「MAKIKYUのページ」でここ数日取り上げ、まもなく終焉を迎える苫小牧市営バスですが、現在使用している車両は路線バスで一般的な前中扉の路線車が主流を占めるものの、他に前ドアのみの車両(トップドア車)も活躍しています。
苫小牧市営バスでは一般路線だけでなく、貸切事業も行っている為に、少数ながら貸切専用車(いわゆる観光バス)も存在しています。
こちらは事業縮小の関係で一部車両が売却された事もあり、純粋な貸切専用車は僅かに残存するだけとなっており、MAKIKYUが交通部(新開)を訪問した際には、2台の貸切専用車は共に車庫内に駐車している状況でした。
そして苫小牧市営バスの中で最も特徴的で、趣味的にも注目と言えるのが、一般路線と貸切・契約輸送用途の双方に使用可能な貸切兼用車の存在で、このタイプの車両は殆どが交通部所属となっています。
貸切兼用車の中で比較的新しい車両は、主に観光・高速バスで使用される日野SELEGAとなっており、北海道では事業者によっては高速バス用車両を一般路線に充当したり、苫小牧市内では札幌行き高速バスが市内区間のみで利用可能である事などを踏まえると、さほど驚く事でもないかもしれませんが、SELEGAでは非常に珍しい非冷房車が存在する事は注目です。
貸切兼用のSELEGAは3台在籍しており、MAKIKYUが交通部を訪問した際には3台全てが車庫内に駐車している状況(その後市内で契約輸送に従事している姿も目撃しています)でしたが、その内写真の車を含む2台が非冷房車との事で、夏場に窓を全開にして走る姿も一度見てみたいものです。
貸切兼用車は他に一般路線車タイプも存在しており、こちらは富士重工製車体にいすゞ製の下回りを組み合わせたもので、一般路線車でもエアサス標準の苫小牧市営バスですので、当然ながらエアサス車ですが、今日でも多数が活躍する7Eボディでも、決して新しい車両でない事もあってか、非冷房車となっています。
そして最も注目の存在と言えるのが、最近では地方へ足を運んでも見かける機会は少なくなった富士重工5Eボディの貸切兼用車で、古参車だけあって廃車が進み数を減らしていますが、今日でも1987年(昭和62年)式105・106号車の2台が在籍しています。
交通部を訪問した際には、交通部職員の方の好意で106号車の車内も見学できたのですが、車内は後に座席を交換したらしく、古さを感じさせず綺麗な印象を受けたもので、座席はリクライニング機能も装備しています。
また105号車は、貸切兼用車としては例外的に錦西営業所に配置され、錦西営業所で最も年式が古い車両であると共に、特異な車両として注目を集めており、他の一般路線車と共に一般路線で活躍しています。
MAKIKYUが苫小牧を訪問した日には、105号車は残念ながら稼動しておらず、その姿をカメラに収める事も叶いませんでしたが、帰路に札幌から函館へ向かうJR特急列車(スーパー北斗号)に乗車した際には、錦岡を過ぎて車窓右手に樽前山を望む雄大な景観と共に、樽前ガロー線に充当されている姿を目撃できたもので、古参車ながらも健在振りを目にする事ができたものでした。
現在苫小牧市営バスでは、一般路線用の2扉車で5Eボディ車は全廃されており、この点だけでも105・106号車の存在は非常に注目ですが、おまけに5Eボディで長尺トップドア車、おまけに豪華なリクライニングシートを装備するにも関わらず、非冷房車となると、日本全国のバスを探しても他に同種のバスが存在するのだろうか?という珍車で、交通部の方から実際に以前106号車を指定しての貸切依頼があったという話も聞いた程です。
MAKIKYUは随分前にフェリーで渡道し、フェリーターミナル~苫小牧駅間で市営バスを利用した際には、このタイプの車両(車番未確認)に乗車した記憶がありますが、先月苫小牧市営バスを利用した際には残念ながら105・106号車に乗車する事は叶いませんでした。
また105号車は快適なリクライニングシートを装備し、混雑時に立席乗車になると通路が狭く、大変な事を除くとかなりの乗り得車両である反面、知人によると座席配置やドアが1箇所しかない事が災いし、乗降に時間を要する事から充当可能なダイヤが限られており、使い勝手は余り良くない上に、経年車故に草臥れた部分も見受けられるとの事でした。
最古参の経年車でおまけに非冷房車、路線車としての使い勝手が芳しくない事なども踏まえると、いつ退役を迎えても不思議でない車両ですが、来年春の道南バス移管後も継承されて使い続ける事になるのか気になる所です。