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JR北海道 735系電車~如何にも試作車的なアルミ製車両

2012-10-31 | 鉄道[北海道]

今月MAKIKYUが北海道へ足を運んだ際には、先日取り上げた733系電車には是非一度…と思っていたのですが、その他に少し前に導入されたものの、耐寒試験などに供されて暫く営業運用されていなかった735系電車も、今年に入ってから営業運転に充当される様になっています。

735系は酷寒の北の大地でアルミ製車体を採用した車両の運用実績がなく、今後の導入可否を担うために導入された試作車両で、試作車両と言う宿命もあってか、現段階では3両2編成(6両)のみの導入に留まっています。

JR北海道の札幌圏における電車運用区間は、首都圏や京阪神などに比べれば遥かに小規模とはいえども、そこそこの規模を誇っており、結構な数の電車が運用されていますので、その中で偶然735系に遭遇する確率はかなり低いものです。


せめてその姿を目撃する事が出来れば上等と考えていたのですが、札幌から岩見沢へ向かう途中、途中の江別止まりの電車に乗車し、終点の江別で乗っていた電車を降りて次発の電車に乗り換えて…と思っていたら、反対ホームに735系電車の姿を目撃した際には、札幌で後発の岩見沢行きまで待たず、江別へ先回りした甲斐が…と感じたものでした。

その数日後には、写真撮影こそ適さない夜間帯だったものの、姿を見るだけでなく実際に乗車する事もできました。

キハ201系との併結による電車・気動車協調運転に対応していない事をはじめ、車体断面やステップを廃した客ドア、LEDを採用した種別・行先表示と言った特徴などは、学園都市線電化に合わせて導入された733系と共通しますが、内装や客室設備などは731系に最小限度の設計変更を加え、メーカー(日立)の標準仕様を取り入れた感を受けたものです。


そのため座席は片持ち式ではなく座り心地も731系レベル、モケットも酷寒の北の大地にしては…という雰囲気があり、座り心地の芳しくない折り畳み座席が廃された事と、車体断面の変更で圧迫感がなくなった事は評価に値しますが、733系に比べると見劣りが否めないと感じたものです。


またステップ撤廃による段差解消を謳っていながらも、先頭車は721・731系などと併結運転を行う事を考慮し、貫通路部分の高さをこれらの車両に合わせているのですが、733系では客室~乗務員室間と乗務員室内前方の貫通路先端の2箇所でゆるやかな傾斜を構成しており、他編成と併結した6両編成運用時における貫通路通り抜けの際に、段差が生じない様に配慮されています。


これに対し735系では、注意喚起を促しているとはいえども、JR東日本の交流区間専用で運用される低床一般型電車・E721系の如く、客室~乗務員室間に1段の段差が生じており、この点も733系に比べると見劣りが否めません。

MAKIKYUの知人の中には、735系を大賞賛しており、他形式と併結した6両編成が来た時は、735系を選んで乗車したいと言っている者も居ますが、レアモノ車両と言う意味での価値はあるものの、個人的には乗って嬉しいと感じる車両とは言い難い気がします。

外観も側面は銀色1色、特にロゴなども配されず殺風景な印象が否めず、如何にも試作車的な雰囲気が漂っており、導入発表時は耐寒試験の試作車なら…とも感じたものでしたが、こんな姿で営業運転に供したのはビックリで、敢えて異端車である事をPRしている様にも感じてしまいます。

他形式の様に側面帯を配するか、さもなければJR北海道の特急車でよく見られるドア部分に立ラインでも…と感じてしまいますが、このままの姿で走り続けるのかも気になる所です。

酷寒地におけるアルミ車体の採用は、735系における耐寒試験の結果上は問題ない様ですが、仕様的には731系から733系に移行する間の過渡期に位置する車両という事もあり、733系が多数活躍する今日において、733系よりスペックダウンが否めない現仕様で、今後735系が増備される可能性は極めて低いと思われます。

今後JR北海道において、一般型電車でアルミ製車体を本格採用するか否かは分かりませんが、どちらにしても現在活躍する735系2編成は、異端車になる事はほぼ確実な情勢と思われます。

このまま733系などに紛れて活躍を続けるのか、それとも1両だけの異端車として導入されて暫くは営業運転に供されたものの、後に試験車両に改造されたキハ160系の様な運命を辿ってしまうのかも気になる所ですが、今後の活躍ぶりに注目していきたいものです。