ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

コーチングによる4タイプの違いとコーチに求められる要件

2011年08月23日 | 思考法・発想法
以前、会社のリーダー研修で「コーチング」というものを教わったことがある。その際、人のコミュニケーションパターンやスタイルをもとに4つのタイプに分けて考えるということをやった。そのタイプというのは以下の4つだ。

A)コントローラー
B)プロモーター
C)サポーター
D)アナライザー

 タイプ分け for Coaching | COACH A

「A)コントローラー」というのは、人や物事を支配し自分の思い通りに物事を進めようとするタイプ。行動的でエネルギッシュで野心的。「支配的」で人の輪よりも「仕事」を優先し、周りからは怖がられている。相手を攻める傾向があり、回りくどい言い方が嫌い。中小企業の社長といったところだろうか。

「B)プロモーター」というのは、アイデアが豊富で「創造力」がある。計画を立てるのが苦手だが、変化への順応性が高い。「社交的」でサービス精神旺盛、ただし自分の話をするのは好きだが、人の話は聞いていない。飽きっぽく、批判されることを嫌がる。新しもの好きで自分が輪の中心じゃないと嫌なタイプ。

「C)アナライザー」というのは「分析」や戦略を立てるのが得意な専門家タイプ。物事に取り組むときに、データに基づく分析からはじめ、「計画」を立て、「粘り強く」やり遂げる。自分のペースを崩されることが嫌いで、理由もなくほめられることが苦手。変化や混乱には弱いが、的確な意思決定ができ、明確で「論理的」な話し方をする。

「D)サポーター」は人を助けるけとが大好きで、周囲への「気配り」に長けている。ビジネスよりも「人」を優先。計画や目標には関心がない。人の期待に応えたいと考えるあまり、ノーとはいえず、自分の考えを主張することができない。

この4タイプは全く異なった性格で、その研修の時には、タイプごとにグループを作ったのだけれど、コントローラーのグループは全員で主導権を巡る牽制をしあい場は盛り上がらない。プロモーターはとりあえず賑やかだけど全員が自分で仕切りたがるのでまとまりがなく、アナライザーは皆、互いを観察するような感じで必要なことを淡々と話す。サポーターは何となくまとまってはいるけど誰もまとめることがなく、リーダーがいないという感じに。タイプによって人の行動は全く違ってくるのだ。

このときの研修の結論的なことを書くならば、それぞれ人によってタイプがことなる以上、コーチングの仕方もそれぞれのタイプに合わせて行わなければなりませんよ!ということ。

コントローラータイプを相手にするのであれば、コーチは相手を率直かつ簡潔に役立ったことを褒め、決して支配的に物事を進めてはいけない(コントローラーは自分が支配しないと我慢ならないのだ)。プロモータータイプが相手であれば、とにかく何でもいいから褒めまくり(彼らはお調子者だ)、(現実的でなくとも)彼らのアイデアを否定しないようにどんどん乗せつつ軌道修正してあげるのがいい。

相手がアナライザーであれば根拠のない漠然とした褒め方は厳禁。彼らは根拠や具体性のない言葉を信用していないので、そのような褒め方は相手を信用しなくなる。事実関係に基いてさりげなく褒めてあげ、彼らが自身で計画して物事を進められるようにしてあげることが大事だ。サポーターであれば「ありがとう」といった感謝の気持ちを伝えるようにしてあげることが効果的。威嚇的な態度ではなく、彼らが口には出さないけれどしたがっていることを汲み取ってあげることが伸びるポイントとなる。

これを読んだ上で、周囲の関係を見てもらうと、あぁ、あの人は●●タイプだな、みたいなのもあるのではないだろうか。僕の周辺でもはっきりと分かる人が何人もいる。

ちなみにこの研修を受けたとき、僕は「アナライザータイプ」のグループにいたのだけれど、その行動が「アナライザー」っぽくなかったようで、コーチの人から間違ってない?って聞かれたりもした。ま、これは単純にアナライザータイプが4人集まった場合に、誰も中心になる人間、リーダーシップをとってその場を仕切る人間がいないから別のペルソナ(この場合はプロモーターやコントローラー)を演じたというだけのこと。つまりアナライザーの中に、1人、話を進める役割を演じる人間がいくとグループ全体がスムーズに回るのだ。異なるタイプを組ませることでチームとしての能力を高めることができるというのは、こういうところにも見てとれる。

余談だけれど、この時、トレーナーの人から2番目に強かったタイプは何かと聞かれ、「プロモーター」ですと応えたら、「自分でアイデアを出して(プロモーター)、分析して、計画を立て、1人で勝手に進めていく(アナライザー)、上司からすると1番面倒くさいタイプですね」と言われてしまったww。もっとも否定もできないところだけれど。

何故、こんな話を書いたかというと、これはコーチが部下に対してコーチングをする際に、部下のタイプに合わせてコーチングの手法を変えないと効果がありませんよという話なのだけれど、実際には、そういった中立的ななポジションでコーチングできる「コーチ」というのは稀なのだろうということを書きたかったから。

こうした「コーチング手法」は知識としては比較的容易に得ることできるだろうし、(僕が受けた研修のように)体験することもできるかもしれない。しかしいざ実践しようとすると、どうしても自分のタイプにそった形で行ってしまうことが多い。少なくとも意識的に自我を抑制したり客観的に見たりしないと、相手に合わせたコーチングというのは難しいだろう。

プロモーターが相手であれば「お前、凄いよ。期待しているよ」でものってくれるだろうが、そんな漠然とした言い方はアナライザーには通じないし、「ありがとう。君がいてくれて助かるよ。感謝している」といった言い方はサポーターは喜ぶかもしれないが、コントローラーであればそれよりも「プレゼンに成功したのは君の力だ」の一言を望むだろう。しかし人はついつい自分が言って欲しいことを相手にも言ってしまう。

こうしたタイプ別のコーチングを使いこなすためには、相手のタイプを知ることだけでなく、コーチ自身が自分のタイプ以外のことを(頭ではなく)体験的に理解し、その上で相手に合わせて実践しなければならないのだろう。自分が求めているものではなく、相手が求めているものを理解し、どのようにすればそれに反応するかを知らねばならない。

そう考えるとなかなかコーチングも難しいのだ。

自分がどのタイプか興味がある方は、以下のサイトで試してみてください。

 実践コーチング.cgi



2 コメント

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Unknown (Gangangansoku)
2011-08-26 00:01:47
こんにちわ
上記のテストをやってみたら私はプロモーターでした。 うちの会社でも最近やったんですよ、似たようなコーチング研修。おもしろかったのが、同じ部署の人は似たようなスコアが多く、幹部は異色が多かったことです。結局はなにがいいとかではなく、こうやっていろんな得意分野をもつ我々がチームとして一緒にがんばることが
大切なのよ!と部長が上手にまとめてくれました。おもしろいですよね。
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Unknown (beer)
2011-08-27 01:19:34
実際、新規開拓や新しい企画の立ち上げなんかで、この4タイプのメンバーでチームを組ませる企業もあるようですよ。
確かに新しい観点やパワーは他者性の中の方が見つかるんでしょうね。
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