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黒部峡谷を走るトロッコ電車(1)~名物のトロッコ車両

2011-11-15 | 鉄道[北陸]

先月初めにMAKIKYUが関西電力の黒部ルート公募見学会に参加した際には、黒部ダム集合コースに参加した事もあって、有名な黒部川第4発電所などを見学した後、欅平駅で解散となりました。

欅平駅からは黒部峡谷鉄道以外の公共交通機関が通じておらず、自家用車などでアクセスする事も不可能な事から、ここからは必然的に黒部峡谷鉄道を利用して宇奈月へ抜ける事になり、久々に同鉄道の旅客列車を利用したものでした。
(MAKIKYUが以前利用したのは幼稚園の頃で、乗車した記憶がうっすらと頭の片隅にありますが、それ以来20年以上乗車機会がない状況でした)

この黒部峡谷鉄道は元々発電所建設の資材輸送を目的として建設された路線で、日本国内の旅客鉄道では数少ないナローゲージ(軌道幅762mm)の鉄道としても知られています。
(国内で他に現存するナローゲージの旅客鉄道は、三重県内を走る近鉄ローカル線の一部と、近鉄から地元私鉄に移管された路線程度です)

現在も関西電力の事業用列車が多数走るほか、旅客輸送は通勤通学用途などで利用されることはまずなく、関電関係者輸送を除くと完全に観光向けとなっている事から、運賃はかなり高額に設定されています。
(旅客輸送に関しては、かなりの高額運賃でも赤字の様です)

20.1kmの宇奈月~欅平間全線乗車では片道1660円(追加料金券を購入しない最も安い運賃)・通勤定期1ヶ月39820円(まず利用者はいないと思いますが、一応設定があります)と、首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)を走る「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)や、宇奈月駅で接続し、如何にもローカル私鉄といった印象の社名を名乗る鉄道など、国内私鉄の中では極めて高額な運賃設定と言われる事業者(ただ後者は定期券割引率などの面では配慮しており、割安な通学フリー定期券の設定なども大いに評価できます)と比較しても、ダントツの高額設定と言えます。
(参考までに同程度の距離で運賃を比較した場合、前者は北総監獄中央~矢切間20.6kmで690円(通勤定期1ヶ月30320円)、後者は電鉄富山~南富山経由~横江間20.6kmで810円(通勤定期1ヶ月22120円)です。
ちなみにJR本州3社幹線で20km強の距離を利用した場合、普通運賃は400円(通勤定期1ヶ月11970円)となります。)

おまけに冬季は全面運休となり一部の軌道や架線が取り外されるなど、日本全国の鉄道を見渡しても他に類がないこの鉄道ならではの特異な点が幾つも見られるのは興味深いものです。

この黒部峡谷鉄道はナローゲージの路線だけあり、活躍する車両も極めて小柄な車両ばかりですが、その反面旅客列車は最大13両と言う私鉄最大両数を誇り、連結両数だけならば高速運転で定評ある首都圏の標準軌某大手私鉄をも凌ぐ程です。
(1両当りの輸送力はかなり小さいですので、1列車当りの輸送力は首都圏の標準軌某大手私鉄支線以下しかないのですが…)


しかも動力分散方式が殆どを占める日本国内の旅客鉄道においては珍しく、電化鉄道ながらも在籍する車両は機関車(電気・ディーゼル)と客車・貨車のみとなっており、旅客輸送は全て機関車牽引の客車列車という動力集中方式のみとなっているのも特徴です。


旅客列車を牽引する箱型の電気機関車は大抵重連となっている事から、機関車の両数も含めると、旅客列車の両数は日本国内のJR在来線最大両数にも匹敵する程で、車両のサイズは小柄で、速度も極めて低速(最高速度25km/h)ながらも、長編成の列車が峡谷を行き交う姿は壮観です。

 
旅客列車で用いられる客車は、以前からトロッコ車両を使用している事で知られており、この鉄道の名物ともいえますが、ごく一部の列車を除いて客窓や暖房装置を備えた客車との併結編成を構成しており、旅客列車でトロッコのみの編成は極めて少数派となっています。


このトロッコも現在旅客輸送で使用している車両は、黒部峡谷鉄道の車両にしてはそこそこの車体長と輸送力を誇るボギー車が使われていますが、過去には2軸車も旅客輸送に充当されていた様で、今日でも関電の事業用列車に充当される姿を見る事ができます。

MAKIKYUが黒部峡谷鉄道に乗車した際は、欅平からの片道利用で、雨が降る生憎の天候だった事もあって、名物のトロッコ車両ではなく、リラックス車両と呼ばれる要追加料金の車両に乗車したものでしたが、再び黒部峡谷を訪問する機会があり、もし天候が良ければこのトロッコ車両にしたいと感じたものでした。

またMAKIKYUが先月乗車したリラックス客車に関しては、後日別記事で取り上げたいと思います。