りは他社の廃車発生品を組み合わせているのも大きな特徴です。

現在の富士急行線では1編成だけ存在する自社発注車を除き、普通列車用の自社車両は、種車による個体差こそ見受けられるものの、全て1000・1200形(1000形は収容力重視のオールロングシート車ですが、車内設備以外に大差はありません)という程の勢力になっており、今日の富士急を代表する車両とも言えます。

富士急への移籍後は、昔の塗装を復刻した車両を次々と登場させているといった動きはありますが、比較的最近まで大きな動きはなく推移していました。

しかし今年「富士山に一番近い鉄道」でもある富士急は開業80周年を迎え、1編成が「富士登山電車」と呼ばれる観光列車に改装され、大変貌を遂げています。

外観は創業当初の車両を模したさび朱色に金帯という装いですが、ロゴやローマ字標記が各所に散りばめられ、単なるリバイバル塗装ではない非常に特徴的なものとなり、JR九州や両備グループの鉄道をはじめとする各種交通機関のデザインで有名な某デザイナーが携わっている車両ならではと言えます。

車内設備の関係もあって、「富士登山電車」は真ん中の扉が埋められ、2扉車になっているのも大きな特徴で、京王5000系譲渡車では既に島根県の一畑(Ichibata)電車でもこの様な事例が存在していますが、譲渡時の改造以外で後に扉を埋めたのは「富士登山電車」が初であると共に、大規模な改造を行った割には前面形状には敢えて手を加えず、原型を残存させているのも大きな特徴と言えます。

また「富士登山電車」は外観こそ、塗装以外の変化は扉数を除けば…という状況ですが、車内を派手に改装しており、その変貌振りは観光向け車両として内外共に派手な改装を施し、京王5000系がここまで変貌する事例は今後現れないと推測していた一畑電車5000系「出雲大社号」をも凌ぐ程です。

その内装は木材を多用し、特徴的な座席形状なども、某デザイナーが最近手がけた車両の一般的傾向が強く感じられるものですが、「富士登山電車」ではそれに加えて真ん中の扉を埋めた部分に設置した座席を、富士山の方向に向けるなど、富士山の近くを走る富士急向けの観光列車ならではの趣向を凝らしています。

それに加え2両編成の富士吉田方を「赤富士」、大月方を「青富士」として、それぞれ使用する木材や内装の色彩などを変える事で、雰囲気の異なる車両に仕上げている事も大きな特徴と言えます。

「富士登山電車」は普通列車としての運行でありながらも、基本的に「赤富士」を定員制の「着席券車両」(乗車券の他に200円の整理券が別途必要)として運行しているのも特徴です。
(一部列車では車両運用の都合で2両共自由席(料金不要)として運行しており、また土休日などで混雑が見込まれる際などには「青富士」も含めて「富士登山電車」全体が「着席券車両」になり、一般車両2両を併結した4両での運行となる事もある様です)

今日は大月から乗車して途中の都留市内で下車する行程だったMAKIKYUは、乗車時間も考えて「青富士」の方に乗車(「赤富士」も入線直後に許可を得て車内を視察&撮影しています)したのですが、「青富士」の連結面寄りにカウンターが設置されている事などもあって座席数は「赤富士」の方が多くなっています。

その上「青富士」は短距離客の利用が多い事を見越してか、ドア付近をソファー状のロングシートにしており、乗り降りなどで車内を移動する乗客も多く、自由席車が1両だけともなれば車内もそこそこ混雑します。

そのためボックス席に座ってゆっくりと富士山を眺め、大月から富士吉田や河口湖までの一時を…と考えるのであれば、着席券を購入して「赤富士」に乗車するのも良いかもしれません。
(また着席券購入者には限定で非売品の「富士登山電車」をデザインした飴(同種で「フジサン特急」をデザインしたものは富士急行線の駅で発売しています)も配布していましたので、乗車の記念になるものを求める方にもおススメです)

この「富士登山電車」は普通列車にも関わらず、一部車両は決して割安とは言い難い富士急行線の運賃に加え、別料金の着席券を要する事もあって、運行形態などは賛否両論がある様ですが、少なくとも自由席車でさほど混雑していない状況であれば、富士急行線の運賃に見合う付加価値を備えた車両なのでは…と感じたものです。
(逆に他社から乗り入れてくる「某社レンズ付きフィルム」に良く似た名称で呼ばれる事が多い車両などは、幾ら新鋭とはいえ富士急線内での乗車は避けたいものですが…)

機会があればまた「富士登山電車」に乗車したいと感じ、今後もこの運行形態のまま推移していくのか気になると共に、MAKIKYUも関西以西で活躍する某デザイナーがデザインを手がけた列車やバス、船などには幾種も利用機会があり、その一部は「MAKIKYUのページ」でも取り上げていますが、首都圏から至近のエリアでこの手の車両が登場したのは初めてで、今後首都圏近郊でもこのデザイナーが手がけた車両が次々と見られる様になるのかも気になるものです。

写真は大月駅停車中の「富士登山電車」の外観(駅の外から撮影)と、涼しげな印象を受ける「青富士」・重厚な印象を受ける「赤富士」車内の様子です。



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