ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

Web2.0時代のコンテンツ・ファンドとは?

2005年12月16日 | コンテンツビジネス
USENと大和證券SMBCとがコンテンツビジネス振興を目指してコンテンツ投資ファンドを立ち上げるという。予算規模は300億円。両者による出資だけではなく、一般投資家からも出資を募る予定だとか。もともと映画やアニメなどでは製作委員会という形で、ある意味、関係者が出資を行い1つの作品を作っていくように、コンテンツビジネスというのは基本的には様々なプレイヤーによる「投資」と「回収」のビジネスだ。

 USENと大和証券SMBC、総額300億円のコンテンツファンドを設立へ

今回のことに限っていうと、単純に特定の作品に対する「投資」ではなく、ファンドが(審査を行った上で)様々な作品に「投資」を行い、ある程度ポートフォリを前提としているということ、そして基本的にはUSENと大和證券(とその背後の一般投資家)によるファンドがあらゆるウィンドウの権利を有することから、トータルの収益で考えればいいという点が既存の製作委員会方式などとは違うのだろう。

実際、こうした投資ファンドが現れるということで、コンテンツの作り手にとっては資金調達が容易になる可能性はあり、コンテンツ産業にとってはプラスなのだろう。

ただこうした動きはネットの世界ではどうなのだろうか。

そもそもGyaOのような「マス」を対象にした編成型無料広告モデルモデルは、所謂、Web2.0的な世界観とは異なるものだ。成功モデルが1つの形に集約されるということはないにしても、ネット社会のあり方・特性を反映したものがWeb2.0的な世界観だとすれば、ネットの世界でコンテンツを流通させる仕組もそうしたものを前提とするだろう。そう考えると、こうしたコンテンツ・ファンドというものはネットの世界で評価されるものなのだろうか。

Web2.0の世界を体現しているgoogleが映像コンテンツの流通に対して提供した仕組は「googleビデオ」だろう。この価値観からいえば、多数の一般投資家から投資を募り才能はありつつも無名のクリエイターに対して作品を生み出す機会を与えるといえば相性がいいように聞こえるかもしれない。しかし実はさらに進んで、クリエイターが自ら作品をつくりそれを流通させ、見合った分だけ利益をクリエイターに還元する仕組がgoogleビデオの目指すべき姿だとしたら、間に投資事業有限責任組合という存在が入るコンテンツファンドというのは、中途半端な段階なのかもしれない。

あるいはこのように考えることができるのかもしれない。ハリウッドのような世界中の大衆を相手にしたコンテンツと、投資ファンドなどが対象となるマニアなどを中心にある程度セグメント化された層に根ざしたコンテンツ、あるいはgoogleビデオのように更にニッチな層に対して個人が直接コンテンツを提供していくという、セグメントとコンテンツの種類に応じての異なる資金調達と回収モデルが成立したと。

 無料動画「GyaO」と動画検索「googleビデオ」

 USENの決算発表!GyaOの抱えた課題




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