AKB48江口愛美騒動とサンプリングされるアイドルの時代

正直、全く興味がないし、肝心なそのCMも見たことがないのだけれど、ネット上ではそれなりに盛り上がっていた、AKB48の期待の新人・江口愛美。グリコの「アイスの実」のCMで並み居るメンバーを差しおいてセンターポジションを獲得。しかしそのCM放送直後から、CG説が流れるなど、存在するのかしないのかを巡ってかなり盛り上がっていたらしい。

結局のところ、前田敦子、大島優子、篠田麻里子、渡辺麻友、高橋みなみ、板野友美の6人のパーツを組み合わせて合成したCGとのことで、現在では誰のどのパーツを使っているかなどもWEBサイト上で公開されている。

　【ＣＭのツボ】やっぱりＣＧだったＡＫＢセンター江口愛実　合成の舞台裏 - MSN産経ニュース

しかもこの「アイスの実」のWEBサイト上では、AKB48のメンバーから好きな顔のパーツを選び出し合成できる「AKB推し面メーカー」が提供されていて、これがなかなか面白い。おそらく1人1人を見ればそれなりに可愛いメンバーからパーツを選びだしたとしても、補整なしだと、これがなかなか不気味な感じに。こんな風に遊べるのはなかなか面白い。何か、友達の写真なんかでもやってみたくなる。

ちなみにこんな感じなりました。
http://www.icenomi.com/oshimen/index.html?id=1291624


それにしても、これを仕掛けた広告代理店は「してやったり！」だろう。テレビCMでも十分に話題になっただろうし、ネット上のバイラル・コミュニケーションでも盛り上がった。さらにはそれをニュースやワイドショーでも取り上げられ、最後はWEBサイトでインタラクティブなツールで遊んでもらう。(さらにはこれ見て僕みたいにバイラルを広めたりしている人も出る)

「アイスの実」の売上が上がるかどうかは分からないけれど、プロモーション効果、ユーザーとのコミュニケーションツールとしては十二分に成果を発揮しただろう。

しかしそれにしてもアイドルにとっては何事にも代えがたい「顔」をこんな風に切り貼りさせるあたりが、AKB48が単なる「商品」に過ぎないことを象徴しているのだろう。○○○○のファンだけど、ちょっと鼻が気に食わないから、△△の鼻と交換してみよう～みたいなことを許してしまうのだから。

それともこれがポストミレニアム時代のユーザーとのコミュニケーションの在り方なのだろうか。アイドルたちもサンプリング化され、バーチャルな存在として再生されていく…

しかしユーザーの「理想型」としてサンプリング化されたアイドルは本当に理想型になるのだろうか。

以前、AERAだったと思うのだけど、日本人の平均的な顔をシュミレートしたところ、男子も女子も非常に整った美男美女になるという記事があった。人々が数多の人の顔を観ている中で、その「美」の基準を決めるための1つの元型とでも言うような顔立だ。

それはあまりにも清潭で、整っており、毒気がなく、好みのブレ幅があったとしても全ての人が好感度を抱くような顔立ちだった。しかし同時にそこには整い過ぎていて、もうインパクトに欠けるというか、「核」になる魅力がかけていたと思う。

しれはモーツアルトの楽曲があまりにも美しくある種の完璧さを持っていながら、ベートベンの「運命」や「第九」の方が印象に残ってしまうことと似ているのかもしれない。ちょっとしたバランスの悪いホクロつくことでより可愛く見えたり、笑ったときのちょっと大きなエクボが愛嬌を生み出したり、そうした「均整」を崩すような「何か」がかえってその人「らしさ」やその「魅力」を強いものにする、そんな感じなのかもしれない。

僕らは「完璧」でないからこそ、「不揃い」だからこそ、相手の良さを知りあるいは補うことができるのかもしれない。


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