文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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銭形平次捕物控 278 苫三七の娘

2022-11-04 13:00:43 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 最初この表題を見て、「くさみの娘」かと思い、面白い題名だと思ったが、実は「とまさんしちの娘」と読むのが正解である。字をよく見れば「苦」ではなく「苫」である。苫三七というのは、江戸中どこにでも小屋を掛けて色々な芸を見せる芸達者な男である。

 その三七が首を縊って死んだという。三七には、お百合とお若という二人の娘があった。どちらも本当の子ではないが、三七はかわいがっていたという。どちらも美人だが、お百合の方は細面で愛嬌に乏しい冷たい美人タイプ、お若の方はぽっちゃりとした愛嬌のあるタイプだ。

 名探偵役の平次と対比するための迷探偵役は、ドラマではもっぱら三ノ輪の万七なのだが、この話では、平次の子分の八五郎がその役を務めている。この話では八五郎が、三度も女に抱き着かれて鼻の下を伸ばしている。そして三度目のときは、三七から預かった書付を取られてしまうのだ。この事件の裏には、大店の跡継ぎ問題があった。

 この作品を一言で表せば、作中にもある「外面如菩薩内心如夜叉」ということだろうか。この言葉は、いかにも優しそうな女性で実は、超悪女と言った女性に使うのだが、平次の謎解きを聞くと、ぴったりの言葉だと思うだろう。しかし八五郎には、まったく見る目がないことが、はっきりした(笑)

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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